エッ!!
十九、エッ!!
雲一つない快晴の空の下、四人はプールを満喫していた。ウォータースライダーに流れるプール、波の出るプールと、色々な種類のプールを楽しんでいた。航は、真奈美と二人きりで話をしたかったが、それ以上にプールが面白く、博仁と二人で思いきりはしゃいでいた。
そして、一通りのプールを楽しんだ後、流れるプールでのんびりとしていると、由紀と真奈美が近くにやって来た。
博仁が由紀に声を掛ける。
「どう?楽しんでる?」
由紀が答える。
「楽しんでるわ。ここのプールいろいろあって面白いわね」
真奈美が航の声を掛けた。
「渡辺君も楽しんでる?」
航が小さく頷く。
「うん」
すると、博仁が航に目配せをした。何か言いたそうだが、航にはよくわからなかった。
博仁が由紀に言った。
「ウォータースライダーに行かないか?」
由紀が悪戯っぽく答える。
「いいけど、後ろから押したりしないでよ」
博仁が両手を上げて言った。
「わかってるよ」
そして、博仁がプールから上がるとき、近くにいる航のそばへ行き、そっと耳打ちした。
「がんばれよ」
博仁と由紀がウォータースライダーの方へ消えて行った。流れるプールには航と真奈美の二人だけが残された。
話しかけるチャンスだった。航は何を話そうか、頭の中をフル回転させて考えた。すると、真奈美の方から話しかけて来た。
「渡辺君、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
何か意味ありげな物言いに、航は少し緊張しながら答えた。
「なあに?」
真奈美が言った。
「あのね。向井君って好きな人いるのかな?」
「博仁?」
航は一瞬凍り付いてしまった。真奈美が博仁のことを気にしている。そんなこと考えたこともなかったからだ。
勘のいい読者の方ならもうお分かりだろう。真奈美は親友の由紀のために博仁のことを聞いたのであって、真奈美が博仁のことを好きという訳ではないのだ。しかし、その辺りの事情を知らない航は、当然のことながら勘違いをしてしまっているのであった。
航は、どうしたものかわからずに、ただ黙っていた。真奈美が博仁のことを好きなのか?頭の中が混乱していた。それでも何とか返事だけはしなければと思い、言葉を絞り出すように言った。
「別に誰もいないと思うよ」
すると、真奈美が安堵の表情を浮かべ言った。
「そう、よかった」
よかった??全然よくない!
航はその後一言も話せずに、ただプールに流されていた。




