手のひらの花びら 4
「大丈夫?何もなかった?」
息を切らせて駆け込んできたロザリーが言う。
暇で死にそうになるかなって思うほど、何もなかったよ。何もなさすぎて、嫌なことばかり考えてた。
でも‥‥
「それよりあなたの方が大変そうだけど?」
二人っきりの気まずい雰囲気なんて何処かにいってしまった。
帰ってきたら何を言おう、会話がなくなったらどうしよう?ってもやもやしてたのもぶっとんだ。
だって、予想外で。
余りにもかわいらしかったから。
駆け込んできて、息も切れ切れで、作る笑顔。
どれだけ急いで来たんだょ。
「外で何かあったの」
会話のきっかけに思い付いた質問にロザリーは表情を変える。
「どうして?」
「外ね。たくさん人が走ってた」
暇で死にそうな時間、窓の外しか見る物がなくて。外は人形の生き物が慌てた感じで走っていた。
人形してるけど、つけ耳があったり、尻尾がふさふさだったり、何の生き物なのかなぁ‥‥なんて、想像してたりした。
「獣たちが元気なのはいつもだよ」
毛がもさもさしてたのは森の獣の妖精さんだったんだね‥‥ってあれ?私、獣の特徴って伝えてないよね。ロザリーが視線を合わせないようにしてるけど、気のせいだろうか?
「王!」
大きな声に、私だけじゃなくロザリーも驚く。
「こんなところに」
入り口から入って来る、またもや線の細い男性。彼はとってもお怒りの様子で、ずかずかと中に入ってくる。
さすが妖精‥‥怒っていてもイケメンだ。
「私がどこに居ようが勝手だ」
「非常時に何を」
「その為にシンジュがいる」
「あの方が役に立つわけないでしょうが」
そして、ロザリーと男は口論をはじめた。
おや?
ロザリーってば、普段はそんな威圧的な言葉遣いなんだ‥‥まるで王様みたい。
いや、王さまなんだっけ。
その口調を楽しんで見ていれば、相手の男がすっごい形相で睨み付けてきた。
広がる吐きそうな草の匂い、視線に寒気がする。
「そんなに心配なら、それを連れていけば良いでしょうが」
それって、
私?




