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君は何もシラナイ 8


「帰る前に‥‥それ、どうにかしたいよね」


森に入るとティコ達と別れ、ユーノと二人きり。

ティコは私を屋敷から助け出した事で、貸した借りをチャラにしたらしい。

あれが同等とは考えられない。

お釣がいっぱいじゃないかしら。

でもね、ティコが満足ならば私は意見はない。また、何か合ったときにこっそり返そうって思いながら、歩きにくい木の根っこの間を進む。

ユーノはひょいひょいって先に進んでいくんだけど、私は普通の人間だからちょっと無理。

でも、私の事なんて、気にしないティコ達が居なくなってペースは断然楽になったんだけどね。


「それ‥‥って?」


ちょっと切れ気味の声が、私の疲労度を現してるのがわかる。

声を出すのだけがこんなに苦しいなんて気が付かなかった。

唾液を飲み込んで、喉を整える。


「ティコのつけた血」


ユーノに指された部分を見ると脇腹に赤い手形。

ああ、抱えられた時に付いたんだ‥‥。


「脱いだら良いだけじゃないの」

「じゃあ脱いで」

「ここで!」

「早く」

「嫌。絶対嫌よ。誰も居ない森だって公衆の面前なのよ」


こんなところで公開ストリップなんぞ出来るかぁぁ‥‥

多分、誰も居ないから。お客様はユーノだけなんだけど。


「めんぜんってなんだよ。面倒だなぁ」


ユーノはそう言って、歩く足を先に進める。

あんたは面前も知らないのか。

女の子に服を脱げって言う神経が問題。問題。大問題だ。

脱いでも、キャミにルームボトムまでだから、恥ずかしくは無いけど。脱いでる姿が見せたくない。

そんなの絶対お断りだ。



「登って」


そう言ってユーノは岩を指差した。よくみれば大きさの違う岩が並んでてうまい具合に段差になっている。

階段だ、ものすごく原始的だけど。


「何で? 帰るんでしょ」


岩の階段を上がらされる意味が分からず聞いてみる。

近道には見えない。


「だから支度するの。大丈夫、俺の家だから誰も居ないし」


いや。俺の家に連れ込まれる方が大変問題なんですが。

じゃあ、公開ストリップの方がましかと言われると微妙なんだけど‥‥。


「王に預かってた物とかあるし、早く」

「えー。ちょっとダメだって」


戸惑う私の背中を押してユーノは無理やり部屋に押し込んだ。押されると前に進む足が恨めしい。


そこは部屋‥‥?

って、疑問符がつくような空間。


入り口に毛皮っぽい布がぶら下げてあるのが扉だとすれば、土を掘った洞穴っぽいこれが、部屋なんだろう。

なんか、歴史の教科書にあった原始人の生活みたいな。


「じゃあ脱いで。で、これ着て」


指示されて渡された布。

広げてみると、簡単なワンピース。

特に可愛いアレンジもない事から、きっと女の子の服とかじゃない。

ユーノの服だよね。長めの上着って考えるんだろうか‥‥。


指示された通り、制服を脱いでユーノの服に着替えた。

ワンピースとは良く形容したものだ。

ピチピチでは無いもの、渡された上着は、そんなに余裕はなく。丈も下のルームボトムが見えるか見えないかだ。

まぁ‥‥着るとこういう形は質素なのが逆に可愛いかもしれない。

ルームボトムが無ければ、絶対着れない洋服だ。

質素なチュニックだもの。うーん。しょぼいチャイナミニかなぁ。


「まだ、血の匂いするなぁ。ついてきて」


着替えた姿に首を傾げユーノが不服そうに言う。

血の臭いなんてしないんだけど‥‥。

まさか、下まで脱げとか言わないだろうなぁ。


ユーノが奥を指差し、歩きだす後を追いかける。

洞穴の奥はやっぱり洞穴で、何の代わり映えもしない。

空気が少し冷たくて、湿気てる様な気がする。

森にいたらじめじめしてるから、湿気とか今更なんだけどね。


「とりあえず、これで清めるか‥‥」


奥についていくと、小さな池があった。

湧水なんだろうか、澄んだ水が底まで透過している。

冷たくて湿気とか感じたのはこれのせいだろう。

湧水なんてはじめてみた。すっごいキレイ過ぎて、うっかり声が漏れてしまう。


「こんな綺麗な水。汚して良いの?」


思ったさ。汚して良いのかって。


「下流の人には迷惑だろうけど誰が迷惑かなんてわかんないからいいんだよ」


面倒なことを気にするなとユーノはまたもや私を押して、水の中へ。


いや、服着たままとか有り得ないし。

冷たいし。心臓に負担がかかってきゅってなったらどうするんだよぅ。


水の中から、ユーノを睨み付ける。

水は私を浸しても、綺麗なままだった。

下流の人なんてあんまり気にしてなかったけど、良かったって思う。


ドライヤーなんてないから、髪や服はぬれたまま。

歩いてたら乾くってのは以前セイと経験した。

泥がついて汚れちゃうのは仕方ない。

風邪だけひかなきゃ良いけどね。


「よし、匂い消えた。行くよ」


びしょ濡れの私を満足そうに見ると手を引いて先を急ごうとする。


「あ、忘れる所だった」


部屋から出る前に、そう言ってユーノが渡してくれたのは、私の刀だった。

手が届く距離にある安心感からか、膝から力が抜けた。

自分から放置しておいて、安心とは白々しい。

刀に意識があれば、嫌われてることだろう。


「何してるの。早く行くよ」


刀を両手で抱えて座り込む私を立たせるために、二の腕を持ち引き上げる。

少し痛いが、私が悪いのだからしょうがない。


でも、ユーノってば、押したり引っ張ったり。

口調は柔らかいけど、普通に乱暴だ。

初めて森で会った時に感じた印象が全く違うものになっていく。



本当に大切な物をなくしかけてるときって、臆病で役立たずになるのかしら。

ティコはユーノにとって大切そうな感じだもの。


「なにぼんやりしてるの。ほら、サクサク歩く」


考え事をしてると怒られてしまう。

ホントに私に「殺さないで」って言って怯えていた妖精の姿はそこには無い。

言われた通り。サクサク歩くと、集落が見えた。

出るときに見た場所じゃないから、遠くにぼんやり見える城までたどり着くには道は分からない。

城は、見えているここからでも遠い。


「そう言えば、ユーノの家って集落から離れてる‥‥よね」


サクサク歩けばたどり着ける距離なら、ものすごい遠いってわけじゃないけど、離れてるのは事実だ。


「俺は独りで生きていけるから」


群れないっていう意味なんだろうか。

ユーノの回答がよくわからなくて首を傾げた。

でも、ぶっきらぼうに答えたその続きは言いたくないような気がして‥‥続けざまに質問はできなかった。


城までの道筋には、見た感じ誰も居ない。

具体的に誰か住んでいるのかよく分からない。

でも、ずっと見られてる感じがして早く通りすぎたかった。

全く誰もいないなんて考えられない。多分、息を殺して見ているんだろう。


「そんな不機嫌な顔してたら、皆がもっと怖がるよ」

「不機嫌なって、そんな顔してる?」


ユーノの態度を心配しただけのつもりが、表情は不機嫌に歪んでいたらしい。

いや、見えない視線に嫌悪してた気持ちのほうが強いか‥‥。

まさか、顔に出てるとは思わなかったけど。


「集落にいるのは戦えない妖精達だ。森や城から来る来客に。皆、いつも怖がってる」

「森から?」

「城には樹木の妖精が固められてるから、基本的にはこんな側で血を流す争いはしない。だから、戦えない弱い妖精が肩を寄せ合う。普通は森にバラバラに住んでるんだよ」

「だから、ユーノも集落には居ないんだ‥‥」


先ほどのイラついた答えは、私がユーノを弱いって決めつけた質問になってたからか。

知らないとはいえ‥‥そりゃ怒るよね。


「ニンゲンは固まって住んでて窮屈じゃないのかなぁって思うよ」

「人は弱いから肩を寄せあって生きてるのよ」


そういう解釈なら、全く一緒だ。


私は一人じゃ何もできない。この世界に来る前も、今も、誰かが側に居ないと何もできない。


だってそうでしょ?

学校行けるのも、ご飯食べられるのも、道場通えるのも、両親が居るから。両親は働く所があるから、それを私に提供してくれる。

提供だなんて偉そうだけど、働く場所が側になければ成り立たない。

それは、私だけじゃない。

でも、全てが自分の力で達成できるのなら、周りの人なんていらない。


極論だけど。


強ければ、頼る必要はないものね。だから、人間は弱いと思う。


「弱いかな、ニンゲンって」


ユーノはそう呟く。


「強いかな?」


同じ言葉で質問を返すと、「姫は、強いだろ」と当たり前のように答えた。


「強くないよ全然」


何をどう判断して、ユーノがそう言うのか分からないけど、私は全く強い自覚はない。


今だって、ユーノが居なきゃ、この道を歩く勇気もないんだもの。






■ ■ ■






たどり着けたのは、一回も通ったことのない城の出入口。

出てくるとき、こんな風景だったっけな?


「入口って1つじゃないの?」

「沢山あるよ。俺も7つ位しかしらないけど」

「7!!」


記憶にないのはきっと仕方ない。ここは初めて通る道だから。

でも、そんなに沢山入口があって、何て言うか安全上、問題はないのだろうか?

見た感じ入口に見張りっぽい人も居ないみたいだし。

遠隔で管理会社が何かあったら駆けつける仕様‥‥なわけないし。


「王の気分で増えたりするから、正確な数字じゃないんだよね。もしかしたら減ってるかも」

「王の気分?」


王様の一声で造られたり壊されたり。それはとてもめんどくさそうで‥‥


「城の地面は王の体なんだ。だから王が望めば構造だって変わる」


地面が‥‥王の体?

ユーノが想像もしてないようなセリフを吐く。

それってばどういうことなのだろうか?


「まぁ‥‥城って言うか、集落までかも」

「いや、意味分かんないし。そもそも体ってなんなのよ」

「分かんないの? えー。まぁ、追々、理解すれば」


顔をしかめてユーノは言う。

なんで、饒舌なのに説明するのが嫌なんだ、この妖精は?


「ここに居たか、ニンゲンの姫」


一方的にユーノの講義を聴かされ、質問に答えてもらえず、もやもやして廊下を進んでいると声をかけられた。

『人間の姫』って言っているのだから、私の事で間違いないのだろう。

でも、呼びかけた妖精は、全く知らない顔で、


「‥‥誰?」


うっかり問いかけた私の手を知らない妖精が取る。

問いかけに相手は応じてはくれない、何も聞こえなかったように普通に無視だ。

名前とか言われても分かんないから、気にはしないでおく。

イケメンな感じ。樹木の妖精なんだろうけど、ほんとに見た記憶はない。

ロザリーの関係者なのだろうか?


「何処に連れていくんだよ。彼女は王の元へ向かう途中だ」


ユーノが私の両肩に手を置いて、牽制する。だが、相手は見下した目でひとにらみ。馬鹿にした声で続けた。


「獣風情が何の用だ? ニンゲンの姫は私が王へ連れていく」

「俺が王に頼まれてるんだよ」

「お前の都合など知るか」


樹木の妖精はその言葉の後に何かを言うと、私の背中でユーノは力なく崩れた。


「ユーノ?」


何が起こったのかわからなくて、振り返ると彼はうつ伏せに倒れていた。


「卑怯だぞ。戦争でもないのに詩を‥‥」


床に倒れ込んだまま、ユーノは悔しそうに抗議する。


「さあ。歩け」


ユーノが心配で、駆け寄ろうとすると掴まれた手が邪魔をする。

振りほどけない位置を握りしめられていて引かれるまま、後を着いて行くしかない。


この人は誰なんだろう。

王の元へ連れていくって言うけれど。

ユーノとのやり取りを聞いている感じなら‥‥彼の言う王とユーノの王は別物の様な気がする。


どうしよう、ロザリーじゃない王様なんだったら。


あの、金の王。

お母様だ。


なぜこの人があの人のところに連れていくのかは分からないけど、何だか良い予感は全くしない。


私の意識なんか無視して、ただ前に手を引っ張り続ける。

それが以外に強くて、逆方向に体重をかけても、何の抵抗にもできず、足がもつれる原因にしかならない。

徐々に遅れる私に妖精は振り向く事もなくただ、手を引いて先を急がせた。


振り向かないそんな相手をどうやって止める?


止める‥‥。


親指で鞘からずらすと、少しだけ見えた刀の柄。


止める方法‥‥


これしか方法が思い付かなくて、親指を刃先に当てる。


電気が走ったみたいな一瞬の痛みにくらくらする感覚。

接続部分から流れる赤い筋が親指から手首、肘と落ちた----


途端に妖精が振り返り、私の右手を見て、繋いだ左手を叩くように離す。

口許を抑えその場から逃げ出した。


刀を汚して、私を傷つけて。

もっと良い方法があったと思うけど‥‥頭の悪い私に思い付く簡単な方法。


ユーノにはきっと怒られちゃうけど仕方ないんだもん。

ハイリスクだけど、結果はオーライだ。


「ユーノ!」


彼はまだ、さっきの廊下に臥せっていた。


「また、血の臭いが‥‥何してるの」

「だって逃げる方法が思い付かなくて」

「でもまぁ。仕方ないよね」


会話は続けられるが起き上がる事はない。顔が床に引っ付いたまま、まるで磁石達が貼り付くように床はユーノを離さない。

ユーノはいったいどうしたのだろう‥‥歌がなんとかっていってたよね。


「肩を貸せば、歩ける?」

「重いよ俺」

「大丈夫‥‥かな」


彼の手を肩に回し、落ちないように支える。刀持ってるから、片手に重が掛かるが気にしない。

彼の指示どおり城を進む。

私の部屋からロザリーのお仕事する部屋とか、セイと出会える庭の道程は解るけど、外から行く道は1つしか知らない。

ユーノと入った入り口は別の場所からだ。


「私、自分の部屋以外にあんまり知らなくて、遠いの?」

「このスピードならかかるかもね」


重いと言えば重いユーノの体。同じ位の体格だから、足は引きずってる形になってるんだろうなぁって、思いながら進む。


「肩とか、足とか。痛くない?」

「動かせないのが苦痛。部分じゃなくて、全部痛いような、感覚だから。気にしない。ほらほら、進んで」


足を止めてユーノを気づかうと‥‥彼にそう言われる。

さっきの妖精に捕まったら面倒だものね。目的地に急ぎたいのは良くわかる。

分かるけど、あとどれぐらいか不安なこの状況でユーノが傷ついてるのを無視はしちゃいけない気がする。

スピードを落とすべきか、急いで目的地に着くべきか、どちらがユーノの負担を軽く出来るんだろう。


そんな事を悩みながら、引きずって進む廊下。暫くはさっぱり分からない景色に、「そこ右」とか「手前の段差上がらないで左」とか分かりやすいユーノの指示通り進むと、見たことある廊下に胸の鼓動が高鳴る。


「あの角まがって‥‥」

「ここからはわかるよ」


高鳴るのは期待の鼓動だけじゃなくて、一緒に不安が奥底から滲み出てきて頭の中をぐるぐるまわる。

逃げ出したいけど、ユーノを捨てては行けないし。

無慈悲に捨てていっても、何処にも逃げる先は無い。



金の王の所? とんでもない。


暴力人間の屋敷? 最悪だ。


セイやユーノの所になんて論外だ。




「どうしたユーノ‥‥とニンゲンの姫か」


首が回る範囲でかけられた声の主を探す。

目に入ったのは筋肉と白のモサモサ‥‥。

この特徴はあの人だ。


「レタル。詩の足枷なんだ」

「樹木の妖精を怒らせるなど、やはりお前は役立たずだな。ニンゲンの姫、ユーノを預かる」

「待って、姫。指だして」


レタルがユーノを抱えると肩が一気に楽になった。

完全に離れる間際にユーノが私の傷に手を当てる。


「あんまり王に近づいちゃダメだよ。気絶しちゃうからね」


自由に動かせないのに、傷ついてる手を忘れるなと教えてくれるのだ。


「分かってるよ」


無意識に傷ついた指を反対の手で隠すように包み込んだ。





ロザリーの執務室。

この扉を開ければ、彼が居る。


戸惑いは臆病風を吹かし、伸ばした手を留める。

だが、無慈悲にもユーノを抱えたレタルが上から扉を開けてしまった。

心の準備など全くできてなくて慌てるが、レタルは此方など気にしない。私を押しやるように中に入った。

準備などさせてもらえない。


「あ‥‥と」


なんて声をかけたら良いんだろう。

真剣な表情でシンジュに何かを話す横顔が、とっても懐かしくて。すぐに言葉をかけたいけれど、邪魔をする勇気はない。


「王」


ユーノを抱えたレタルが私の後ろからロザリーを呼んだ。


「何だ。ユーノの足取り‥‥」


イライラしながら此方を見て、言葉に詰まる。

ロザリーは声をかけてくれたレタルじゃなくて、私を見つけてくれた。


「よく無事で!」


表情を和らげてロザリーは駈寄って来る。

ただそれだけがとても嬉しくて、目の奥から何かがこみ上げてきて溢れだした。

視界がぼやけて彼がしっかり見えない。


「王。姫は怪我してるから、接近注意」

「大丈夫。僕は彼女なら耐えられる」


ユーノの助言も無視して目の前に‥‥、ここまで近づけば滲んだ視界でもしっかり表情は見える。


彼は今にも泣きそうな表情で見上げていた。


「ダメだよ‥‥辛いんでしょ」


傷はとっくに塞がってる。カピカピになった血が張り付いてるダケだ。

それでも樹木の妖精には辛いみたいで、シンジュや草のイケメン妖精なんかはとっくに側にいない。


「あなたが傷つけられた痛みに比べたら。こんなのは辛いうちに入らない」


そういいながら、周りは懐かしいロザリーの香りが漂う。

彼の片手は刀で私自身が傷つけた親指を握り、もう片方の手が私の左目に向かう。

そこはあいつに怪我された位置。傷はもうすっかり塞がっている筈だけど、ロザリーは偶然にもそこを向いて思いを語る。


ユーノの家で綺麗にしたつもりだけど、うまく臭いは取れなかったのだろう?


「ユーノ。悪いが解除は後だ」

「わかってる。体が動かない所にこの香りは拷問かも、まぁ拷問なのは香りだけじゃなかったりして」

「分かってるなら黙っていろ」


レタルとユーノもその場から逃げ出す。

だから、この部屋には私とロザリーの二人きりになった。


「恥ずかしい思いをさせて‥‥配慮が足りなかった。まさかあれが人間の愛情表現だなんて知らなくて‥‥あなたを怒らせてしまった」


合わされた唇。押し込まれた舌。

ロザリーの言うあれが指すものを思い出すとやっぱり恥ずかしい。


「えっと、あれは‥‥そうなんだけど、怒ったわけじゃなくて」


怒ってなんかはいないの。初めてだったから、少しだけ、びっくりしただけ。


「勝手な事をしてごめんなさい。まさか、こんな大騒ぎになるなんて思わなくて」


ただちょっと外に出たつもりが、森からずっと遠くに連れられてしまった。


「あなたが帰って来ただけで、僕は何も問題ない」

「でも‥‥」

「何も問題はないんだ‥‥」


そうつぶやいて、ロザリーが抱きついてくる。

立ったままの私とじゃ、身長差があるから、お腹辺りに顔が来て‥‥腰のあたりの服を両手で掴んでる。


「許してくれるなら、もう何処かに行かないで‥‥」


その手が、少しだけ震えていた。



許すも何も、乞うのは私の方なのだ。


なぜ、彼がこうまでして求めてくれるか分からない。

でも彼の懇願する態度は本物だ‥‥これが演技であるわけない。

何度も言葉で聞いてきたハズなのに、離れてた間は何処か信じられなくて。

すぐに戻れば良かったのに、グズグズして最後にはこんなに相手を傷つける。


最低だ。


私は最低だ。



それでも側に居たいって、望まれるなら傍に居たいって、思ってしまう。

だってロザリーがいるのが当たり前になっていて、離れたら生活すべてが彼が関わっていて‥‥


「何処にもいけない。だって息が止まるから」


離れたら苦しくて仕方ない。

だから、何処にも行かないよ。



二度目の約束‥‥

断片だけだと意味がわからない言葉に、ロザリーはあえて何も言わなかった。








 


 やっと楓さん。王様にたどり着けました。


 

 本日も読んでくださり、ありがとうございます~。




 さて、以下は本文中の補足です。(後々多分説明しないような気がするので)

 っていう言い訳みたいな駄文なので、許せない方は回れ右で‥‥(*;ω人)しかも長文。




その①【城とか集落とか】

 森自体は、木や草でできています。(当たり前)

 その木々全てが樹木の妖精本体です。城の中でうろうろしているのはその化身と言う事で、まぁお化けのような存在です。(適当)

 樹木の妖精は、血の臭いで体の自由を奪われてしまう訳ですが、木々自体に鮮血が吹き付けられても何とも無い訳で‥‥本体は森の中に放置。化身は皆、城の中に非難してきてるわけですね。本文でロザリンドが、楓さんが誘拐された時に呼付けようとしていた妖精の体はそこにあるわけです。目が付いているわけではないですから、呼付けても無駄なのですが。因みに人間だけじゃなくて獣の血でも駄目なので、こぞって食物連鎖行為をする動物さんは、城や集落から追い出されます。

 で、本題のお城。これはユーノがこっそり説明していましたが、ロザリンドとお母様の本体の木で出来ています。(80%ぐらいお母様でぇ‥‥)ちょうど森の中心にある感じ。

 本体は自由に動かせるので、本文中、クエイクを起こしていましたが、外敵排除も、もしかしたら可能なはず。楓さんと清君はロザリンドの木の範囲で生活させられています。

 ただ、見ることが出来るのは化身だけですので、目的物を探すのはうろうろしなきゃならない分ちょっと不便利です。


その②【シンジュと清君】

 シンジュは補佐官って職業を被っているわけですが、今回は、ロザリンドには内緒で草の者的な動きをしています。ロザリンドは虫の妖精は好きでは無いのですがシンジュはあんまり気にせず、役に立つ子は何でも使います。

 蜘蛛に偵察をさせ、玉虫で印をつけて、清君をつかって暗殺‥‥な流れです。ロザリンドが停戦を望む以上、その破綻の原因になりそうな人間をこの世から抹殺するのが清君の仕事的な‥‥。

 そりゃ不機嫌にもなるはずです。


その③【詩】

 樹木の妖精は魔法使いです。(言い切り)

 でもどっちかって言うと呪詛的な意味合いで今後使う予定です。

 呪いを解けるのは、樹木の妖精だけ~。獣の妖精は足腰立たずです。


 その④【ロザリンドのカラーについて】

 もともとこの小説。カラーリングは某ゲームのキャラを基本に頭の中で作成されてます。

 白髪なのに赤い色ってば、ポエムしかいません。(分かった方は是非語り合いましょう!!ww)となると、対するカースティ姫は銀髪のブルー系。黒髪の楓さんとは、ぱっと見、異質ですね。



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【××× A good child, so do not imitate ×××】
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