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たとえ自分の物でなくとも 2


ユーノは、何かのアニメの悪役の様に、木の根っこみたいな枝にまとわりつかれたまま、宙ぶらりんになっていた。

根っこみたいな枝が、彼の姿を支えてるんだけど。

もぞもぞ、動いているだけで足が空を踏みつける状態だから、自由に身動きが取れないらしい。

逃げられないように、縛り付けて吊り下げてるのだ。

なんか悪趣味だと思うのは‥‥いや。なんでもないです。

しかし、レタルが吊り下げたままって言ってたけど。本当に吊り下げたまんまだとは。


「ユーノ。ユーノってば!!」

「ああ。姫。また、助けに来てくれた?」


もぞもぞしている彼を気づかせるため、声をかけると嬉しそうに「助けに来てくれた」と返してくる。

助けって‥‥まるで、捕まえてる人が悪い人みたいじゃないか。


「生存確認だけよ」

「それなら、王にこれ外してもらうよう頼んでよ」

「そんなの。引きちぎっちゃえば‥‥」


獣には牙や、人間とは比べ物にならない力があるはずだ。

細い枝みたいなのなら、引っ張ってぶちぶち行けると思うんだけど。

それとも、妖精になっちゃうとひ弱くなるんだろうか?


「駄目だ!」


私の提案に怖い声で否定する。

余りにもとんがった声に、体が跳ねるくらい驚いてしまった。

返す言葉がなくて、無言でユーノを見つめてると「‥‥と、言っても引きちぎるのも無理だけどね」そう言って笑う。


「なら、私には御手上げじゃない」


さっきの声のまま返されないかと内心ドキドキしながら言葉を選ぶ。

トーンを落とされても、直ぐ上がるなら、心臓は身構えなきゃ。

相手が縛られてたって、関係ない。

威圧する声が怖いのだ。


「王は大切な姫の言うことは聞いてくれるよ」

「なっ!? どういう意味よ」


違う驚きがユーノからもたらされた。

優しい声でそんな言葉を続ける。

怯えじゃなくて、恥ずかしくて、焦って胸が痛くなる。


ロザリーが私の言うことなら、聞いてくれるって?

そんなわけないし、


それに、大切ってどこから就職してきたぁ。


「えー。そのまんまの意味だし」

「よく見て、いいなさいよぅ。もう、そのままぶら下がってろ」

「はぁ。姫はやっぱり俺が死ぬのを楽しみに待ってるんだね」

「なんでそうなるのよ」


耳を曲げて、切なさをあらわして嘆く。

なんか最終的に、私が彼を苛めてるみたいな構図になってるのは気のせいかしら。


「どうされた?」


わいわい、やりとりをしていたら。

なんか、時代劇みたいな言葉をかけられた。『拙者』とか呼称しそうな感じだ。

振り替えると黒い髪。脇に刀の柄。

服は着物とかじゃないけれど、あぁ、どこかの日本人だって見れば分かる。

期待してた、お侍様ではないけれどね。


セイと違う日本人。

前にロザリーが言ってた、私達以外の奴隷召喚の被害者さんだろう。


「ん、あっと。彼を助けたくて」


かけられた声を無視するわけにもいかず。最初にユーノと話してた事実を伝える。


本当は吊り下がったままで構わないわけなんだけど‥‥それを伝えるのは酷い人間なんだって思われちゃう。初対面の人に悪い印象を持たれたくない。

それに、やりとりを伝えるのは面倒だ。


「了解した」


彼はそう言い、大きめの鞘を投げ捨てる様に抜いて現れたのは‥‥長い長い、超ながい刀。


その長さは、持ち主の身長を超えていて‥‥

ちょっ、長すぎだと思いますが。


長い刀の男は、頭の上で真横に構えると‥‥ユーノに向かって斬りつけた。

長さに振り回される事なく、的確に根っこみたいな枝を切り落としてる。


この人‥‥凄い手練れだ。


「あぁぁぁぁぁぁ!!? なんて事するんだよ」


根っこみたいな枝から解放された獣の妖精は、助けてもらったお礼もせず、怒りを長い刀の男にぶつける。


「助けてもらったら、ありがとうでしょ」

「姫は、この状況をありがたいって、本気で言ってるのか」


掴みかかろうとしていた手を静止して、彼を注意すると、ユーノは低い声で此方を睨んだ。

突き刺すような視線に、心はまた怯え始めて、掴んだ手を離す。


「だ。だって、身動きが解放された‥‥だもん」


声に動揺が現れないように気をつけようとしても、こんな程度。

怖がってるのバレバレだろう。


「問題は解決された様子だな」

「まて、話は終わってない」

「人を待たせてるのだ‥‥」


ユーノの静止に急ぐ理由を述べると投げ捨てた鞘を拾う。

それを男は空高く投げ上げ、落ちてくる先に刀を上げた。

何をするのだろうと一瞬思ったが、投げ上げられた鞘はくるくる回って、居るべき場所に落ちついた。


すごい。

合理的すぎて更にすごい。


確かにあんなに長い刀。長すぎて一人で鞘に収めるなんてできないから、地面に置いて地味にしまうよりか、投げ上げて突き刺してしまう方が簡単だろうけど‥‥

あんな、名人芸! みたいなのも簡単にはできないだろう。


怒るユーノとほおける私をそこに残して、彼はあっという間に消え去った。


侍! 

足も早いのね。




「あいつ。何も気にしないで‥‥」

「本当に何でそんなに怒ってるのよ」


放置されて行くべき怒りの矛先を失ったユーノの怒りの理由を聞きたくて、単純に何で怒ってるのと問いかけてみた。

さっきよりも怒気が強くなった瞳で此方を睨む。


これって‥‥怒り超えて「殺意」じゃないか‥‥。

あまりにも怖くて、刀を意識して握りしめた。

抜くつもりは無いけど、何も無い状態でこれに耐えれそうにない。




「この根は王だ。王の体の一部だ。それが切り刻まれて王が痛くないと思わないのか?」


王ってコトは、ロザリーの一部?

この枝みたいなのが?


「枝や、葉とか外郭の弱い部分じゃなく、根だぞ。そんなことも分からないなら、お前は側にいるべきじゃない!」






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【××× A good child, so do not imitate ×××】
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