第一章 園①
朝は嫌いだ。眠いから。そもそも学校がこんな早い時間から始まるのがいけないんだ。もっと遅くても勉強なんぞ出来るだろ。意味がわからない。
とかなんとかいっても、学校を休むほどの度胸もない俺は、結局文句をいいつつ、制服に着替える。
そしてそのまま台所へ向かい、トースターの中に食パンをつっこむ。
パンが焼けるまで約5分、その時間だって有効活用。昨日本部から届いたメールの内容を確認し、家を出る。向かうは近所の公園。ジョギングがてら、行ってみると、男が寝ていた。様子を見るに、酔っ払いだろう。
「斎藤永、で間違いないな」
先ほどメールで見た写真と一致している。
それだけ確認すると、ポケットの中から本日の得物を取り出す。
果物ナイフだ。
ナイフを片手に男―斎藤に近づくが、気付く様子はない、ぐっすりだ。一定距離まで来ると、ナイフを握った右手を、斎藤に振りかざした。
途端、つんざくような悲鳴がした。痛みで目の覚めたようで、信じられないという顔で俺を見る。まるで養豚場の豚だ。
そんなターゲットの反応を無視して、トドメの一撃を喰らわせる。不愉快な声が途切れた。
死体はそのままに、公園を後にする。本
本当なら、おこずかいにと、財布をくすめてやりたいが、今日は上からの命令だ。そのまま公園を後にする。
マンションに帰りつくと、パンが焼けた音。5分ぴったりで帰ってきたらしい。
少し急ぎ目で朝食を食べ、再び家を出る。今度は高校生として。
誰もいない廊下にいってきます、と呟いた。