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かみさかさま!  作者: 速中 華龍
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登校中の出会い


時刻朝7時

心が踊るような、そんな気持ちに起こされる朝。


桜が咲き誇る今日は入学式。


誰もが憧れを抱くお金持ち学校「美逆学園」に行くこととなった私は、今でも実感が沸かずにいる。

何故なら、平凡な家庭に育った私はそんな場所に行けるなど夢にも見ていなかったからだ。だが、中学3年生に上がった頃に両親が交通事故で他界へ。ちょうど父の知り合いの(どこで知り合ったのかわからないが)神坂家の主「神坂影継(こうさかかけつぐ)」は子供がいなかったため、

「うちに来なさい、千尋」

と私をこころよく引き取ってくれた。

そして、彼の好意により美逆に通えることになった。

私は彼の好意を無駄にしないように学校生活を送ると決めている。



時刻は7時半。新品の制服に袖を通して身なりを整える。

私は携帯を手に取り、時間を確認する。ねぼすけで愛らしい友人に連絡する時間だ。おそらくまだ寝ているのだろう。


電話をかけてワンコール、ツーコールと数える。ちょうど四度目になった時やっと寝ぼけ声が聞こえた。

「百合ちゃん、起きて!入学式だよ!」

(わたくし)の変わりにでてくださいですの……」

「何言ってるの?早く起きて!入学式が終わったら遊ぶ約束じゃない!」

私は受話器に向かってわざと大きな声を出す。

きっと向こうから聞けば少し音割れでもしているのではないだろうかというぐらい。

このくらいしなければ起きないねぼすけだ。


電話ごしに

「もう起きたですよー」

という言葉を聞いて電話を切る。


「そろそろ私も行かなくちゃ」

例え良い家でも送り迎えではなく、自分の足で行こうと決めている。なので、もう行かないと自分が逆に遅刻してしまう。


もう一度いかにも高そうな姿見で格好をチェックして、自分で納得してから

「行って来ます」

と靴を履いてドアを開ける。

「行ってらっしゃいませ、千尋様」

と使用人の人が、

「気をつけて行ってくるんだぞ」

と影継さんが言葉を返してくれる。

そんな暖かさに助けられ、より一層明るく出発できる。




時変わってこちらは恋焦がれる男の子。

今日も後ろから愛しいあの子を見つめています。

それだけで満足なのです。

(俺があの子を思っているだけで十分だ。悲しくもなるけど、満 足なんだ。)

そんなことを考えながら今日もあの子を後ろから眺める。

そんな俺に気づくことなく、前を見て歩くあの子が愛らしい。


俺だけのあの子。


自分が通常学校へ行く道が近くなる。そろそろ頃合いだろう。俺はよく知る道へ走る。

ちょうどあの子と出くわす様に。


「あ、おはよう!千尋ちゃん」

「あれ、真くんおはよう!偶然だね」

「そうだね!良かったら一緒に行こうよ」

狙っていた筋書き通り、君は「うん!」と答える。

あぁ、狂ってしまうぐらいに君が愛おしい。だから君の秘密もたくさん知ってるよ。

溢れる気持ちを抑えてにこやかに雑談する。

自分に向けられる笑顔に何度も狂いそうになりながら。



「千尋ちゃーん!」

後ろから聞き覚えのある声が聞こえてくる。

「百合ちゃん、おっはよう」

振り返って語尾に♪でもついているのではないかというぐらい私が軽やかに挨拶すると、ふわりとした笑顔で

「おはようございます」

と返してくれる。

こんな百合ちゃんに今日も癒される。


その時、後ろから走ってくる音が聞こえる。

気づいた時には遅く、振り向いた瞬間に私はぶつかった。

「あっ、ごめん」

「こっちこそごめんなさい。怪我はない?」

「大丈夫。急いでるから」


スカートについた土を払いながら立つと、カランと音がして、何かが床に落ちた。

「千尋ちゃん、何か落ちたですよ?」

拾い上げてみると、キラキラと光る赤い石のネックレスだった。

「どうしよう……。あの子のかも」

すると真が、

「あの子美逆の制服着てたから、また会えるじゃないかな?」

と言ったので、私はネックレスをそっとポケットに入れてまた歩きだした。


歩いていると、百合ちゃんが前の方を見て、

「千尋ちゃん、前に人だかりが出来てるみたいです。何してるんでしょうか?」

と言った。

その人だかりに近づくにつれ、たくさんの声が聞こえてきた。しかも、女性ばかりだ。


「翔くーん!サインくださいっ!」

「翔くんカッコいい」


この女性たちの反応を見ると、有名な芸能人かなにかがいるのだろう。でも、私は対して興味が湧かない。それどころか、道端に溜まられてうっとおしいと思ってしまう。

百合ちゃんと真くんも少し困った顔をしている。

人だかりに、退いてくださいと声をかけても退いてくれる気配がない。


すると、真ん中にいた男の子が私たちに気がついて、女性たちに

「この子たちの邪魔になってるよ」

と言った。独特の雰囲気と、きりりとした目が少し恐ろしく感じたのだろう。すぐに道が開いた。


「あっ、ありがとう!」

「いや、俺のせいだから」


男の子は女性たちに

「ちょっと移動しようか」

と言って歩いて行った。


そんな彼も美逆の制服を着ていた。


初のコラボ作品です!楽しんでいただけたでしょうか?感想など気軽にお送りください♪


次回もよろしくお願いします!


町中 花恋 & 速水 龍 でした!


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