第十一話
さて今回は短めです!
「そんな……」
「どうして、でしょうか」
俺、エス、主席ちゃん、フライルは学校で新聞の一面を見ていた。
見えるのはおおきなタイトル「またもや惨殺、殺されたのは大広場の肉屋の店主」。
主席ちゃんは強くこぶしを机に叩きつけ、かすれた声でこう言った。
「なんでよ!私たち広場にいたじゃない!」
そう俺たちはあの広場にいたのだ。
死体が発見されたのは俺たちが解散した時間なのだ。俺たちはあの場にいた、ならばあの広場の中に殺人鬼がいたはずなのだ。
「いったい誰なのよ!」
主席ちゃんが声を荒げてそう言った。やはり悔しいのだろう。俺たちのような子供だけで何とかなるとは思ってはいないが、やはりあの場所にいて探していた人物が人知れず人殺しを行っていたのだ。
しかしこのおかげでとある確証が持てるようになった。
「エス……」
「?」
俺はエスに顔を近づけ彼女の耳の近くで話した。
彼女は一瞬驚いた顔をしたがすぐに平常の顔に戻った。主席ちゃんやフライルに悟られないためだろう。
「なぁ主席ちゃん。今日は一度捜査をやめようぜ」
「な!?なぜですの!?」
「危険だからだよ。これ以上やると俺らもこうなるかも知れないんだぞ」
俺は新聞の一面を指差す。
「あなたたちはそれでも続けるのでしょう?」
「いや私たちもさすがにな。ここから先は大人にまかせようではないか」
俺とエスで畳み掛けるように話す。
案の定主席ちゃんは黙り込んだ。
「ねぇアイン、レンくんの言うとおりだよ。ここから先は大人たちにまかせようよ、ね?」
「……わかりましたわ」
「ありがとうな」
そう言って俺とエスは二人と別れた。
さぁ犯人探しに向かおうかね。
でもその前に準備をしなければ。
俺は放課後すぐにコンちゃんのお店に向かった。
ここで買う必要のあるものを全て購入。
「コンちゃん、また白紙のノートか本を買っていい?」
「いいですよ、数は?」
「ざっと四冊で」
「よ、四冊!?」
「それと皮の手袋を」
「わ、わかりました」
すぐに奥のほうに引っ込むコンちゃんを目で追う。4冊、一応コンちゃんと工房のおっちゃんは俺の武器のことを知っている。本のページを使った攻撃、なので俺が空白の本が必要なのは知っている。それが四冊となればどれほどの数なのかはわかるのだ。それを全て魔法に使うとなれば戦争でも起こせるだろう。
「持ってきましたよー」
コンちゃんは本と皮製の手袋を持ってきた。
本はいつもどおりの本だった。皮の手袋は真っ黒で指の部分がなかった。
「これは?」
「おじさんが、坊主が本をめくる時に不便だから切った、って言ってましたよ」
「なるほど。おっちゃんにありがとうって言っておいてね」
「わかりました!ではでは」
俺はお金を払い店を出た。
これだけの本を使い切ることはないと思うが、念には念をだ。
さて家に帰って本を作って、手袋を魔改造しますかね。
次こそ戦闘シーンへ……!!
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