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3話 契約してないからなんなの?

「マスター、おはようございます」


僅かな揺れを感じて目が覚める。


段々と意識が覚醒してくる。


眼の前に映るのはノアの美しい銀髪


「おはようございます、マスター」


「おはよう、今何時?」


「今は五時ちょうどになります。」


俺が聞くとノアはすぐに答えてくれた。


「ありがとう」


これが2週間でできた俺達の朝のルーティン

最初の方は大変だった


トイレにまでついてくるので、どうしてか聞いたら


『メイドは主についていくものですから。』


と答えてきた。思わず


『トイレで何を頼むんだ?』


聞いてしまったのが悪かった。


彼女は表情を変えずこう言ったのだ


『お望みとあらば、拭いて差し上げますが』


…俺はなんとか彼女を説得してトイレというプライベートな空間を確保した


ちなみに、狭い


まぁ、俺とノアのほのぼの話は置いておいて


今では彼女ともある程度仲良くなっている、と思う。


どうにか、笑わせられないものか…

また今度考えてみよう


「本日より、本格的な戦闘訓練が始まりますね。」


ノアのその声により意識が現実に戻される。


毎日ランニングが6時にあり、いつも5時に起きている。

身支度を整えると、遅くてもランニング開始時刻より30分早く終わってしまう。

朝食は8時からのため、やることがないのでこうしてノアと話している。


最初の頃は、ノアは質問に答えることしかしなかったのだから、やはり仲良くなれているのだとは思う。


ノアは、白湯を持って俺の前に座る。


この座るという行動も大分進化している。

ずっと立とうとするのでなんとか座らすことができたのが、5日前


自分は座るくせに美人を立たせて侍らせるクズにならなくてよかった…


「戦闘訓練か…キツくないといいんだけど。」


「それはないんじゃないでしょうか?」


「分かってるよぅ…」


ノアは何でもズバッっと言ってしまう

まぁ、それも彼女の魅力なんだが


〜〜〜

「はぁ、疲れた…」


朝のランニングを終え、ご飯を食べに行こうと歩いているときだった。


「マスター、どこへ向かっているのですか?」

「え?」


ノアに話しかけられ、あたりを見渡すと、たしかに見覚えのない場所だった。


「引き返しましょう。」


そういうノアの後ろについていこうとしたその時


小さな、本当に小さく短い悲鳴が聞こえた。


次の瞬間には、笑い声が聞こえる。

どこか嫌な感じのする笑い声だ。相手のことを蔑んでいるような雰囲気がある。


どうやら、少し遠くから聞こえているようだ。


気づかれないように近づくと、淡いピンク色の女の子が数人の男子生徒に囲まれていた。


「おいおい、防御型なのに攻撃ビビってどうすんだよ?w」


「仕方ねぇよ、こいつは契約できなかった無能なんだからw」


は?

契約してないから何なの?

あいつら、よってたかってあんな華奢な子をいじめやがって…

何なんだ?あいつら。


「私達は基本的に15歳で主をえます。しかし、極稀にそこで契約できない子が出て来るんです。

その子達は無能と呼ばれ、蔑まれるんです。契約していないエーテルマスターは契約した子に比べてエーテルの出力量が少なくなるから…」


ノアを見ると表情はに変化は少ないものの、手を固く握りしめていた。

ノアにも感情はある。ただ起伏が少ないだけだ。

彼女は他の子の苦しさを想像できる優しい子だ。

彼女は今、静かに怒っていた。


「お前、見た目だけはいいからな、俺が使ってやろうか?」


もう限界だった、

ガンッ!!!!


男子生徒のうちの一人が彼女に掴みかかろうとした瞬間。


俺は、そいつに向かって石を投げていた。


「マスター…?」

ノアが驚いたように言う。


全員の視線が俺に集まる

ノアの声も聞こえる。しかし、俺は勢いのまま言う。


「やめろよ、その子が可哀想だろうが」


「は?おめ、何いってんの?こいつは無能だぞ?」

「だから何だよ、関係ねぇだろ」


俺は、男子生徒たちと女の子との間に割って入る


よく見ると後ろのエーテルマスターたちは苦しそうな顔をしていた。

この子達も、優しい子だ。


契約していなくても、このピンクの子はエーテルマスターだ。

エーテルマスターは、人間の何倍も身体能力や攻撃力が優れている。

人間が戦って勝てる相手じゃない。

だからコイツらは、嫌がる彼女たちを護衛に付け、この子をいじめていたんだろう。


自分たちじゃ勝てない相手に護衛の影から石を投げる。

…とんだクズどもだ


「どっか、行けよクズども」

「聞き捨てならないな、俺達がクズだと?無能の相手をしてやっただけだろ?むしろ感謝してほしいね、社会の歩き方を教えてやっただけだよ。」

「お前たちより、この子のほうがよっぽど有能だろ」


どうやら、俺のこの言葉が癪に触ったらしい

男子生徒のうちの一人が青筋を立ててこう言った。


「そう思うなら、審議を決めようじゃないか」

「は?」

「決闘だよ、俺と俺のエーテルマスター、お前とその無能で、俺が勝ったらその無能とお前のエーテルマスターに夜の相手をしてもらおうか」


「わかった、そのかわり俺が勝ったらお前は金輪際この子に関わるなよ」

「それでいいだろう、開催は1週間後、たくさんの玩具を揃えておくよ」


そう言いながら男子生徒たちは去っていった。


〜〜〜


俺はドロル


校長の補佐として今朝の訓練を終えてきた

この後は午前の授業に午後からは書類の整理

考えるだけで憂鬱だ、漫画を読みたい…


沈んだ気分で2階の廊下を歩いていると外から声がしてきた

そちらを見ると、有名な問題児たちがいた


その前には尻餅をついたエーテルマスター


あぁ、未契約者いじめか…

多くの者はそんなことなど気にしないが、一部の間で起こっているいじめだ

基本的には陰口を叩いたりなどで済むのだが、もし手を出すようなら止めないといけない


そう思った瞬間、男子生徒が彼女に掴みかかりそうになる。

俺が声を出そうと口を開けた瞬間だった。


ガンッ!!!!


「おぐッッ?!」


びっくりした

何だ?

もう一度、さっきの場所に目を向けると、男子生徒が一人出現していた。

彼は…、置土産と契約した子じゃないか

どうして彼が…?


俺の思いをよそに、両者の話は進んでいく


どうやら、一週間後決闘をするようだ。


ククク、どうやら今週一週間は楽しく仕事できそうだ。

〜〜〜

完全にやっちまった…

俺は、食堂で頭を抱えていた。

ノアの意見も、ピンクのこの意見も聞かずに勝手に決闘の約束しちゃったけど…


「私は大丈夫ですよ、マスター」

ノアを見る、なにか案があるんだろうか

ノアがまっすぐにこっちを見て言う。

「いざとなれば、あの者たち程度塵も残さず消し去ってみせます。」


真剣にそんな怖いこと言わないでぇ…


「やっぱり嫌だったよね」

「いえ、メイドは主以外には体を許さないものでしょう?」

「え、」


…それは、俺ならいいってことかな?

いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。


「君もごめんね」

俺は、眼の前の淡いピンク髪の華奢な少女に話しかける。


「い、いえ私なんかを助けてくださりありがとうございます。」

そう言って、頭を下げる少女


「?、君はあんな奴らに抱かれるかもしれないのに平気なの?」

「あ、いえ、私なんかの裸、見てもなんとも思われないといいますか…、むしろ私の代わりにされるそちらの方に申し訳ないといいますか…」


どうやら、とても自己肯定感が低いらしい

はぁ、本当に申し訳ない


「マスター、勝てばいいのです」

「…」


…ノアはあって2週間程度のやつを信用しすぎだ。

悪い人に騙されないか不安になる。


でも、今はその言葉に正直救われた。


「そうだね」


〜〜〜

1週間後


「逃げずに来たな」


そう言いながら、男子生徒が歩いてきた。


というか、それはやられ役のセリフじゃないか?


決闘の話はこいつが先生に通してくれたらしい。

それは、ありがたい限りだ。

ここには、俺達と相手の二組と審判だけ。


一応、この一週間訓練してきた。

負けるつもりはない。


このクズをこのまま放置しておくわけにはいかない。


俺はこのとき、らしくなかった。

初対面の女の子を庇うような主人公気質では無いし、いつもよりも怒っていた。

それこそ、この違和感に気づかない程度に。


「それでは、初め!!!」


試合が始まる!!!!



ここまでお読みくださりありがとうございます。


ノアは主人公を相当信頼しているようですね……

悪い人に騙されないよう、本当に注意してほしいものです。


それにしても、なぜか初戦の相手がノアではないという主人公。

相棒のはずなんですが……これは浮気扱いされても仕方ないかも?


さて、4話は都合が合えば午後に投稿できればと思っています。

明日からは、夜に1話ずつ投稿していく予定です。


ぜひ、4話も楽しみにしていてください。


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