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”アタリ”で大当たり

 堀木俊樹。中学・高校を共に過ごしたその男は、陽気で人が良くて、一緒にバカをやると必ず一人だけ捕まるという、ちょっと要領の悪い奴だった。


 夏休みになったばかりのある日のことだった。私たちは野郎ばかりでプールに出かけての帰り、くじ付きのアイスを買って食べながら歩いていた。

「やっぱはずれか……」

「そうそう当たりっこないって」

次々とはずれと書かれた棒が現れる中、最後まで食べていた俊樹がいきなり素っ頓狂な声を上げた。

「当たった!」

その声にみんなが一斉に俊樹の手元を見る。

「どれ、おっ、マジかよぉ。いいなぁ俊樹」

「俺も、もう一本食いてぇなぁ」

「ダメだ、やんねぇぞ!」

慌てて俊樹は手を引っ込めて、

「これは明日食うんだよっ」

と、ご丁寧にアイスを包んでいた紙に棒を包み直して鞄に放り込むと、

「当たった当たった~」

と小躍りして、歩道と車道の境目にある低い縁石に上り、そこを平均台のようにして歩いていった。

 

 たった一本のアイスで……いつもより浮かれていたのかも知れない。たたたっ、と十数歩歩いた後、俊樹はバランスを崩して車道側に倒れた。しかも、そこに運悪くトラックが通りかかり、俊樹はそのままそのトラックに轢かれた。


 一本のアイスの小さな幸せが一瞬にして悲劇に変わった瞬間だった。


 


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