表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/47

帰り道に

三十二、帰り道に

 そうして博仁の誕生日会も楽しく過ぎ、お開きのときとなった。帰り際、博仁が皆に向かって言った。

 「今日は俺のために集まってくれて、本当にありがとう。ケーキ美味かったよ」

 由紀が言った。

 「次は真奈美の誕生日ね。二人とも忘れないでよ」

 「忘れないよ。八月三十日だろ。なあ、航?」

 航が大きく頷いた。

 「うん」

 博仁が航を突っつく。

 「航、永井を家まで送ってやれよ」

 真奈美が言った。

 「いいわよ。そんなに遠くないし」

 航が慌てたように言った。

 「送る、送るよ」

 「悪いわよ」

 「悪くなんかないよ。それに何かあったら大変だし」

 「そう?じゃあ、お言葉に甘えて」


 すると、真奈美が航の隣に寄って来た。その距離わずか数センチメートル。この夏一番の近さだ。航は胸の鼓動を抑えることが出来なかった。

その反対隣では、博仁が航の腕を突いている。『うまくやれよ』、そう言っているようだった。


 博仁が言った。

 「じゃあ、またな。バイバーイ!」

 「バイバーイ」

 そう言うと、博仁が家の方へと駆けて行った。博仁の後姿はあっという間に見えなくなっていた。

 真奈美が言った。

 「それじゃあ、私たちも、ね」

 航が頷く。

 「あ、うん」

 「じゃあね、由紀」

 「バイバーイ、またね」

 そして、航と真奈美は並んで由紀のうちを後にした。


 帰り道、航はどんな話をしようか、思案していた。真奈美の家まではおよそ二十分。二人きりのこのチャンスを逃す手はない。

 航が真奈美に話しかけた。

 「今日のケーキ美味かったよ。永井のアイデアかい?」

 「ありがとう。今日のケーキは由紀のアイデアよ。私は手伝っただけ」

 「お菓子はよく作るの?」

 「クッキーくらいならたまにね。由紀はよく作るみたいだけど」

 「そうなんだ」

 航は二人きりで緊張してしまい、中々会話が続かなかった。これ以上何を話したらいいのかも思いつかない。すると、真奈美の方から意外なことを話しかけて来た。

 「由紀と向井君て、お似合いかなあ」


 航は一瞬、何のことかわからなかった。博仁と由紀がお似合い?真奈美は博仁のことが好きなんじゃないのか?


 混乱している航を余所に、真奈美が続けた。

 「二人、いいカップルになるといいな」

 これは、真奈美が博仁のことを諦めたということか?それとも別の意味があるのか?航はますます混乱していた。

 真奈美が航に問いかける。

 「ねえ、そう思わない?」

 「そ、そうだね」

 航は全く意味が分からずに、ただ頷くだけだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ