出会う
友人のトレジャーハンターに連れられて、俺は『竜の眠る森』へと入った。
友人曰くこの森には、数多くのトレジャーハンターが見つけられず諦めるという財宝がある、らしい。
見つけられない、ということは、ないんじゃないか?と告げた俺に、友人は大激怒し何処かに消えた。
……そう。
はっきり言おう。
俺は、迷子になった。
そもそもしがない一般民たる俺を置いて消えてしまう友人も友人だ。
街から出たこともない俺に「そんなんじゃ男が廃る!」と言い、嫌がる俺を無理矢理連れて来て、そしてこの状況だ。
一体俺にどうしろと言うのか…。
立ち止まっていても始まらないので、俺はとにかく歩く。
森を抜ければどうにかなるだろう、そんな希望を抱いて歩く。
だが歩き続ければ続ける程、森はより一層、色を濃くしていくばかりで、一向に抜けれる気がしない。
さすがにこれじゃヤバイと思い、来た道…すら、あやふやなんだが…を戻ろうとした時に。
俺は、こいつを見つけた。
木の根元で丸くなって寝ている少女…というか、幼女。
こんな所で昼寝をする幼女に、俺は普通に驚いた。
いくらなんでもこんな所で、むしろ親御さんが心配してるだろう、と起こそうと手を伸ばし、あと少しで届きそうな時に、昼寝幼女はその双眸を見開いた。
真ん丸い紫紺の瞳が、俺を見上げる。
次の瞬間、俺の伸ばした腕を幼女とは思えない力で握りしめた。
「いててててっ、痛い、痛い」
思わず声をあげる俺に、幼女はこう言った。
「お主が竜女たる妾を目覚めさせたというのか…?」
「……は?」
俺は、その内容よりも幼女の口調に絶句した。
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