8話 狙撃流行ってんの?
ガンッ!!!
俺のすぐ隣の床で銃弾が跳ねる。
…狙撃である
俺達は今、戦術大会の一戦目をしている。
(…狙撃流行ってんの?)
俺は前と同じ場所で同じような狙撃を受けていた。
〜〜〜
朝、憂鬱な気持ちで目が覚めた。
そう、今日は学年代表対抗戦術大会当日だ。
てか名前長くないか?
戦術大会と呼ぶことにしよう。
まぁ、そんな大会当日なわけだ。
俺達も、練習を積んできた。
簡単に負けるつもりはないが、それは相手も同じこと。
更には、対戦相手の殆どが1年以上歴が上な先輩だ。
本当に嫌だ、前の世界での体育大会を思い出す。
あの頃は何度も明日熱が出ていないかと期待したものだ。
もちろん、昨日の夜もそれを期待して寝たわけだが、
そんなことにはならず、元気いっぱいである。
…体だけは。
「今日は基礎訓練ないのですね、」
ノアが言う。
そう、今日は戦術大会に体力を少しでも多く残すためという理由だ。
基礎訓練するから今からでも出場取り消せないだろうか…
しかし、そんな俺の気持ちとは裏腹にノアが衝撃の一言を放つ。
「大会前に体を動かしておきたかったのですが…」
そう、ノアはこの大会に乗り気なのだ。
俺はこんなにも嫌なのに…
落ち込んだ気持ちでいたらいつの間にか試合開始
もう逃げられない所まで来た、と気合を入れたと同時に、ノアがビルの屋上に飛んでいく敵二人を感知。
気付いてもこの距離から攻撃できる方法は持っておらず、どうしようかと悩んでいたところに銃弾が飛んできて、
現在に至る。
「マスター、ここからどうしましょう。」
ノアが聞いてくる。
誰も欠けずに全員同じ場所に隠れられたのは救いだろう。
「どうもこうも、ティナの盾に隠れていくしかないんだけど…」
そこで俺とノアはティナの方を見る。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
ティナは頭を抱えてうずくまっている。
この前もこうなっていた気がする。
この子は高所からの攻撃が苦手なのだろう…
とにかく、ティナをやる気にさせなければ始まらない。
俺がティナに話しかけようとすると、先にノアが話し出す。
「ティナ、行きましょう。」
ノアがまっすぐにティナを見て言う。
「ノアちゃん…」
ティナが、ノアを見て言う。
ちょっと待って、ちゃん付け?
それって呼び捨てよりハードル高くない?
「大丈夫、私とマスターが守ります。」
ノアがティナに言う。
え、それって俺が言うセリフじゃない?
俺マスターだよね?勝手に俺も含めちゃダメじゃない?
いや、守るけどさ…
「わかりました」
ティナがそう言って、盾を広げて立ち上がる。
俺は終始置いてけぼりだった…
〜〜〜
また、あっさりと着いてしまった、
俺は、ビルの屋上への扉の前で思う。
前回もそうだったが、ティナの盾に入って移動すると本当にバレない。
訓練中にノアも見失っていたぐらいだ。
そんなわけでここまで簡単に来れたのだが、ここからが大変だ。
なんたって、相手は一年先輩だ。
まともにやって勝てるわけがない。
なので俺は二人と作戦を立てた。
「確認するぞ、まず俺が突入、銃を撃ち相手を気絶させられたらいいが、十中八九無理だから、相手を混乱させるのが目的。
その後、ノアとティナが同時に突入、ノアはまずエーテルマスターの無力化を目指す。無理ならティナの魔法で無力化。
その後俺とノアで生徒を撃破、いい?」
俺が小声で言うと、ふたりとも頷いてくれる。
俺は立ち上がると、少し間を開けてから扉を押し開ける。
!?敵が居ない!!
俺が驚きで固まった隙に後ろから何者かに掴まれる。
「!?」
なんとか、受け身は取れたものの、俺は扉から離れたところに移動させられる。
俺は瞬時に銃を抜き相手へ向ける。
相手もこちらに銃を向けているところだった。
「マスター!!」
ノアがこちらに走ってこようとするが俺はそれを止める。
「待て!!まだ敵のエーテルマスターが見えない!!二人で固まって警戒しろ!!」
俺がそう言うと、ノアはすぐにティナと固まり、あたりを警戒しだす。
「頭も回るし、体も動ける。君すごいね」
目の前の男子生徒が言う。
「軽口言えるくらい余裕ですか、」
俺がそう言うと、男は答える。
「まぁね」
クソ…
どうしたらいい、
まずはティナたちに合流しないと。
俺は、ノアにウィンクする。
俺とノアの合図だ。
ノアがその瞬間、魔法を発動させる。
あたりに強烈な光が放たれ、敵の目を潰す。
その間に俺はノアたちの方向に移動する。
「驚いた、こんな隠し玉も用意してるなんて。」
俺は、男子生徒をネット弾で捕まえる。
失格の合図だ。
「捕まっちゃった、まぁ僕にできることなんてそうないし、後は任せたよ、アリ」
男がそう言うと、ノアがなにもないところに向かって銃を撃つ。
「ほう、これに気付くのですか。やりますね」
するとそこから、青い髪の少女が出てくる。
なぜかは分からないが、ノアの攻撃が効いていない。
「ティナ!!」
俺はティナに合図して、《絶対障壁》を発動してもらう。
半透明・半円状の盾が、敵を覆い込む。
しかし、敵はパンチ3発で壊す。
「結構本気で殴ったのですが…硬いですね」
青髪の少女が言う。
まずい…
打つ手がなくなる!!
俺は敵に近づくと、瞬時に裾と襟を掴み投げ飛ばす。
授業で習っている柔道だ。
「な!?」
これには流石に驚いたのか、敵も驚きの声を出す。
「ノア!!」
俺が言うと同時にネットを撃ち込む。
二人を拘束し、なんとか勝ったものの、決して楽勝というわけではなく…
高い壁を感じた…
ここまでお読みくださりありがとうございました。
8話は遂に戦術大会!!
なんとも、再登場の予感のする先輩がでてきました。
高い壁を感じたゼイン達ですが、2回戦も勝てると良いですね!!
9話もぜひ楽しみにしていて下さい!!
ブックマーク、コメントなどしてもらえると大変嬉しいです。
また、次回出会いましょう!!




