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小さなクモ  作者: ほしざき ゆきの
2/2

‎友だち?

「カーッツ!カーッツ!」

 重なり合う枝と葉っぱの間から覗く小さな空。誰かを呼ぶ声と一緒にバサバサと羽音も聞こえてきた。

 トリだ!

 羽音からして、そう大きくはない。でも、近くまで来ている。

 ボクは、目の前にいるボクのことを『恩人』と呼ぶ小さなクモを置き去りにして、近くにあった葉っぱの裏に身を隠した。

 でもやっぱり気になる。葉っぱの裏からちょこっと顔を出して辺りの様子を伺うと、あの小さなクモは太くて長い糸をつぎつぎと小枝に絡め、小さな空に向かってピョンピョンと駆け上がっていく。

「ビア!」

 ヤツが声を上げる。だめだ。見つかる。食べられちゃう!

 ボクは2つの目玉をギュッとつむり、縮み上がった。

 葉っぱの生い茂る藪の中までトリが下りてくることは、そうそうある事じゃない。だけど、時にはここまで降りて来てカエルやバッタをつまんで空へと帰っていく。つままれたモノはジタバタともがいてみせるが、あの鋭い口バシから決して逃れる事はなかった。ヤツもきっと...そう思っていたら、なにやら楽しげな声が聞こえてきた。

「だから、しっかり掴まっていろよって言っただろ?カッツ。なのに、あんなに身を乗り出すから...」

「風があんまり気持ち良かったから、思わずさー。わかるだろ?ビア。」

「わからない訳じゃないけど、落ちたら命の保証はないんだぜ?」

「わかってるって。もうしないよ。」

「当たり前だ!じゃあないと、もう、背中に乗せてやらないからな!」

「わかったって言ってるだろ?しつこいなぁー、ビアは!」

「カッツが、言うことを聞かないからだろ?何度言ったらわかるんだ!」

 小振りのトリは、背中にもっと小さなクモを乗せてふんわりと降りてくる。2人はお互いを『カッツ』『ビア』と呼び合い、2言、3言、言い合うとどちらからともなくクスクスと笑い出し、見つめ合ってはガハガハと大笑いへ変わっていった。



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