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第三話

ストックが少ないから、もう更新ペースが乱れている……

この先遅くなるかもしれませんがご了承ください。



ルクサリオ魔法学園

ここは世界一大きい魔法が習える学校である。

この学校の魅力は大きな図書館と闘技場であろう。他にも世界各地に分校が存在しており、そこに短期留学にも行けるのだ。

ちなみに校長の名はフォルク・ハイドル・シュナイダー。魔法と騎士道に通じている天才だ。二つ名は『マジック・ナイト』。二つ名は基本的に有名になったら勝手についてくるものらしい。要するにそれほどの実力者だという事だ。

「では皆さん、これからも勉学に勤しんでください」

その人が今目の前にいる。と言っても見た目は普通のじいさんっぽい。でも胸につけている勲章のような物の数はすごい。それが彼の実力を物語る。何個あるんだ?

「続いて、魔法学園新入生代表、レン・フォルティンガー」

「はい」

俺は席を立ち壇上へと向かう。入試はなんと首席だったのだ。

前世で魔法のエキスパートだったので、この程度のレベルだったら楽勝だ。基本的にはこの世界の魔法は前世と似ている。恐らくこの先魔法の知識で困ることはないだろう。

壇上に立ち生徒宣誓文を読む。内容はよくある「私たちは熱心に勉強します」とか、「魔法を正しく使う」とかである。一通り読み終えて礼をする。拍手が起き俺は一歩後ろに下がる。

次は騎士養成学園の入試の首席の子だ。

「続いて、騎士養成学園新入生代表、アイン・クライド」

「ハっ!」

音一つたてずに立った子は髪の毛が肩に掛かるぐらいの女の子だった。顔は綺麗な女の子、というより凛々しい顔だった。まさに騎士といった感じだった。名前を呼ばれた彼女は壇上に上がり宣誓文を読む。こちら側も似たような事だ、違いは魔法か剣かの違いだ。

 そして拍手。そろそろ座っている方々の手も疲れてきた頃だろう。

 もう一度俺は隣の騎士校の主席の子と腰を折り、頭を下げる。また拍手が強くなる。俺は自分の席に戻ろうとする。ふと騎士主席の方を見るとなぜか目が合い そっぽを向かれた。それより何故こっちを見ていた。

「それでは新入生両校代表生の生徒宣誓文でした」







 疲れた。

 壇上に立つとか久しくやっていない。しかも人が多い、いや当たり前か。ここは中高一貫の学校。入学式と卒業式には計六学年分の生徒が出席しているのだ。それプラス騎士学校にも生徒がいるのだ。騎士学校の生徒は魔法生徒よりも断然多いのである。

「はぁ……」

 疲れを吐き出すかのように溜息を吐く。実際疲れは抜けない。今日は半日なので帰る。帰って寝るか魔法を考えよう。

「お兄ちゃん!」

 俺の名前を呼んだのは妹だった。騎士学校の中等部の制服を着ている。胸と右腕の所に二年生であるマークがある。左腕に魔法か騎士学校の紋章、そして右腕に学年が簡単に刺繍としてある。

「シャーラ、どうした?」

「いや何もないよ。帰るんでしょ?だったら一緒に帰ろうかなって」

「お前友達はどうした」

 シャーラは中等部の一年生のころからこの学校に在籍している。なのでそれなりに付き合いがあるお友達がいるのだ。現に家に連れてきたりしている。

「また今度って言ってきたよ」

「友達は大切にしろよ」

 ちなみに中等部は他の学校に通っていた。そちらの方が魔法学の授業がよかったのだ。だが高等部に関してはこちらの学校の方が上だったので、入試主席を取って費用を免除してもらい入学したのだ。なのでまだ友達はいない、一人もだ。お、俺は、あ、明日から頑張るよ。


「待ったぁぁあああ!!」

 広い校庭で大声を出す銀髪幼女。朝俺を追いかけてきた元魔王様だ。

 俺はすぐさま妹の肩に手をまわし無理やり歩かすようにする。

「夕飯はなんだろうね」

「お、お兄ちゃん?」

 無理やり妹の肩に手を当て後ろから押すようにして歩く。もちろん妹にあんな変人が目に留まらないようにする。

「待て、待てと言っているだろう!」

 頭上から何やら声がするが無視して歩き進む。後ろを振り向いたら負けだ。

「待て、ロドリック、いや今はレンか……待てレン!!」

銀髪幼女は必死に話を聞いてもらおうと訴えてくる。だが断る。そんなことしたくない。こんな危険人物と関わりたくないのだ。

「い、いいから……私の話を聞け!!」

《攻撃魔法を感知、障壁を展開》

 俺の背中あたりに障壁が展開され魔法が阻まれる。大きな音を立てる、障壁は魔法を止めすぐに消えた。どうやら魔法を使ったらしい。

「貴様、そこまで作ったのか……」

「シャーラ先に帰ってくれるかな?」

 シャーラは戸惑っていたが何とか言い聞かせ先に帰ってもらった。俺は振り向き改めて彼女の方を向く。彼女に昔の魔王としての面影は無かった。背は縮んでおり、どちらかというと可愛さの方が多い。

「それで何用だ?」

「ふう。貴様を見つけたんでな、一瞬でわかったぞ。この駄勇者め。」

「俺は職務をまっとうしたぞ」

「黙れ、最後自爆だろ!」

 うがー!と怒って見せるがまったく怖くない。なんだか反抗期のウサギみたいだな。ウサギに反抗期があるかどうか知らないけど。

「それより何故俺がロドリックだとわかったんだ?」

「その本を見れば嫌でもわかる」

 彼女は俺の腰あたりにある本を見る。俺の魔法媒体として使っている。皮のベルトで縛ってある。確かに本の表紙や見た目は完璧に前世の武器と同じだ。

「そうゆうことだ。ここであったが百年目!前世の恨み晴らしてやる!」

 そこでアルテリアはから魔力があふれ出す。こんな場所で戦う気か?俺は周りを見る。場所は広い校庭。もちろん帰宅中の生徒もいっぱいいる。こんな場所で魔法を使って戦闘でもしてみろ、周りが巻き込まれる。

「せめて周りに結界を張った方が……」

「……だな」

 結界を展開。新入生は何事かと驚いている人もいるが、気にせず通り過ぎて行く人もいる。実はこの学校の敷地内ではあらゆる決闘が許されているのだ。もちろん守らなければならないルールはある。結界を張って周りに被害がないようにする。人が死ぬような事態にしてはならない。などなど、規制はあるがそれを守れば自由に戦っても良いのだ。

「「結界、展開」」

 俺とアルテリアを中心に円が広がり、闘技場を作る。一部の生徒は結界の外側から見ている。完全に野次馬だ。

「この学校のルールわかっているな?」

「ふん。あたりまえだ。ここで勝ってお前を奴隷にでもしてやろう」

「俺が勝ったら?」

「はっ!どんな事であろうと願いを聞いてやろう!」

 ん?

 それ負ける奴が言うセリフだろ。フラグが立ったな。俺も負けるつもりはないし。ちょっと力を出しますか。手を腰にまわしベルトに縛り付けている本に触れ 魔力を流し込む。本に巻きつけてあるベルトが自然に外れ落ちる。本を剣の様に前に出す。

「私は勝つぞ」

「いや、俺が勝つ」

 さっさと戦って、勝って、家に帰って、寝よう。

 アルテリアがポケットに手を入れコインをつかみ取る。それを中に放り投げる。銀色のコインはゆっくりと回りながら落ちる。―――――そして、地面に落ちた。



 これは見た生徒達は口を揃えてこう言う。

 あんな高度な戦いを見た事がない。

 頭がおかしい。

 本当に高校一年生なのか?

 そしてそれを遠くで見ていた校長は言う

 ―――――彼らは天才であり天災である。それよりも校庭の修理費が……―――――




 キィン、と高い音の直後俺とアルテリアは同時に動いた。もちろん下がらずに前に進んだ。通常魔法使い同士の戦いはまず距離をとる事が多い。理由は自分の魔法で巻添いをくらわない為である。でも俺とアルテリアぐらい強くなると気にしないし、ちょっと位のダメージで傷つく程弱いコーティングをしていない。

「コーティング」

 基本中の基本の魔法、これがないと撃たれ弱いただの一般人のままだ。通常の状態で魔法とか剣を受けてみろ、一瞬でミンチになる。

「はっ」

 アルテリアは俺に殴りかかろうとしてくる。だがそれは俺のシールドによって止められる。魔法のシールドだ。これも基本の中の基本。

 「ページNo.1.アロー」

 本の中のページが一枚やぶれ飛び出る。ページには魔法陣が書かれている、ページは俺が設定した標的に対して魔法を撃つ。アロー、矢の形をした魔法がアルテリアに当たる。もちろん無傷。だが全盛期よりか魔力はない感じだな。昔はコーティングに反射とかチートな効果を付与していたからな。恐らく高度な魔法は使用できないと見た。


「ぬるいな」

「お前もだ」

 アルテリアはすぐに俺との距離を詰め肉弾戦に持ち込んでくる。俺も剣よりか拳による戦いの方が得意なので応戦する。

「ページNo.1アロー」

 もう一度同じ呪文を使うが数を増やす、10発。ページがまたやぶれる。すぐにアローを撃つ。様々な方向角度から彼女を狙う。全て殴ったり、かわされたりされた。

「なんでさっきから魔法をつかわないんだ?」

「わかりきっておるだろう」

「大方コントールができないとか?」

「うむ、正解だ」

 一度殴りあうのを止める。昔から彼女は魔力のコントールが苦手だった。いつだったか一騎打ちをしていた時興奮しすぎて魔力が膨張、クレーターができた。 あそこのブドウはおしかったのに。

「アロー」

 ページからもう一発屋が放たれる。だがこれじゃあ足りない、数で攻めるか。

本のまっさらなページを破りばらまく。

「ページNo.1コピー」

 そして空白のページにアローと同じ魔法陣が描かれる。ただのコピー&ペイストなのだけどな。複数のページから同時にアローを撃つ、絶え間なく撃つ。その間も俺とアルテリアはぶつかる拳や脚、膝を使い格闘戦をする。

 何発か撃った後ページを動かし周りを囲むようにしして撃つ。彼女はそれを飛んでかわす。

「収束」

 ページを集め重ねる。アローの魔法を集め撃つ。発想はいたって簡単、威力はまったく違う。ページが重なり魔法陣が浮き上がり一層強く光る


「待ちなさい!」


 俺は魔法の発動をやめる。同じ事を魔王様もする。

 結界の外で杖を構えている女性がいる。

 制服からして魔法学園の生徒であるが、一部の色が俺の来ている制服と違う。

 上級生か。

「ただちに戦闘をやめてください。今日は入学式です。一切の決闘行為は禁じているはずですが?」

「「あ」」

 そういえばそうだった。

 完全に忘れていた。入学式のパンフレットにも書いてあったし。校長が朝言っていたな。今日は特別な日だからもめごとは無しにしましょうねって。

「とりあえず結界を解いてください。お話は後で伺います」

 俺らは顔を見合わせ結界を消す。すぐに女性は入ってくる。

「生徒会長のセブン・メルナフよ。お話は生徒会室でしましょうか」

 威厳たっぷりの恐ろしい笑顔。何も言わずに付いていくことにした。逆らったらミンチにされそう。前世で似たような笑顔をした女性を見た事があるがキレたら怖い人だったからな。

 学校の廊下を小さな魔王様の隣を歩く。前には生徒会長様。静かな廊下を歩き四階建ての校舎の最上階の真ん中の大きな部屋、ここが生徒会室である。入学式の日、初日にいきなり呼び出しとは笑えないな。

 セブンさんは扉を開けて俺らを入れる。生徒会室は綺麗だった。書類はちゃんとファイルにまとめられているし、ごみなどはなかった。

「かけて待っていてください」

 会長はそう言った後部屋を去ってどこかへと走り去って行った。そう言われ俺とアルテリアは隣同士で座る。そこで先ほどまで敵であった事を思い出した。

「お前のせいだぞアルテリア!」

「ふざけるな!そして私は今アルテリアなんて名前ではない!今はエスカルデル・F・リストルディアという名前がある!」

 生徒会室が静かなので誰もいないのに静かに話している。周りが静かだとなぜか声のボリュームを落として喋るとかよくあることである。

「お待たせ」

 そんな時静寂を破ったのは会長だった。その後ろには見覚えのない人がいた、どうやら他の人を連れてきたようだ。後ろに立っていたのは背の高い女性だった。彼女の制服と紋章は騎士学園の制服だった。色は会長と同じ色である。

「待たせてしまってすまないな。私は騎士養成学園の生徒会長のアハト・グランツェスだ」

 自己紹介した後握手をする。同じようにアルテリアことエスカルデルも同じことをする。そして俺らの向かい側の席に座る。

「ここに呼ばれたのは他でもない。今日の決闘行為についてだ」

「本当はその場での注意だけでいいんだけど。今日は入学式だったしね」

 確かに先生も注意していたけど、そこまで気にするほどの事なのか?

「本来ここまでしなくてもいいのだが、こうしないと後々何か言われると嫌なので軽く注意だけだよ」

「なるほどね」

 やはり思った通りだったか。その気持ちわかる、うるさいからとりあえず仕事をしたかのようにするの。前世でも俺がやった事だ。

「まぁ特に言う事もないのよね、今日が入学式で会った事を除けばね。それ以外はちゃんと結界も周りへの配慮もできていたしね」

「しかし珍しいな。魔法使い同士の決闘など。いつもなら魔法使いと騎士が決闘するのが普通なのだ、何か問題でも起こしたのかね?」

「いえ……何も」

 ここでもし、コイツは生前の敵で魔王なんだ!とか言ったら間違いなく頭のおかしい人扱いされるからな。それを彼女も悟ったのか何も言わなかった。

「まぁ男女間には問題はつきものだしね」

「ハッハッハ!!」

 何が面白かったのか、騎士校の生徒会長は笑っていた。

「もういいかな?あまりはなす事も無いし。この辺で終わりにしようか」

 セブンさんは立ち上がりドアの前に立ち開ける。俺と小さな魔王様は席を立ち近づき部屋から出る。俺とアルテリアもといエスカルデルは並び頭を下げる。

「それじゃあ今度はルールを覚えていてね、仮にもレンくんのほうは生徒代表なんだからね」

「すいませんでした、これからは気をつけます」

「まったくだ、だが私も悪かった。これからも気をつけよう」

「ええ、お願いね」

「それでは失礼しました」

「気を付けて帰ってねぇ~」




「初日から問題起こすなんて面白い子たちね」

「私としてはあまり面倒な事は止めてほしいのだが……」

「いいじゃない♪面白うそうだし。でも」

「注意は必要だな」

「だね」






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