バッチリです
四十六、バッチリです
和やかな雰囲気で始まった真奈美の誕生日会は、いよいよプレゼントタイムへと突入した。果たして真奈美は喜んでくれるのだろうか?航は内心ドキドキしながら、それでも真奈美が喜んでくれる顔を想像しながら、じっと座っていた。
博仁が口火を切って言った。
「これは、俺と航からのプレゼント。誕生日おめでとう」
航が似顔絵を、博仁がぬいぐるみをそれぞれ手渡す。
真奈美がそれを受け取りながら言った。
「ありがとう。これは何かな?開けていい?」
博仁が答える。
「もちろん。開けてみて」
真奈美がまず、ぬいぐるみの包みを開ける。すると中から白い小さな犬のぬいぐるみが出て来た。
真奈美がそれを抱きかかえながら言った。
「可愛い。ありがとう。私、犬大好きなんだ」
それを見た航は小さく『よし』とガッツポーズをした。まずつかみはOKだ。問題は、次のプレゼントのリアクションである。ぬいぐるみを抱えながら、真奈美が似顔絵に手を掛ける。
真奈美が言った。
「これは何かな?何かの絵みたいだけど」
そして、ゆっくりと真奈美が似顔絵を広げた。航は似顔絵の完成度には自信を持っていた。あとは、この絵を真奈美が気に入ってくれるかどうかだ。
すると、似顔絵を見た真奈美が突然笑い出した。
「これって私だよね。よく似てるー」
それを見て由紀が横から覗き込む。
「どれどれ」
似顔絵を見た由紀が言った。
「確かに良く似てるよ。特に目元なんかそっくり」
真奈美が航に問いかけた。
「これは渡辺君が描いたの?」
航が答える。
「下絵は俺が描いて、色塗りは博仁と二人でやったんだ。どう?気に入ってくれた?」
真奈美が即答する。
「もちろん!こんなに似ている絵をもらったのは初めてよ。どうもありがとう」
航はホッと胸をなでおろした。真奈美がこんなに喜んでくれるなんて、努力した甲斐があった。
由紀が航に言った。
「渡辺君にこんな才能があったなんて、驚きよ。ねえ、今度私の似顔絵も描いてよ」
航が答える。
「じゃあ、櫻木の誕生日にでも描いてあげるよ」
「やった!誕生日が待ち遠しいわ」
真奈美が言った。
「せっかくだから、これ部屋に飾っておくね」
航が言った。
「うん、そうしてくれるとうれしいな」
すると、博仁が横から口を出した。
「俺もその似顔絵を描くの手伝ったの、忘れないでくれよ」
真奈美が笑いながら答える。
「もちろんよ。向井君もありがとう」
こうして真奈美の似顔絵は、本人がとても喜んでくれ、大成功に終わった。航は真奈美のとの距離が、また少しだけ縮まったのを感じた。




