Extra story ××3
ものすっごく間が空いてしまい申し訳ありません。
しっかも今回はえくすとら‥‥いやぁ、ユーノが書きたかったんだ。
うん。後悔はしてないはず。
(はよ続きかけよって言われたら、それはそれで嬉しいw)
須賀シオにはまって別小説書いてたなんて、言えません。
★ユーノと楓の恋模様は色気より食気・ら‥‥らぶが無くてごめんなさい(_ _,)★
「ユーノは何でひとりなの?」
意味の解らない質問を唐突にされる。
彼女はいつだってこんな感じ。内容を考えて返事をしろって難しい事を押し付ける。
色んな可能性のある解釈から、正解じゃない言葉をあえて選ぶのは、ユーノの悪い癖だ。
「どういう質問かな? あーそれってば、姫と結婚しろって強制?」
「ばっ。ちがうわよ。なんでそういう話になるのよ。あり得ないでしょ!」
ユーノの見立て通り、その解釈は間違いらしい。彼女は、あり得ないと回答に頭から湯気をだして怒りはじめた。
「じゃあどういう話?」可能性はゼロではないと、こっそり思うがそれは今は伝えない。
その可能性を知らない彼女をからかって遊ぶのもユーノの楽しみだからだ。王と密約した内容を知ったら、違う意味で怒るかもしれない。「モノ」として所有したい。そんな欲望は隠しておくのだ。
「だってシュークルとかって実は家族と一緒じゃん」
シュークルの家族?
‥‥
‥‥
‥‥
‥‥思い出した、鼬の集落か‥‥。
シュークルは前線に身をおいているもの、集落にも何日間かに数日帰ることがある。
雄は成人したら集まりから離れる事が多く、鼬の集落は、女子供で形成されるから居心地が良いのだろう。
全く雄が居ないわけでも無いが。集落を守れるのは自分だって強さもきっと心地がいいに違いない。
シュークルはそうだが、同じ種族だからってユーノも同じとは限らない。
「あー、そゆ話。面倒だし」
「やっぱり理由あるんだ?」
「前もいったじゃん、俺は弱いから」
「弱かったら群れるでしょ、そういったし」
うるさい。
心の底からそう思う。
なぜ彼女はそんな事を気にしたのだろう。
ほっといてくれればいいものを。
だが、一度気になったら納得するまで聞き続けるのが、彼女の性格。一蹴すれば黙るだろうけど、今はそんな気分じゃない。
だから、少し思い出す事にした――――
「‥‥昔。怖がりの鼬の子供が居ました」
「何‥‥」言葉を続けて相手を黙らせる。
そう、昔話にケチをつけられるのは面白くない。
「風が吹いたら約半日。
雷が鳴ったら約一日。
家族にも隠れて姿を現さない臆病者でした。
とある日‥‥ニンゲンが攻めてくるから鼬たちは集落を移動する事になりました。
でも、その臆病者は、回りの大人の異様な雰囲気が怖くて、怖くて。
繋がれた手を振りほどいて隠れてしまったのです。
一度隠れたら半日は姿を現さない、そんな子供一人に集落は構ってくれるわけはなく。子供は見捨てられてしまいました。
誰も居ない元の集落にただ一人、誰か帰ってこないかと、子供は待ち続けました。
寂しくても悲しくても、お腹が空いても。
だれかを探しに集落を出る勇気はありません。
知らない場所なんて行く勇気はありません。
だから、子供は一人。
誰もいない集落でこっそり死んでしまったのです。
だれにも知られずたった一人で‥‥」
「なに。その‥‥可哀想な話。誰か、お父さんとかお迎えに来なかったの?」
ぐずった声で彼女が聞いてくる。
絵本のような嘘の話に涙を流されるなんて、思った以上の反応にユーノは驚いた。
「わゎ。姫、何泣いてるんだよ」
「だって、怖がりの子供なんだったら、親が気にしてあげるべきじゃん」
親だったら、確かな言い分だ。
しかし、その話は安全であるか、その守るべき遺伝子が自らより勝っているか、で判断は変わる。
多分、その子供は少なくとも両親よりも有能な遺伝子は無い。利点は、若い‥‥だけか。
「親だって、守る他の家族がいたんだよ。皆が逃げようって時に、隠れて姿をみせない子を探す時間はなかったんだし、危険だって逃げてるんだから、戻って来るわけないだろ」
「だって」
泣く彼女を見て意味なく照れくさくなる。こんな話はさっさと打ち切るのがいい。
「それが、俺が一人な理由」
「死んじゃった子供は、ユーノの事なんだ」
「そそ。かわいそうな鼬の子供」
涙を手のひらで隠すように拭って彼女が理解する。
さっきの子供は、ユーノの小さい頃の話。
「ん? ユーノ生きてるよね」
「もちろん」
ユーノは、いつものからかう笑顔で肯定する。
彼女は本当に理解した。
「作り話‥‥ね。もう、泣いて損した。涙返せ」
「そんな横暴な、勝手に泣いてそれはないだろう」
「嘘つくユーノが悪い」
「俺が悪いの? まぁまぁ、あっちで美味しいもの用意するから、機嫌治して」
「いらない〜」
最後だけいじったら作り話になったけれど、これは思い出したくもないユーノの記憶。
でも、王との始まりの大切な記憶。忘れるはずはない。
頭の中では理解してたけど、だれか戻ってきてくれないかって‥‥やっぱり期待してて。皆が逃げ出して誰も居なくなった集落で、たった一人。噂になってたニンゲンも来なくて、たった一人。静かな朝は明るくて、まだそんなに実感は無かったけど、夜になるといつもの場所に誰もいない。そうこうするうちに、貯めていた水は腐り、食べ物は尽きて、生きるための手段が無くなりはじめていた。
動くためのエネルギーを身体は中から貪りだすため、動く度に体が軋む。
そんなエネルギーも数日も保つはずはなく、身体は燃料を無くして動かなくなった。動けなくなった生き物の末路は‥‥誰もが知ってる。
生物とは残酷だ。
地面に投げ出された手や足にチクチクと足を突き立てて登ってくる。
養分にしようとまとわりついてくる。
怖くて怖くて仕方ないこの獣に罰を与えるかのように。拷問に近い現実が襲ってくる。生きながら補食されろというわけだ。
「うわぁぁぁぁ! なんっだここ。どこいってもまとわりついてくる。忌々しい!」
声とともに濃い花の匂いが辺りを包んだ‥‥気がした。
体のチクチクがなくなった変わりに意識がもうろうとする。
「これで虫はあらかた‥‥」
消えゆく意識の中で、誰かが激昂していた。
◇ ◇ ◇
ロザリンドは目の前に倒れている獣の子供の姿に青ざめる。
進行路に忌々しい蟻が道を作っていたのも、吸血性の蛾が飛び交っていたのも、全てはこの妖精の死骸を補食しようとしてのこと。
意味など無く群がっていた虫に嫌気がさし、彼らの嫌がる香りを散布して追い払ってしまった。
虫は嫌いだが彼らのしている行為まで否定しているわけではなく、むしろ食物連鎖を荒らしてはいけないと妖精達に正す身だ‥‥。
そんな王、自ら虫を追いやり連鎖の糸を裂いてしまった。
「もしかしたら‥‥生きてなんかないだろうな」
妖精化している獣は貴重だ。もし、生きながら虫どもが群がっていたのなら、彼を助けるために仕方なく乱したと言い訳ができるかもしれない。
本来はそれも許されないのだろうが、大事な獣の子。間違いなく生きていることを知っていれば同じ行為をとっていた。そう言い訳を胸中で繰り返し、獣の子供を抱き上げる。
獣の子は衰弱はしていても微かに呼吸をしていた。
◇ ◇ ◇
「よかった気がついた」
目が開くと意識はあるが、目の前が白くもやがかかってうっすらとよく見えない。微かに識別する物は記憶に触らないものばかりだ。
そんな全く知らない場所で、知らない男の声がする。
「王が拾ってくださらねば、虫の養分になってたところだな。王の慈悲に感謝しよう」
知らない男は続ける。
だが、今ここで命が繋がっているのは、『おう』と呼ばれる妖精のお陰だということだけは理解できた、いや。妖精では無いのかもしれない。
「すぐに仲間の所に帰してやるから安心しろ」
「仲間は‥‥居ない」
一度捨てられた身。集落に戻されて受け入れられるとは限らない。
「そうか‥‥じゃあ‥‥」
不安なまま、無理やりあの場所に帰るよりも、今目の前の親切にすがった方が確実だ。
相手は帰る場所がないと言うだけで、自分たちの所に居ればいいと居場所を提示してくれた。
「体力が回復したら、視力ももとに戻るだろう。それから配置を考えるか‥‥」
相手は自分の目が見えにくいのを理解している。
きっとこれも、その、『おう』のお陰なのだろう。
命を繋いでくれたのも、居場所も作ってくれたのも、『おう』のしてくれた事。
「おうに会える?」
相手は会えるとは言わないが否定もしなかった。
この親切にすがっていれば、間違いなくチャンスはあるはず。
この日に、小さな獣の子供は、色んな奇跡を起こした『おう』に会うために仲間を捨てた。
数年後、前線で力を着けたユーノは罪悪感にこっそり捕らわれたロザリンドと再開し、色々あったりして現在に至る。
■ ■ ■
「ねぇユーノ?」
昔こっそりあった事実に浸っていると、自分を呼ぶ声に引き戻される。
「何」
機嫌を損ねていたハズの彼女は全く違った期待に満ちた表情で「さっき言ってた美味しいものって何?」と聞いてきた。
「‥‥これだから女の子はぁ‥‥」




