9話 私たちはまぐれじゃ負けない
試合後、俺は落ち込んでいた。
あの戦いに勝てたのはまぐれだ。
俺が彼女を投げ飛ばせなければ確実に負けていた。
俺等の作戦も相手にはバレていたようだし、相手のほうが何枚も上手だった。
わかっていたつもりでわかっていなかった。
俺達はまだ、先輩たちと並べては居ないのだ。
「マスター」
ノアが話しかけてくる。
返事する気も起きず、顔だけをノアに向ける。
「勝てたのです、次を考えましょう。」
ノアが言う。
彼女のこういう前向きなところにはもう何度も救われている。
「…そうだな、次は確実に勝てる策を立てよう」
とは言っても、俺達の強みはティナの防御力とノアの殲滅力だ。
つまりは、持久戦が望ましい。
そのためには、自分たちから攻めるのではなく、相手に攻めさせるのがいいだろう。
「…流行りに便乗するか、」
「「?」」
俺が呟くと、ノアとティナの二人がはてなマークを浮かべる。
俺は二人に作戦を話した。
〜〜〜
俺達は今会場に入場するための施設にいる。
会場に移動するにはテレポートを使う。
このテレポートは指定した座標の範囲内にランダムに転移させる。
運が悪ければ相手の真横に転移する可能性があるわけだ。
そうなれば俺達はもう諦めるしかないわけだが…
とにかく、俺たちはテレポートの施設にいるのだが、ここを使うのは俺達だけじゃない。
そう、対戦相手ももちろん来るわけだが、
俺達は今、2回戦目の対戦相手に絡まれている。
「お前らか、メレテ倒したのは、」
対戦相手の大柄な男子生徒が話しかけてくる。
メレテというのはおそらく前の試合の相手だろう。
「だったら何?」
俺が答えると、男子生徒ではなく、彼のエーテルマスターが話しかけてくる。
「特に何も無いけど、私達はまぐれでは負けない」
なんと初対面なのに堂々と挑発してきた。
一連の流れで、二人の性格が大体わかった。
「じゃあ、先輩が負けたら実力ってことですね。」
俺はわざと、”余計なこと”を言う
二人の空気が変わる。癇に障ったのが手に取るようにわかる。
あぁ、やっぱりこの2人は
「覚えとけよ、後輩…」
敵はそれだけ言うと、自分たちの転移門へ歩いて行く
この2人は直情的だ。
これは、作戦を試すのにちょうどいいかもしれない。
〜〜〜
ガンッ!!!
狙撃音が周りに響く。
狙撃はまたもビルから、
しかし、前回と違うことがある、狙撃しているのは俺達なのだ。
「〜〜!!!」
相手の口が動いているのがスコープ越しに見える
…なんと言っているのかは聞こえないが
「マスター、二人は一緒に行動しています。」
ノアが隣でスコープを覗きながら言ってくる。
作戦はこうだ、
まず、前提として絶対にビルの屋上を取る。
そこから、俺とノアがスコープで1人ずつ監視、可能なら狙撃
ちなみに、時間切れの場合には、審査員の判定になる。
この状況では、高所を取っている俺達の判定勝ちになるだろう。
つまり、敵はこちらを攻めないといけなくなる。
そこでティアの出番だ、ここへ出てくる扉は一つだけ。
そこをティナが盾で塞ぐ。
因みに、訓練期間中に判明したことだが、ティナの能力はそれぞれ得意な攻撃、苦手な攻撃がある。
普通の盾は物理に強く、魔法に弱い。
《絶対障壁》は物理にもある程度の耐久力はあるものの壊れやすく、魔法には絶対的な耐性がある。
そしてこの、ティナの固有魔法は強力なのだがエーテルの消費が激しい。使い所を見分けないといけないわけだ。
話を戻そう。
ティナが塞いでいる間に俺とノアがタイミングを合わせて攻撃
相手に攻めさせ、持久戦に持ち込む。
俺達の理想の戦況だ。
更に今回の相手は、直情的
狙撃し返してくるとかはないだろうし、この作戦を試す相手としては十分だろう。
まぁ、俺達の能力が相手よりも圧倒的に低かったら意味ないのだが、それは気にしていない。
ティナの防御力は強力だし、ノアの殲滅力も圧倒的だ。
俺も頭の回る方だと思っているし、この作戦ならば行けるだろう。
「マスター、敵が建物に入りました。」
ノアが敵の動向を教えてくれる。
「わかった。ティナ、警戒して。」
俺は返事と指示をする。
その後、俺とノアはティナのすぐ近くに控える。
しばらくすると、足音が聞こえてくる。
…なぜこんなにも堂々と歩いてくるんだろう。
直前まで狙撃されていたんだから
敵に自分たちの動きが漏れていることなんて、考えなくても分かる。
…もしかして、何らかの形で囮を作ったのかもしれない。
うん、きっとそうだ。
「おらぁ!!!」
男子生徒が、普通にドアの前に来て、普通に銃を撃ってきた。
もちろんその前にはティナの盾があるため、全弾弾かれる。
「はぁ!?」
男は驚いた声を上げる。
その次の瞬間、盾にもたれかかり、押してくる。
が、相手は防御型のエーテルマスターだ、人間の数倍以上の身体能力に加え、特に足腰が強い。
それに勝てるはずもなく、ただ無駄に体力を消費している。
「え、」
その様子に、ティナも驚きの声を上げる。
「…ティナ」
俺は、ティナに指示を出し、盾を収納させる。
男子生徒は盾に身を任せていたため、突然消えるともちろん転ぶ。
俺は、その男に向かってネット弾を撃ち込む。
「うおおおぉぉぉぉお!!!」
男子生徒が大声を上げる。
「やられるかぁぁあああ!!!」
すると、エーテルマスターが考えなしに突っ込んでくる。
ティナがそいつに足をかけると転ぶ。
ティナは、そこにネット弾を撃ち込む。
「みんな、罠かもしれない、あたりをーー」
ビー!!!ビー!!!
俺の言葉を遮ってブザーが鳴る。
「「「…」」」
俺達は思わず黙ってしまう。
新しい作戦…試せたのだろうか、
なんとも言えない空気の中、2試合目は終わった。
ーーでも、前よりも成長している気がする、かもしれない。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
まずは皆さんに謝らなければいけません。
今日は休日なのに、この1本だけの投稿になってしまいました。
――すみません。
……普通に、忘れてました。
さて、第9話は、強キャラ感を出してきた真っ直ぐすぎる二人組との対決でしたね。
なんとも可愛らしい二人でした。
次回はいよいよ3回戦、準決勝です!
ゼインたちは優勝できるのでしょうか?
ぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。
(※明日は恐らく投稿できないと思います。
立て続けに申し訳ありません……!)
コメントやブックマークなど、いただけると本当に励みになります。
それでは、また次回!




