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ep.2「ここはどこ?」

もしかして、死んだ……?


 いや、死んだらこんなに思考は巡らないだろう。

 手と足の感覚は……ある。

 身体の感覚はなにひと違和感はない。

 ついほんの、ほんのさっきまで蝿のアパートにいたのだが現在の視界は真っ暗。

 

 なんだ?サプライズか?

 蝿のやつ、新年だからって気合い入りすぎだろ。

 

 数十秒経っても、目が慣れず光の一つも見えない。

 オンボロアパートなら隙間から光が入ってもおかしくないだろう。


 蝿が教えてくれたことがある。

 ブラックホールは完全な暗闇。

 強すぎる重力が故に何たらかんたららしい。

 その話の時に想像した色こそが今、目の前に広がっている。

 もはや、自分の態勢すらも分からない。

 

 ふと、数分前に言っていた蝿の言葉を思い出す。


 ——20XXX年は世界滅亡の年。


 その予言が本当なら年越しと同時に地球はブラックホールによって滅亡した?


 いやいや、そんなバカな……


「おい!どうなってんだよ!!」


 突然、聞こえる怒号に身体はビクッと反応する。

 なぜか籠ったような声で少し聴き取りずらいがおそらく男性の声。

 かなりご立腹なようだ。


 蝿ではないよな……?

 地球滅亡にキレているのか?

 ていうか、誰なんだ?

 

「どうなってんだよ!これ!

くっそ!!なんだよこれ!!」

 

 なにやら暴れているようだ。

 つまり、地球滅亡の線は無い。

 

 まぁ、俺の身体の感覚があると分かってから、それはないだろうと思っていたが……

 

 ……じゃあこれはなに!?

 

 ふと、俺は腕を動かしてみた。

 視界は真っ暗だが、自身の太ももを触っているのは分かる。

 そこから、骨盤、おへそ、胸、首へと移動する。

 

 なにこれ……?


 鼻元まで手を動かした時に感じた、硬く角張った物体。

 それは、両目を覆っているようだ。

 アイマスクというべきか、それにしては大きすぎる。

 

 1番近い感覚で言うとVRゴーグルだ。

 と言うことは、外せるのでは……。


 マオは、手の感覚を頼りに両手でVRゴーグルらしき物体を掴み、頭上へ力強く引っ張る。


 痛い痛い!

 

 まるで、頭と一体化しているようにがっしりとホールドされている。

 

 くっそ……、どうやったら外れるんだ?

 ていうか、外れるのか?これ。


 視界が見えない分、手の感覚に全神経が集中する。

 ふと、右手の中指に小さな突起を感じる。

 

 ボタン……?


 中指に力を入れて突起を押し込んでみる。

 

プシュゥゥ……


 突如、視界の端に差し込む光。

 どうやら、VRゴーグルのような物体が頭から外れたようだ。

 

 眩しっ!


 光の気泡のようなものが視界を埋め尽くし、ここがどこかを確認できない。

 目を慣れさせるために、パチクリと瞬きを繰り返す。


 徐々にクリアになる視界。

 真っ先に捉えたのは目の前に広がるガラス。

 それは、俺を囲むように作られている。

 まるで、カプセルホテルみたいだ。


 「どうなってんだよ!!おい!こっから出せよ!!誰かいるんだろ?なぁ!!」


 さっきからうるさい怒号は隣から。

 その男性もガラスに覆われたカプセルのようなところに入っている。


 辺りを見渡すと、カプセルような装置がいくつも並んでおりその中には隣の人同様、人間がゴーグルを装着され入っている。

 

 ここは、カプセルホテル……?

 にしては、ちょっと不気味だが。

 いやでも、蝿のアパートにいたよな。


 ……分かった、これはドッキリか!

 年越しと同時に俺を気絶か眠らせて、カプセルホテルに連れてきて、ゴーグルを装着させて……いや、無理がある。


ドン!ドン!

 

 自身のカプセルを殴るや蹴るやとめちゃくちゃに暴れる隣人。

 まだ、頭に取り付けられたゴーグルは外せていないようだ。


 よし、俺がさっき見つけた外し方を教えてあげよう——

 

「右側にあるボタンを押しt——」


ウウゥゥゥゥゥン!!!


 突然、鳴り響くサイレン音。

 大きい声を出したのがマズかったのか、ゴーグルを外したのがマズかったのか分からなかったため、とりあえず口を抑えることにした。


ドタドタドタドタ!


 一定のリズムで鳴り響く音。


 音だけで判断するにおそらく足音。

 徐々に音が大きくなる事から、誰かがこちらに向かってきている。


ウィーン……


 部屋の端にある、扉が開く。

 開くというより、扉がくり抜かれたような不思議な開き方をするドア。

 入ってきたのは人……ではない。


 濁った灰色の肌に、目は拳ほどに大きく黒目しかない。

 髪は無いというか、毛穴が見当たらない。

 まさに、子供の頃本で読んだエイリアンそのもの。

 それが今、視線の先に2人もいる。


 これは、夢では無いよな……。

ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございます。


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