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第2話 ━魔法の無い世界━

あらすじ変更しました。なんか書いてるウチに、アレ、コレあらすじと違うくない?ってなってしまいまして、本文は戻れないところまで行ってしまったので泣く泣くあらすじの方を変えました(泣)

 空共は混乱する意識の中、自分の身に起こったことを整理しようとしていた。


「何が起こったのかは分からんけど、とりあえず輝にでも電話して……って圏外?そんな馬鹿な!?」


 この時代、当然のように魔法が使われていて圏外になるエリアなどほとんど存在しない。電波状況の表示が残っているのはもはや都市伝説としてネタにされているぐらいだ。


「圏外なんて初めてだ。どこに転送とばされたんだ? 日本……じゃないな。この木は……アマゾン辺りか?」

 

 急に変化した風景に戸惑いながらも彼は冷静に分析し、自分の想像に身震いした。


「どうやって帰る? 手持ちは小銭だけ。……海岸まで行ってから水魔法で泳ぐか風魔法で飛ぶ…のは論外だな、絶対に距離が有りすぎる。仕方ない、ヒッチハイクか、最悪の場合は密航でもやってみるか?」


 半ば本気でそう言いながら彼はあることに気が付いた。


「待てよ、何をするにしても結局人のいるところまでいかなきゃならないのか。地図でもあればな。歩きの上に道に迷ったりでもしたら洒落にならない」


 そう帰る手段を考えていると、遠くからかすかに叫び声が聞こえた。


「悲鳴?てことは人がいる…ん……だよな?」


 21世紀のマンガに「タスケテー」と鳴く凶暴な鳥が出ていた。自分のおかれた奇妙な状況はそれに似ている。空共は一瞬躊躇したが、ここにいてもどうしようもないと思い直して声の方へ向かった。


「こんな森の中なら人も来ないし、何があってもおかしくない。いきなり出て行くのは危険だな」


 そう言って空共は魔法を行使する。頭の中で鳥のイメージを作り、体内の魔力子を練り上げてイメージを実体化させる。

 空共オリジナル魔法、『幻鳥げんちょう

 彼の意識と同調リンクして、指示どおりに動き、視覚や聴覚などの情報を送ってくる。魔力粒子製の超高性能小型偵察機みたいな物だ。

 複数操ることもできるが今は1体だけ飛ばしておく。


「さてと、悲鳴が聞こえてきたのはこのあたりか?」


 幻鳥から送られてくる映像、そこには3人の男達と、ほぼ身長と同じサイズのローブを着た子供が映っていた。


「なんだありゃ、コスプレか? だが何かの撮影って感じでもないな」


 男達は3人とも良く言えばレトロな、悪く言えば古臭い格好をしていた。中世の資料や()()()()()()でしか見ることができないような…………


「これどうするか。……多分、子供が襲われてるってことなんだろうな。なら、子供を助けてそのかわりに人のいるところまで案内してもらうのが一番か?」


 幻鳥を解除して飛び出す。鳥の形の魔力子が霧散したのを横目に男達と子供の間に割り込む。突然の乱入者に男達は叫び始める。


「%◎*☆§★°§#¢&∴!」

「やっぱ日本語じゃないか、使っておけばよかった」


 知覚強化魔法の言語理解オートワードを使用する。とたんに男達の言葉が日本語として聞こえ始めた。

 

「だからお前は何なんだと聞いてるんだよ!!」

「……答える必要あるか?それよりこの状況、悪役はお前らってことで良いんだよな?」

 

  子供━━と言っても近くで見ると中学生ぐらいだったが━━の方を振り向くと、たまたま風が吹いてフードがめくれて顔があらわになる。その目には涙が浮かび、一目で怯えているのが分かった。


(女の子か、まあこっちが襲われてる側で正解なんだろうな)

 

 空共はその女の子の背にして男達の方を向く。


「あぁ!? いきなりしゃしゃり出てきて、商売の邪魔するんじゃねぇ!!」

「ふん、子供を襲うのが商売か。 随分バカみたいな仕事をしているんだな」

 

 その言葉でついにキレたのか男達は空共に襲いかかってきた。3人とも青竜刀のような刀を手にしていた。


魔道具マジックツールか?」


 降り下ろされる刀を紙一重で回避する。後ろから「危ない!!」と声がするが気にしない。触れるか触れないか、というギリギリでかわしながら相手の武器を分析する余裕まであるのだ。空共に当たるはずがない。しかし空共はその刀に違和感を持っていた。


(おかしいな、あいつらからも武器からも一切魔力子が見えない。今時そんなの有り得ない。)


 通常見えないはずの魔力粒子を空共が見ることが出来ている理由、それは彼の使っている魔法にある。

 知覚強化魔法『ヤミノメ』、闇属性の魔法だ。自分の目の魔力粒子の濃度を高め、影絵のように対象の持つ魔力粒子と反応させて視認する。空共はこの魔法を使い相手の戦力を見ていた。


「マジで魔法を使ってないのか?ちょっと危険だが試して……みるか。」


 あえて腕を使い刀をガードする。空共以外の4人が切られて腕が落ちるところを想像した。男達はニヤツキ、女の子は両手で顔を覆った。

 だが、ダメージを受けたのは攻撃した方の青竜刀モドキだった。空共の腕に当たった部分からヒビが入り粉々になってしまった。


「ハァッ!? どうなってやがる!?」


 土属性防御魔法『鉄壁シルド』、空共は腕を魔力粒子でコーティングし、その硬度を高めていた。ただしこの魔法はあくまでも物理的な衝撃から身を守るものであり、魔道具マジックツールには効果がないはずだった。

 

「やっぱり魔法が使われてない。わざと……なわけないよな。」

「何をブツブツ言ってんだ、この化物ぉ!!」


 男達は怒りか恐怖かで震えていた。


「化物か……そう呼ばれるのは慣れてんだよ。面倒だからな、これで終わりだ!」


 空共の腕が魔力粒子で覆われる。鉄壁シルドとは異なり紫色で陽炎のように揺らめいていた。


 腕力強化魔法『ヤミノコブシ』、護身術や格闘技の世界で一流の人が使う、レベルの高い魔法だ。


「吹っ飛べ」


 空共は魔力のこもったストレートを連続で放った。そのすべてがキレイに決まり男達は3人とも気絶した。


「よし。おい、大丈夫だったか?」


 そう言って女の子の方を向く。腰が抜けたのか、座り込んでしまっていた。

 助け起こしながら空共は目的を果たそうとする。


「悪いがこの辺に街かなんかないか?」

「………………」

「どっか怪我でもしたのか?」

「いえ……あの、えっと……助けてくれて、ありがとうございます……」

「気にするな。それよりも今、人のいるところを探してるんだ。どこか知ってる場所があるなら、案内してもらえないか?」

「あの…ここから少し離れたところに街があるので、えっと……見えてくるぐらいまでなら案内出来ます……」

「見えるとこまで?その街の中には入らないのか?」

「その…えっと…私は…………なので…」

「え、なんだって? 聞こえなかった。」

「私は………」


 その子は覚悟を決めたような顔でローブを取った。


「“獣人種”なんです……」


 ローブで隠れていたその子の体にはキツネのような耳としっぽがあった。


「………ハイ? 」


 もちろん魔法世界になっても、妖精やエルフといった種族は空想上の存在だ。獣人だって二次元かコスプレぐらいでしか見ることができない。

 そんな非現実な光景を目の前にして、空共の頭はとうとう処理能力を越え、ブラックアウトした。

ありがとうございました。感想などがございましたらお願いします。

後アドバイス貰ってる友人から「短いのに更新遅くね?」と言われたので更新早くなるかもしれません。

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