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幸せの味

 私たちは大騒ぎで救急車の手配をし、俊樹を病院に運んだ。


 事故は縁石でバランスを崩して転倒した後だったので、大部分は車体の下の隙間に潜り込んだ格好になり、俊樹は奇跡的にタイヤで轢かれた両足の骨折だけで済んだ。


 それでも全治2ヶ月。俊樹はまだ始まったばかりの夏休みをまるまる棒に振ることになってしまった。


 さぞかし退屈な思いをしているだろうと見舞いに行った私は、病室に入ろうとしたとき、女の子の笑い声を聞いた。そっと覗くと、それは中学3年の時の同級生櫻井智佳子だった。私はその日、病室には入らずそのまま帰った。


 やがて、俊樹は高校卒業後、大学には行かずに就職し、二年後二十歳で智佳子と結婚することになって、私はあのときの野郎たちと共に披露宴に招待された。

 そして、披露宴もたけなわの頃、デザートとして出されたアイスはあの当たりくじ付きのアイスだったのだ。 他の招待客が首をかしげる中、私たちその場にいたメンバーは笑いをこらえるのに必死だった。

 きれいな皿に乗せられたアイスを取り、銀紙をめくって口に放り込む。甘ったるさが口の中に広がる。二人の幸せの味だと思った。


 あのとき俊樹が引いた当たりくじは、アイスだけではなかった。

そう言えば、あの棒には「大当たり!!」と書かれていた様な気がした。



                       -END-

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