大切なはじめのコト 4
何で何でって言いながら、知ってたんだ。
ロザリーが何で私だけに優しいか。
ううん。
彼は皆に優しい。
荒い口調でもいつも気遣ってる‥‥
私には特に優しい言葉を選んで、
驚かないように、
怖がらないように
大切にしてくれている。
特別扱いをしてくれていた。
知らないこんな世界でも、ロザリーが必要としてくれて四六時中側に居てくれたから、大した不安もなくて。
でも
「私じゃなくて、姫に親切だったんだよね」
言葉にすると涙がじんわりと溢れだし、ポロポロとこぼれだす。
ロザリーは自分にそっくりな誰かを見てるだなんて気づいてたけど、彼の口から聞かなかったから見ないふりしてたのに。
自覚しちゃうとこんなにも傷つくのかと、流れる涙を止めようと擦るが止められない。
優しい貴方が。
過保護な貴方が。
守るって言ってくれた貴方が、私は好きで‥‥
震える手で、私を掴んで離さないのがとても愛しくて。
でも、それは私じゃなくて、そっくりなカースティ姫に向けられた出来事。
他の女の子に向かっていた優しさだ。
あんな言葉で自覚してしまった自分の気持ち。
私は目の前に居るのに、この顔でいるかぎり見てはもらえない。
こんな悲しい事、知らないままがよかったのに。
なぜあの場で二人は口論をしていたんだろう。
なぜ、私は気にせずユーノの元に行かなかったのだろう。
いや、そもそも、ユーノを招かなければよかったのだ。
とりあえず涙が止まって頭が整理出来るまで、顔を会わせる気にはなれない。
ロザリーやシンジュが此方に気がついてない事をいい事に、逆方向へ走り出した。
今、ロザリーに会ったらもっと涙が出てきて、そんな表情を見られたら、彼がハラハラしながら心配する。
でも胸を痛める相手は、私じゃない。
私だけど、私じゃない。
何でだよロザリー?
いや‥‥‥‥
何でだろう私?
はじめから『代わり』って分かってるのに。
どうして、自分を選んで欲しいだなんて思うのかな。
「どうし‥‥た?」
不意に腕を掴まれて、進行方向への向きを変更される。
邪魔したセイは、私の顔を見て言葉に詰まるけど手は離さない。
「見てわかんない?涙が止まらないのよ」
「‥‥の様だな。王に何か言われたか?」
セイが王と言う言葉に、涙の量が倍増して、視界がぼやけてしまう。
言葉にしなくても体は正直で、更に涙がこぼれはじめたら、いくら鈍感なこの人だってわかっちゃうだろう。
「何で、王と関係あるって決めつけるのよ」
っていうか、何で王なんて言うのよ。
このまま涙で枯れちゃうんじゃないかってぐらい流してて、きっと色んな物もぐっちゃぐちゃだ。
「俺には関係ない話だが。あんたが何かある時も無い時も、王しかないだろ」
「関係ないなんて思うなら、言わないでよ」
ふんとに無神経な、何でも冷静に見てれば良いってもんじゃないわよ。
冷静に、
冷静に見た私は、やっぱりロザリーしか無いのか。
「ここから先はあんた一人じゃ危ない地域だ。城に居たくないのは構わないが、ここから先は行くべきじゃない」
「じゃあ。セイが着いてきてよ」
注意してくれる彼の優しさに無理なお願いをしてみた。
拒否も承諾もせずにセイは黙って見下ろす。
「‥‥涙が無くなるまで城には居られないの」
理由と言えない理由を話してみると、彼は困った表情でため息をついた。
「‥‥一緒には居てやるが、城から外には行けないな」
「何で?」
「危険だからだ」
当たり前だろうと頭を押さえつける。
「痛。痛いよ」
セイてば、ちょっとイラってするとすぐ頭を押さえる‥‥しかもちょっと痛くて。
「すぐ押さえつける」
「あんたが人の話を聞いてないからだ」
言葉で理解しないから体に理解させるだなんて、乱暴な。
あ、でも。
涙とまったかも。
セイといると調子が狂う。
狂うとは正しくない表現で、今は整うって感じだ。
ぐいぐい引っ張られて、気がついたら気を張らなくても良くなってる。
そういう意味では、今セイに会えたのは私にとって良かったんだね。
「あ。忘れてた」
「何だ?」
「あのね、私の部屋の窓の下の庭にね‥‥」
ユーノの救出にいかなきゃ。
セイは、ユーノの話をするとそれは承諾してくれた。
まぁ城の中だし、セイもよく知ってる場所だしね。
ただ‥‥ユーノが森の獣の妖精だって言った時は、眉間に沢山皺が出来て、明らかに嫌そうな顔だったけど‥‥。
そうして、また逃げ出してしまう楓さん‥‥。
受け止めたのは、清くんでした。
細かく書かなかったのですが、清くんが楓さんをGETしたのはお城の廊下です。
外から帰ってきた彼は丁度、出会い頭に確保したって構図。
一人称の主が暴走してたら、回りの情景かけないから、こう。読者様には感覚的に味わってもらわなければならないのは、乱暴ですいません。
""(ノ_<。)




