行動あるのみ
三十五、行動あるのみ
それから数日が過ぎた。結局、真奈美と博仁のことは、考えに考えてもわからなかった。故に航は、自分のペースで自分らしくやろうと心に決めた。変に無理をしてもすぐにばれてしまうので、自分が思うままに真奈美にアプローチしていこうと。それが航の出した結論だった。
朝晩のトレーニング(真奈美の家までの往復走)も継続していた。いつ真奈美に見られているかわからない、と思うと、走りにも自然と力が入った。そして今日も、ついさっきトレーニングを終えて、家へ帰って来たところだ。
航が部屋でのんびりしていると、博仁から電話がかかってきた。
航が電話に出る。
「もしもし」
電話口から博仁の声が聞こえてきた。
「もしもし、俺だけど」
「どうした?」
航が尋ねる。すると、博仁が思わぬ誘いをしてきた。
「今日さ、地元のお祭りがあるんだけど、一緒に行かないか?」
「いいよ」
「多分、櫻木も来ると思うんだよね。永井と一緒に」
航が驚いて聞き返す。
「ホント?」
「ああ、昨日会ったときにそんなこと言ってたから」
「行く行く、絶対に行く!」
「じゃあ、適当な時間に俺んちに来いよ。お祭りは夕方からやってるから」
「わかった。じゃあ、四時頃行くよ」
「待ってるぜ」
そう言うと、博仁は電話を切った。
お祭りに真奈美がやって来る。
この前は二人きりでもまずます上手く話せたし、真奈美との距離は少しずつ縮まっているはずだ。ライバルである博仁が邪魔ではあるが、とにかくアプローチしないことには前には進まない。もしも真奈美が博仁のことを諦めたなら、今がチャンスだ。
航は横になっていたベッドから飛び起きると、早速今日来ていく服を吟味し始めた。
そして、約束の四時、航は博仁の家へとやって来た。
博仁が玄関から出て言った。
「よう、ちょっと早いけど、お祭りの会場へ行くか?」
航が答える。
「そうだね」
そして、二人揃ってお祭りの会場へと歩き出した。すると、博仁が航に向かって言った。
「今日は永井の手くらい握れよ」
航が首を振って答える。
「まだ無理だよ」
博仁が航をせかす。
「そんな弱気でどうするんだよ。どんどん押して行かなくちゃ」
航がため息交じりに言った。
「ひとごとだと思って、よくいうよ」
しかし、実は航も今日こそは真奈美の手くらい握りたい、と思っていたのであった。そのくらい積極的(?)でないと、この恋は逃げてしまう、そう感じたからである。
かくして、航の『手を握る大作戦』が静かに幕を開けたのであった。




