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于禁  作者: 風唄
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第六章

張繍軍は苛烈、かつ慎重に敗走する我々を追撃する、


そんな中にも何とか私と私の手勢は多少敵と離れることが出来、一息つくことが出来た、


と言ってもそれは他の味方の犠牲の上に成り立っている極僅かな時間なのだが…


そんな大切な時間を無駄には出来ない、我々は直ちに防御の為、林間の道に塹壕を掘り始めた、



そして、前方から3、40人ほどの人が見える、部下たちの間に緊張が走る、まずい…まだ塹壕は6割ほどしか出来ていない…


と、心配したのもつかの間、前方の人は兵ではなく、村民の様子だ、

それも女子供ばかり、


近くに村でもあるのだろうか…?


そんな疑問が頭をよぎる、


だがそれより先にもっと大きな疑問が残る、

何故こちらに向かってくるのか、


その疑問はすぐに解消した、


村民の後ろには兵士が各々、弓や剣などを持って追い掛けている、略奪か…


軍隊にはよくあることだ、


奴ら、もう勝った気でいるのだろう、


その緩み切った顔、泣きっ面に変えてやる、と私は意気込んだ、


見たところ、敵兵は3、40といったところだろうか、本隊が近くにいることだろう…


まぁ、いい…今は目の前の敵を殲滅に全神経を向けよう…例えこの身朽ち果てようとも、敵本隊の一部でも縛り付けれれば足止めには充分だろう、


よし!と気合いを入れ、


弓兵前へ!と号令をかける、


敵は我々に気付いてはいないのだろうか、


それとも未完成とは言え、塹壕で見えにくいだけだろうか、


まぁ、それならば好都合だ、


敵兵はどんどん近づいてくる、


ぼんやりとしか見えなかった兵士が漸くはっきりしてくる、


なにかがおかしい…


だがなにが…


その答えはすぐに出た、



目が良い兵士が叫ぶ、


あれは敵ではありません!


なにっ、


…よく目を凝らし、確認してみる、


む…確かにあの軍装は曹操軍の…それも青州兵(元青州の黄巾賊、曹操が討伐し配下に納めた)では無いか…


味方だとは…嘆かわしい…


日頃から青州兵は横暴に振る舞い、法令も無視して来た、


やはりこうなったか…

私は懸念が真実になってしまったことを嘆く、


そうしているうちにも青州兵と村民はこちらに向かっている、


どうするか…そんな迷いは一瞬、もはやあれは賊軍だ、


私は部下に、

賊軍を攻撃する、と宣言する、


部下に緊張が走った、


だが、気にしてはいられない、


そろそろ賊の顔も見えることだ、


明らかにニヤニヤした顔付きだ、狩りの獲物でも追っているつもりだろうか…腹が立つ、


民に気を取られてこちらにも気付いていない様子だ、、間抜けな…

それとも我々を無視しているのだろうか、


すぐにも弓の射程距離に入るというのに…


とにかく、我々には有利だ、


そろそろか…


一つ大きく息を吐き、弓矢を取る、あと三歩、二歩、一歩…

よし、今だとタイミングを計り立ち上がる、



私はそこの民たち、左右に退け、


と叫んだ、


民たちは一瞬何がなんだかわからないといった表情だったが、私が、早く、と叫ぶと左右に散って行った、


賊は、なにがなんだかわからないと言う感じであった、

…まぁ、自軍に攻撃されるとも思っていないだろう、


だがそれも、一瞬であった、


私は民がいなくなったことを確認し、弓を目一杯引き、放った、


矢はシュッと風を切り裂く音を放ち、先頭をいた賊の頭に命中し、ゆっくりと倒れた、


…一瞬、極一瞬だけ、時が止まった…ように感じた、


刹那、賊が悲鳴を上げ、雪崩を打ったように逃げ出した、


それとほぼ同時に、なにをしている弓兵、と私が叫んだ、


すぐにヒュン、ヒュンと矢が飛び始めた、


大多数には逃げられたが、これで充分だろう、と判断し、追撃はせず、塹壕作りを再会しようとすると部下の一人から進言があった、


青州兵はこのことを訴えでるはずです、早く殿に弁解しに行きましょう、と


だが、私は

殿は聡明な方だから信じはすまい、それより賊(張繍)は間近に迫っているのだ、早く戦に備えよ、と皆に聞こえるよう叫んだ、


部下はそれでも心配な様子であったが、早くしろ、と一喝し、作業を再開した、


塹壕を完成させ、目立たぬよう、賊の死体を左右の林に隠し、伏兵を左右に配置した、


そして暫くすると前方に土煙りが高々と上がった、


間違いなく敵騎兵の追撃だろう、

あの土煙りからして相当な速度、歩兵はいないだろう、


私は塹壕に配置した弓兵30に、用意、と小さく命令した、

塹壕には弓兵のみ、残りの槍を持っている兵と弓兵の一部は伏兵に配置した、敵がある程度近づくと我が方に気付いたのだろう、


敵将が何か叫んでいる、次の瞬間には矢が飛んでくる、だが遠い、ましてや相手は騎兵、命中率は期待できない、



冷静に相手を確認する、後ろは見えないが、おそらく敵は100程度だろうか、もしかしたら200ほどいるかもしれない、


はっきりとはわからないがその程度だと思う、


やはり歩兵はいないようだ、

あるいは遅れているだけかもしれないが直接の驚異では無い、


とにかく、いまは前の騎兵に集中すべきか…



そんな間にも敵は益々速度を上げ突撃してくる、


だが、その足が止まった、


先頭を走っていた馬、数馬が前つめりになり、兵が投げ出される、

すぐ後ろの騎兵が倒れた馬にぶつかり、やはり落馬する、


成功した、


我々は簡単なものであったが落とし穴を作ったのだがそれが成功したようだ、


相手は混乱しているようだ、

勝機!

この混乱を逃すわけには行かない、


私は直ぐさま弓兵に弓を射るよう命を下し、私も弓を射る、



敵兵はバタバタと倒れるも、敵は我が方が少ないと見てか、攻撃をやめる気は無いようだ、



数に任せ突撃してくる、



だが、無理に攻めようとして、益々混乱している、


いける、


そう思ったのだが、報告があった、

矢が無い、と、


む…無理も無い…退却戦であったから矢はあまり持っては来れなかった、


仕方ない、次の手、だ、


次の手の為、合図を大声で叫ぶ、


左右から、おぉ、と叫び声を発し、伏兵が出て来る、



また、我々も剣を持って突撃する、


…敵は退却を始めたようだ、


よし、もういいだろう、


これ我々は追撃は行わず、戦後処理を手早く終わり、退却の準備にかかった、



その後も小さな戦を繰り返しつつ、許昌に退却した、



暫くのち、曹操様よりお呼びが掛かった、

例の青州兵のことのようだ、


真実はわかっている、とのことだったが何故私に訴えでなかったのか、と質問だった、


私が

殿は聡明な方だから信じないはずだ、それより戦に備えが大事だと判断した、と答えた、


曹操様はそなたの何事にも動じない節義は古の名将にも勝ると絶賛なさった、


そして、その功と、退却戦での功で私を益寿亭侯に封じられた、


時に西暦197年のことであった。

久方ぶりの更新となりますm(__)m申し訳ないです…どーも書くときは一気に書けるのですが書かないときは全く書けないもので(汗)

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