恋のライバル?!
二十、恋のライバル?!
プールからの帰り道、航は何も話せずに歩いていた。帰り道というより、真奈美と話した後から、航は一言も話せないでいた。親友の博仁が場を盛り上げようと、色々と話を振ってくれるのだが、そんな振りにも航は『うん』とか『まあ』とか、気の抜けた相槌を打つだけであった。そんな航を見かねた博仁は、由紀と真奈美と別れた後、航と二人きりで話す機会をつくった。
博仁が航に問いかける。
「どうしたんだよ、航。さっきから元気ないぞ」
航は、真奈美の言葉にショックを受けていた。
『向井君って好きな人いるのかな?』
この言葉はすなわち、真奈美は博仁のことが好き、という証なのだと思ったのだ。
博仁がさらに航に詰め寄る。
「何かあったんなら、俺に話してくれよ。俺たち親友だろ?」
すると、航が重い口を開いた。
「実はさ…」
「実は?何だよ?」
博仁が航の傍によって聞く耳を立てる。
「永井がさ…」
「永井が?」
航は博仁に言うべきか否か、とても迷っていた。博仁は自分が真奈美を好きなことを知っていて、色々と応援してくれている。その真奈美が実は博仁のことが好きなのだと分かったら、博仁はどう思うだろうか?恋か友情か、その狭間で悩むのではないだろうか?
航はやはり、言わないことに決めた。真奈美が直接、博仁に告白するようならその時はその時だが、自分から間接的に言うのはやめよう。航はそう心に決めた。
航が言った。
「永井がさ、今特に好きな人はいないんだって。俺のことも眼中にないみたい」
すると、博仁がホッと安心したように言った。
「何だ、そんなことか。別に気にする必要ないじゃんか。これからアタックして仲良くなれば、そのうち航のことが好きになるって」
「そうかなあ」
「そうさ、気にすることはないさ」
「そっか、そうだよな。気にすることないよな」
今は博仁のことが好きでも、これからアタックして行けば自分の方に振り向いてくれるかもしれない。自分の恋はこんなことでは諦められない。航はひそかに闘争心を燃やすのであった。




