11th ユートピア ―――絶対知幻想
ユートピア ―――絶対知幻想
詩:遍駆 羽御
綺麗な鶴だけ 見て過ごせる世界なんぞ壊れてしまえ
水面下では溺れてると勘違いされるくらい 悩んでる
苦悩を何度乗り越えても 新たな苦悩が鶴の前に姿 現す
仮想自由であっても翼を広げて飛翔せよ この星の何処かへ
いつか ボクは救いを手にして安らかな死を手に入れるんだ
恐怖の死よりも前のめりの幸福を
バイオリンの弦は血だらけ 涙は血を拭うけど 救いへは届かない
白を赤に変えるまで弾き続けても一フレーズも完璧に表現できない
そもそも 完璧とは何処にあるのだろう それがボクの安らぎ?
バイオリン弾きの少年を見つめる少女の視線は恋するものの熱意
心など読めないのだから 言葉にしなきゃ何も変わらないのにね
それでも 少女の口は閉じたまま…… 鏡の前で練習したのに
二人の噛み合わぬ葛藤という病を永遠に知らないかのように……
綺麗な鶴は 二人の映る窓枠を一瞥して星空へと還る
もっと 綺麗に飛べたのならば ボクが欲しい世界は見れるの?
仮想自由であっても翼を広げて飛翔せよ この星の何処かへ
いつか ボクは救いを手にして安らかな死を手に入れるんだ
恐怖の死よりも前のめりの幸福を
ありとあらゆる種は自分の正体 知る瞬間 行き止まりに唖然とする
眩い世界へと手を伸ばせそうなのに 一歩も進んでないよ
嘆きを弾くバイオリンの悲しい音色
少年と交わる日を焦がれる本能の性
餓えのない世界へと旅をする鶴の羽根 一枚 舞い降りて……
湖畔の水面に波紋を生じさせた
未来への波紋を