表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さなクモ  作者: ほしざき ゆきの
1/2

ひっかかっていた『はじまり』

はじめまして、ほしざきゆきのです。

あたしの初・オリジナル小説です。

楽しんでいただけましたら、うれしいです。

よろしくお願いします。

 大きな森の片隅の、葉っぱの茂る藪の中。小さなクモが住んでいた。

 そのクモは、細く短い糸を小枝にからめて小さな巣を作り、小さな羽虫を採ってはひとり静かに暮らしていた。

 同じような日が続き、これからも同じような日が続いていくと思っていた。

 そんなある日、意外なものが小さなクモの巣にひっかかっていた。

「やあ!」

 絡まる糸を解きながら、声をかけてきた小さいヤツは自分と同じ小さいクモ。

「やあ・・・」

 つられる様に声をかけると、ヤツは4つの目玉をパチパチとまばたきさせてにっこりとほほ笑んだ。

「キミ。なかなかいい所に住んでいるね。」

「いや、別に・・・」

 初めて見る自分以外のクモ。

 ヤツはボクの方へ近寄ってきて、マジマジと見るとボクの周りをぐるりとまわった。

「目玉は2つしかないの?足は6本しかないの?キミってクモだよね?」

 無邪気な視線がボクを捕らえて離さない。

 ヤツに言われたみてボクは初めて気付いた。

 ボクの目玉は2つで、足は6本だ。

これって、普通のことじゃないってことなのか?

「2つの目玉と6本の足のどこが悪い!」

 まるでボクがクモじゃないって言われているようだ。

「あっ。気に障ったのなら謝るよ。

 きっと卵からかえる時に忘れてきたのかもしれないね。

 それとも、子グモの頃、敵に捕られてしまったのかも。

 どっちにしても、キミはオレの『命の恩人』だってことだ。」

4つの目玉と8本の足を持つ小さいクモは、1つ大きくうなづいた。

「命の恩人?このボクが?」

「そう。ビアの背中に乗っていたら、突風に吹き飛ばされちゃってね。

 キミの巣のひっかかって命拾いをしたって訳。わかる、かな?」

 またヤツは、4つの目玉をパチパチとまばたきさせてボクの顔をのぞきこんだ。

 ボクの巣にひっかかっていたこの小さなクモは、当たり前のようにボクの静かな毎日を壊し始めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ