Because I do not want to forget you.
亡き同級生Mを思って。
スマートフォンのカレンダー
それとなく 何の気なしに
パーッと見ていただけなのに
そこにキミの名を見つけたら
不意にキミを思い出して
来年もきっと
普通にやってくるはずだった
キミの二十二回目の誕生日
それはもう
有り得るはずがないのだけれど
キミとの連絡手段は
もう持っていても意味をなさないのに
消せないままここにあって
どうしていいかわからないまま
一年という月日が
もうすぐやってこようとしている
これを消してしまったら
私は今度こそ
キミを忘れてしまう気がする
それだけは
してはいけない気がするから
たとえ意味がなくても
残しておきたいと思う
キミを忘れることはしたくないから
こんにちは、葵枝燕です。
『Because I do not want to forget you.』、ご高覧ありがとうございます。作品名ですが、“キミを忘れることはしたくないから”をGoogle翻訳で英語にしたものです。
この詩を書いたきっかけは、二〇一七年十二月十八日深夜、姉とスマートフォンのカレンダーを見ているときに、同級生の誕生日を見つけてしまったことにあります。その同級生は、二〇一七年二月、病気でこの世を去りました。それでも、私がアドレスを消していないから、彼女の誕生日は未だに登録されたままだったのです。病気でさえなければ、早生まれだった彼女の誕生日はきっと、来年も普通にやってきたはずです。
そんなことを思うと同時に、それまで彼女を忘れていた自分に気が付いてしまったのです。“思い出す”ということは、それまで“忘れていた”ということです。そんな自分が、ひどく薄情な者に思えました。そこまで個人的な付き合いがなかったとはいえ、忘れてしまっていたことが恐ろしく思えたのです。
もうすぐ、彼女の死から一年が経とうとしています。たとえ、思い出が限りなくゼロに近くても、彼女を忘れることが増えても、完全に忘れてしまうことだけはしたくありません。忘れてはいけない、そんな気がするから。
読んでいただき、ありがとうございました。