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5話 当然です、マスター

ビー!!! ビー!!!


広い訓練場に、ブザーが鳴り響く、

勝敗がついたことを示すブザーだ。


「勝利はBチーム、勝利はBチーム」

続いて、俺達の勝利を示すアナウンスが入る。


あたりを覆っていた煙が、風に流されようやく視界が確保される。

敵のエーテルマスターの方を見ると、オレンジ色の半透明の球の中に閉じ込められていた。


どうやら、指示通りに閉じ込められたようだ。


「やったなティナ!!」

俺は、ティナに近寄り言う。


「わ、私…」


感極まったように言うと、ティナはそのまま倒れてしまった。


〜〜〜

俺は、試合を終え

ティナを保健室へ連れてきた。


保険医はティナをひと目見ただけで言う。

「この子は、エーテルの使いすぎで倒れてるだけだ。それよりも君だ、背中、やばめだよ?」


どうやら俺は、背中の全面を火傷しているらしい。


試合中も、運んで来る間も必死過ぎて気づかなかった…

言われると、突然痛みが…

あぁ、俺、死ぬかも。


「大丈夫、すぐ治るよ。」


保険医がそう言いながら手を伸ばしてくる。

すると、段々と痛みが引いてきた。


「エーテルを流し込んでるんだけど…、いや話さなくていいね」


痛みが引くと、眠気が襲ってくる。

俺も相当消耗していたらしい。


足音が近づいてくる。

「マスター、お疲れ様です。」

ノアがやってきたようだ。


返事しようにも、声が出ない。

あ、だめだこれ寝るやつだ…


「マスター?…、おやすみなさい、マスターここは私が居ます。」



その優しい声に誘われるように、俺は眠りに落ちた。


〜〜〜

次の日


「昨日は、おつかれでしたねマスター」

朝食時に、ノアが言う。

あの後、寝てしまった俺をノアが部屋まで運んでくれたらしい。


「本当にね、いつも鍛えてるのにあんなので寝るなんて。」

「よく、体は大丈夫でも、心が疲れている。なんて話があります。マスターはそうだったのでしょう。」

「確かに。」


ゆっくりと、ハムパンとスープを飲んでいると、後ろから声をかけられた。


「あ、あの…」

振り向くと、ティナが立っていた。


「どうしたの?」

「こ、この間はありがとうございました。私なんかが勝てたのは、ゼインさんのお陰です。」


お礼を言いに来てくれたらしい、律儀な子じゃないか

でも、勝てたのは俺のおかげなんかじゃない。


「勝てたのは、ティナのおかげだろ?」

「え!?」

それを伝えると、ティナはとても驚く。

なんで?ティナが居なかったら最初の狙撃あたりで詰んでたんだが、


「わ、私のおかげ…ですか?」

「そうだぞ、ティナが居なかったら最後なんて俺、焼け死んでたぞ。」


しばらくの沈黙の後、ティナが口を開く。

「えへへ、私のおかげ…」



かわいい

聞いちゃダメなやつだったようだ。


ティナを見ると、笑顔で嬉しそうな感じが伝わってくる。


かわいい


「ティナとも契約できるんだったらなぁ〜」

俺がそう呟くと、ノアが答えてくれる。


「できると思いますよ、マスターとなら」

こともなげに言う、ノアに俺は驚く。


「「え!?」」

どうやら、驚いたのは俺だけではないらしい。


「固有魔法は契約した。エーテルマスターにのみ発現する魔法です、最後の障壁は固有魔法でしょうし、、マスターとならできますよきっと。」


全然気が付かなかった。いつからできるようになっていたんだろう。


「まぁ、もうできていると思いますが、意思確認したほうが良いのではないでしょうか。」

ノアの言う通り、意思確認をするため、俺はティナに話しかける。


「俺と契約しない?ティナ」

俺がそう言うと、ティナの顔がとても明るくなる。


「は、はい…、わ、私にもう一度名をください。」

泣きそうな顔でそういうティナに俺は言う


「ティナ、君の名前はティナだ。」

「っ…!!、ありがとうございます、マスター」


ティナがついに泣き出してしまった。


仕方もない、ずっと虐げられてきた彼女の、子供の頃からの夢が叶った瞬間なのだから。


その後、ティナを落ち着かせ

急いで朝食を食べ、訓練場に急ぐ。

なんとか間に合ったと息をつく俺に、校長は言った。


「今日は山で訓練を行う。全員走ってついて来い!!!」


え、俺もう疲れてるんですが


〜〜〜


「今日はここで、訓練する。それでは行け!!!」

校長が山に着くなり大声で言う。


何をするんだ…?

という、生徒たちの気持ちを感じ取ってか、呆れたというような態度でドロ先が前に出てくる。


「え〜、ここには学校所有のロボットを放っているから、それと戦ってほしい。遠慮はしなくていいぞ。

スタート地点は調整するから、他の生徒と会うことにはまずならないだろう。

それじゃあ、スタートだ。」

言い終わると同時に、ドロ先が手を叩く。

その瞬間、あたりの空気が歪み、山の何処かへ転移させられていた。


「何だ、今の」

俺は驚いて誰にでもなく問いかける。


「軍所属のエーテルマスターの能力ですね。噂で聞いたことがあります。」

ノアが答えてくれた。


軍にはとんだチートを持ったエーテルマスターが所属しているようだ。

「とにかく、進もうか。」


ちなみにティナは訓練校に置いてきた。

体調がまだ万全でないのと、契約したという手続きもできていないためだ。


そんな事を考えながら進んでいると。

眼の前の茂みが揺れる。


「マスター」

ノアが敵がいることを知らせる。


まもなくして、人間と大差ない背格好をしたロボットが茂みから出てくる。

全身が白くなければ、人と見間違えてもおかしくない。


相手がこちらに気づくより先にノアがカタラスタを出し、ロボットを攻撃する。

打ち出された弾は寸分たがわず、ロボットの頭、胸を穿ち

ロボットは崩れ落ちた。

しばらくすると、ロボットは光の粒子となり、消えていった


「どうやらこれも能力のようですね、進みましょうマスター」


一瞬のことに呆然としていた。

きっとノアがいればあの試合だって、誰も怪我せずに終わっただろう。

そう思わせるくらいには、強い戦いぶりだった。


「あ、あぁ…」


俺はノアについて行った。


しばらく言った先に、開けた場所があり、そこにロボットが四体集まっていた。


ノアはまずそのうちの一体をさっきと同じように倒す。

そのまま、他の個体に近づき、そのまままた他の一体に投げ飛ばす。

ぶつかってしまった2体に向けて弾丸を放ち倒した後

残る一体から弾が放たれるより早く、その個体も撃ち抜いてしまう。


本当に一瞬の出来事。

まるで、完成された一つの舞を見ているようだった。


「すごいな、ノアなら一番多く倒せてしまうんじゃないか?」

俺が、ノアをそう褒めると。


「当然です、マスター。他の生徒達の度肝を抜いて見せましょう。」

揺るがない瞳でそういった。


〜〜〜


その日、国防士官訓練校の伝統的行事である山間訓練で異例の事態が起きた。

この訓練は、新入生に山間での戦闘の厳しさを教えるための訓練なのだが、その年は一組だけ

ターゲットを100体以上狩ってくるチームが現れた。

後にこのチームは最強のチームと言われることになる。

この話は、そのチームの武勇伝として訓練校で語り継がれることになる。


ここまでお読みくださりありがとうございます。


ノアが強かったですね…

いや、本当に。

因みに100体以上倒した中で、ゼインが倒したのは3体だけです。


一方、ティナはゼインをマスターと呼ぶべきか頭を悩ませていたようです。


結局なんと呼んでくれるのでしょうか、ぜひ次回も楽しみにしておいてください。


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