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君は何もシラナイ 5


人間は欲に勝てない。

彼は食欲。

違う欲じゃなくて良かったと少し安心する。

食欲は一番かわいい欲望だ。


こっそり私のご飯を食べて、

傷口をこっそり治療をしてくれた。

暖かい布でこびりついた血を拭うと、どっかの戦国武将の様に片方だけ眼帯をつけられる。

色は真っ白なんだけどね。

この世界に眼帯があったなんてビックリだ。


「ありがとう」


手当てのお礼を言うと、慌てて頭を下げる。

彼はどんな気分かよく分かんないんだけど‥‥。

道場に初めて入ってきた人の動きに似てる――――かな。


彼は、私の人間不審をかろうじて止めてくれてる。

村のおっさんとか、誘拐団とか、自己中暴力男とか。

私が会ったこの世界の人間は、親しく付き合いたい相手ではない。


セイは別だよ。

彼は意地悪だけど距離を置いてそっとしたい存在じゃない。

そもそも、この世界の人間じゃないし。


彼は普通だ。

少し安心した‥‥ちゃんと人なんだもの。


そんな彼は、窓の開閉部分に鎖を付け、南京錠で縛り付けていた。


「何をしてるの」

「最近、狼がうろうろしてると聞いたので、窓の施錠をしろと言われました‥‥」


窓。

私も窓と形容したけど、外側から板みたいなものがあって、景色は見えない。


「狼がでたら、何で錠?」

「外から開けられないように、と‥‥逃げ出さないように」


ああ‥‥狼について逃げるって思うのか。

考え付かなかった、獣の妖精達は私なんか怖がって距離を置いてるんだもの。本物の獣なんか、眼中にさえないんじゃないかしら。

狼にしたら、私は餌として見てるかも。

それでも、人間達は森からの脅威と森から拐ってきた私を結び付けたいんだろう。

南京錠のくだりがなかったら、窓から逃げようだなんて気がつきもしなかったけど。

私ってば困った事に、帰ることにそんなに必死じゃないんだよね。

帰りたくない訳じゃないのに。


本当は‥‥帰りたくないのかな‥‥









屋敷の外のバケツに腐敗物を放棄している男。

その真横から黒い鳥が飛びかかり、獲物を奪い取った。


「最近じゃあ、鳥までが飢えてるのか」


ゴミを荒らされ、拾う気にもならず、男は嘆く。

そんな男を馬鹿にするように鳥は軽く羽ばたき、いやらしい声で鳴いた。

直ぐ後に鳴き声が悲鳴に変わる。


「鳥の次は犬か‥‥」


少し目を離した隙に、誇っていた鳥は違う獣の餌食となっていた。


「黒髪が与えられた食事を残すから野犬が漁りに来る」


獣は犬と似たような姿をしていたが、犬ではない。

野犬という言葉に怒ったのか、うなりごえを上げ、男の方に迫る。

よく見れば、一匹だけでなく、数匹が取り囲むように迫っていた。


「早く建物に入れ! あれは狼だ。喰われるぞ」


棒を持った別の男が慌てて、ゴミ捨てをしていた男を建物の中に押しやった。

狼は群れで行動する。獲物を見つけたら、群れでそれを分けるのだ。

数匹の狼が鳥だけで、飢えを凌げるのか?

否‥‥獲物はまだ足りない。

狼達が行動に移る前に、二人は避難した。

逃げた獲物を怯えさせるように、狼は遠吠えをはじめる。



「いたか」


鳥のくだりから数十分‥‥建物を取り囲むように配置していた狼にティコが声をかける。


「黒髪って言ってたのなら間違いないな」


ティコはそう言うと、褒美を与えるように、狼の頭を撫でた。

狼は何かを伝えるように、視線をティコへ向けると、彼は軽く頷いた。








オオカミ‥‥おおかみ。狼。

漢字は知ってるけど、絵本でしか見たことない。

あれは二本足で歩いたり、服を着ていたり、ディフォルメしてるだろうから、真実の姿じゃないけどね。

でも‥‥もしね、この屋敷から逃げ出せて、襲われちゃったりしたら‥‥

結構マズイ事になるよね。

獣を見かけたら、とりあえず逃げればいいのかな。


「狼って、いつもうろうろしてるの?」


口に料理を頬張りながら彼は首をふる。

普段は居ないって事なら、本当に私を探しに来てくれたのかしら?

王の命令で‥‥


「やはり、お帰りになりたいのですね。お顔が嬉しそうです」

「帰りたいよ。こんな所よりずっと良いところだもん」


他人に気づかれるほど、ニヤニヤが顔にまで出てたとは‥‥

ちょっと気を付けないとダメだよね。

でも、ロザリーが私を探してくれてるって思うだけで、先ずは嬉しい。

でも、それだけ心配して迷惑かけてるって事で‥‥素直に喜んじゃあダメだよね。


「妖精と一緒に居て平気なんて、そっちの方がいいなんて。あなたはおかしい」

「確かに、あっちにいても。建物に閉じ込められてるのは一緒なんだけど‥‥」


まだ城は好きなように歩き回れた。

姿を隠してだけど。

でもここは部屋からも出られないし、窓も塞がれてる。

まだ、あちらの方が自由があったんだよ。


「妖精は血が出るまで危害を加えたりしないもの」


嫌みは心に痛いけど、気にしなければいいんだよ。

耐えられない身体的外傷など有り得ない。

それは、森の樹木の妖精が血の臭いが苦手ってのがあるからなんだけど。

理由なしの暴力などありえない。

全部見たわけじゃないけど、虫も獣も身の危険を察知してから。


「それでも、おかしいと思います‥‥」


彼は視線を落とし、弱々しく言った。

彼の今の職業はよく知らない。

でも、飢えるような食事だったり、怯えておどおどする態度であったり、あんまりいい暮らしはしてないんだと思う。


「妖精が何かした?」

「彼等は人を殺します。森の資材を独占しています」


森の資材を狙い侵略してるのは人間だ。

侵入しなければ、彼等は全く気にも止めない。


「独占じゃなくて、森そのものが妖精さんなんだけど」


彼は最後には言葉を閉ざしてしまった。

否定する具体的な理由など、きっとない。でも、私の話を納得できるほどの情報もない。

考えたら矛盾する内容。混乱する前に受け入れないようにしてるわけだ。




次話はしくだいのR-15グロを入れる予定です。(苦手な方は逃げて~)

それをすっ飛ばして読めるように話を構成直してるので、大丈夫な方はもうしばらくお待ちください♪



最近のワタクシは不幸不幸だと思ってたら、気がついたら幸福になってました。

人生って良く分からないです。


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【××× A good child, so do not imitate ×××】
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