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第五話

よし。

だいたいこんな感じのペースで行きたいな。


「よっしゃこれから魔法創造の授業始めるぞ~」

 リラ先生は相変わらず口に白く細い棒状の物を咥えている。

 この授業は魔法創造。授業の目的は魔法の改良及び創作である。入学時一番人数が多い授業だが一週間後、このクラスに残るのは半数以下であろう。魔法学校の中で一番難しい授業と言われているのだ。魔法を作るのは至難の業であり、それが戦略級(戦いの中で戦況を覆せる魔法や、大規模な魔法)となると何年もの時間をかけて作るものであり。だが俺は前世で魔法を研究し、創るなどお手のものである。しかし、探究心はあるので、簡単であっても授業は受ける。

 そしてこの学校は単位制である。授業は必修を除き選択が可能なのである。一年生で選択が可能な授業数は二つ。もちろんそこを開けてアンスケジュール、通称アンスケをつくることができる。俺は魔法創造と実戦演習の二つを取った。

「で、お前も同じだったのか」

「まったく同じだバカヤロー」

エスカルデルも同じだったらしい。

「なぁエスカルデル。お前の名前長くね?」

「同感だ。短くしたいものだ」

「ならあだ名としてエスカルデルの始めの文字二つでエスな」

「エス……だと?」

 エスカルデル改めエスは無駄なリアクションをしている。

 どうやら彼女かなり人間らしくなってきている。ちょっとした芸ができるほど人間のようになっている。

「お前魔法使えるのか?」

「大丈夫だ。この体になってから魔法は難なく仕えてるし、地形変化もさせていない」

「それを聞いて安心したよ」

 どうやら魔王の時のように魔法が暴走したり、クレーターを作る事はないようだ。これでルクサリオは平和である。

「諸君、それでは授業に入ろうか」

 先生が本格的に話を始めたので俺とエスは先生の話に耳を傾きけた。

「魔法創造。この授業は名前どおり魔法を作る事に関係している。今私達が使っている魔法は昔の人たちが築き上げてきた物を土台としている。最初の方はそれを使って簡単な魔法の製作、魔法の改良を行ってもらう。今年は簡単だが、来年からは本格的に魔法を作ってもらう。三年生になると一年を通して魔法を作ってもらう。先に言っておくが、かなり難しいぞ?一番やめる奴が多い授業だしな。やめるときは言ってくれ。すぐに授業変更の紙にサインするからな」

「僕はやめるつもりはありません!」

「そうゆう奴からやめていくんだよ」

 先生は口に咥えている細いく白い物を指で挟み口元から離し、一息つく。煙が出てるしあれ本当にタバコじゃないのか?

「このクラスに残るような奴は本当にやる気のある奴か、興味がある奴か、変わったやつしかいないさ。例えば――――」


「アイツとか」

「そこの子とか」

「もしくはそこの男の子かな?」


指を差されたのは半円形のクラスの右端っこに座っている女の子と、俺の隣に座っているエスと俺だった。確かに俺にとっては難しくないから最後まで残ると思うが。

「まぁ頑張ってくれたまえ少年少女よ。ちなみに去年は約三十名が一学期の一番最初の授業にいたが、今残っているのはたったの十二名だけだぞ」

 先生はそれだけ言った教科書を開けて授業を始めた。








「む、難しい……」

 授業と授業の間の時間、教室移動の時間である。エスは嫌気がさして顔でそう呟く。俺は、まったくもって問題なし。成績上やってはいけないが、寝ていても十分である。

 次の授業は実戦演習。この授業は恐らく肉体的に一番つらい授業であると思う。実戦で使う魔法や戦い方などを教えられ、それを実際に使うハードな授業。ちなみにこの授業は選択授業の中で唯一騎士養成学校と一緒に授業を受けるのである。なのでちょっとしたいざこざが毎年あるらしいのである。しかし先生はそんな事お構いなしでチームを組ませられる。戦略を練る練習らしい。

「ほら行くぞ、この上の階の教室集合だぞ」

「教室集合?今日は野外授業じゃなかったのか?」

「テレポートして行くんだよ」







「なんだかお前らと合う事が多いな」

 リラ先生がタバコを咥えながら言う。

 この授業もこの先生が担当しているのだった。結構幅広く、どちらかというと実戦向きの人っぽいな。

「よっしゃ時間だからもう始めるぞ。諸君おはよう」

 おはようございます。と生徒が声を揃えて言う。先ほどの授業と雰囲気が違うがどうやらまじめにやるらしい。

「多分全員いるから始めるわ」

 真面目じゃなかった。

 それより先ほどから何か違和感を覚える。

 誰か魔法を使っているのか?

「とりあえず入学した皆の為に授業を説明しておくよ」

 そして先生は俺が知っている事とまったく同じ事を言った。

 先生が説明し終わった後、生徒の手が挙がった。制服からして騎士学校の子だ。

「騎士養成学校の入試主席のアイン・クライドです。質問があります」

「はいどうぞ」

「なぜ私達が魔法学園の生徒と授業をしなければならないのでしょうか?」

 出たよ。絶対誰かが言うと思ったよ。

毎年このような発言があるのは知っている。だがいくらなんでもそんなダイレクトに言わなくても。

「なぜか?そんな簡単なことを訊くのか?」

「はい。なぜ私達がこんな人達(・ ・ ・ ・ ・)と一緒にいなければいけないのでしょうか?」

「答えてやるけど、まずその魔法使いを見下した言い方をやめな」

 先生が少し怒った感じで言う。一応この人も魔法使いだし、そんな言い方をされるのはいやなのだろう。そして生徒のほうもピリピリしてきている。まさに一触即発。

「なぜ必要か?そんなもの簡単だろう。必要だからやるんだよ」

 ただその一言だけだった。

 教室は一瞬で静まり返った。それだけじゃわからないだろ。

「騎士一人で戦えるとでも思っているのか?バカじゃないのか?逆に一人で何が出来るんよ」

「騎士一人で十分ですわ」




言ったな(・ ・ ・ ・)?」




 言い終えた時には景色が変わっていた。

――――早い!!

俺とエスはあわてて周りを見る。大きな野原に遠くに学校と森が見える。ここはおそらく学園の私有地だろう。使った魔法はおそらく転移系統だがこんなにも上手く相手を指定して移動させるのは至難の技だろう。

先ほどから感じて違和感はこれだったのか。

「私が魔法を使っていたのを気付いたか?」

「いえ……気付かなかったです」

「だがそこの魔法使いは気付いていたぞ?」

 先生に指をさされる。騎士学校の生徒は悔しそうにこちらを見る。

「私も知っていたぞ」

「なら二人もうたのか。うん優秀なのは嬉しい事だ。先生歓喜のあまりタバコを吸いたくなってきたよ」

 別に言う必要がなかったがエスが主張する。

 先生はそう言って二本目のタバコを取り出す。

「騎士にはできて魔法使いにはできない事があり、逆に騎士にはできなくて魔法使いにはできる事があるのだよ。わかる?将来魔法使いと働く事もあると思うし。実際に現場で働いた事があるから言えるけど、結構チームとかって重要だよ?」

 そして黙りこむ騎士学校主席の子。無様である。

前世で戦争をしていたからわかるが連携やチームプレイは必要な事である。そんな嫌いだから他人と組みたくない、では通らないのだ。

「文句がないのなら結構。それじゃあ授業を始めるよ」







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