17話
「マスター!!」
私は敵を気絶させるとすぐにマスターに駆け寄る
マスターはぐったりとしており、無意識に息を飲んでしまう
急いで駆け寄り、具合を確かめると
どうやら気絶しているだけだと分かり、そっと息を吐く
急いで応急処置をしようとするが、救急箱が手元にないことに気がつく
「あれ…どこに…」
立ち上がってあたりを見回し、先程応急処置を行っていた場所の近くに置いてあるのを見つけた
すぐにそれを手に取りマスターの近くに戻る
マスターは、様々なところが腫れており骨も何本か折れているように見えとても痛たしい
応急処置のために包帯を巻こうとするがさっきのように上手くいかない
「くっ…」
どうやら手が震えているらしい
…らしくない
救急箱を持って移動しないことも、応急処置を上手くできないことも
その理由がマスターが…
出会って半年にも満たない青年が倒れたということも
どれも私らしくない
昔から感情が乏しいとよく言われた
軍属のエーテルマスターは幼い頃から専門の訓練校に通う
私はそこで、天才と呼ばれる成績を出していた
しかし、私がこんな性格だからだろうか
周りの子達は私を少し避けていた
私がもう少し感情表現ができる性格だったならそうはならなかっただろう
しかし、幼い私はそんなことは気にも止めず
いつも訓練しているような性格だった
きっと自分は契約しても、主に好意的に見られることもないのだろう
それでも構わない、せめて自分に与えられた役目は全うできるようにしようと思っていた
でも、現実は違った
マスターは私と話しているときよく笑ってくださる
それにティナという友人もマスターがきっかけを作ってくれた
マスターが倒れて困惑している自分がいる
どうしてだろう、私の中でどうしてマスターという存在が大きくなったのだろうか
「ノアさん!!」
自分の名前が呼ばれ、眼の前に意識が戻る
声の方向を見るとティナが起き上がって私に声をかけていたようだった
手元に目を落とすとマスターの応急処置は終えていた
「マスターはひとまず大丈夫そうですね」
ティナは私が応急処置したマスターを見て少し安心したように言う
「えぇ、ティナは…」
「わ、私は大丈夫です!!仮にも防御型ですしね!!…その防御型が最初にやられてしまったわけですけど…」
私がティナの心配をすると
彼女はすぐに元気だと伝えてくれる
最後に少し自虐してしまうのが彼女らしくもあるが悪い癖だ
「とりあえず、この2人を拘束しましょう」
私がそう言いティナと2人で気絶した襲撃者を拘束しようと動き出したとき
廊下の端から階段を登る音が聞こえた
「ティナは前で障壁を張ってください、私は後ろを守りつつ敵を攻撃します」
そう言うと私は負傷した3人を一箇所に集めて音のした方を向く
ティナは私の言った通り前に盾を構えている
足音が近づいて来るにつれて、緊張感も高まる
相手は足音からして3~5人
頭の中で、この先起こるであろう戦闘をシミュレーションする
…
私が歩いてきている敵であろう存在を睨んだ時
声が響く
「無事か!!」
足音の主は教官だった
〜〜〜
意識が戻ってはじめに感じたのは外の明るさ
まぶた越しにでもわかるほど外は明るく、目を開けるのをためらってしまう
段々と意識がしっかりしてきて頭が回るようになる
明るいということは、朝になったもだろうか
襲撃はどうなったんだ?ノアやティナは…
俺が寝ているここはどこなんだろうか
頭の中の疑問を確かめるために目を開ける
眩しさに目を細めた瞬間、俺の寝ている横でガタッという音が聞こえた
「ま、マスター!!」
「ティナ、無事でよかった」
音はティナが立ち上がった音だったようで
そのままティナに話しかける
「はい、マスターも無事…ではないですね…」
ティナにそう言われて自分の状態に目をやる
確かに、寝ている状態でも僅かに腹の部分が痛む
戦闘中に思いっきり蹴られたのが原因だろう
少しあたりを見回すと、薄々わかっていたがここは病室のようだ
ガララッ
その時、扉が開いてノアが入ってくる
俺を見るとノアは一瞬止まり
「…マスター、無事目が覚めたようで安心しました」
そう言って俺の近くの余っていた椅子に座って手を撫でくる
それからは誰も何も言わない
それでも、気まずさはない
生きて帰れたことをゆっくりと噛み締めているような気もする
コンコンコン
しばらくすると、扉がノックされる
「?」
「私は知らされていません」
俺は2人を見るが2人とも誰かわからないようだ
「とりあえず、入室してもらいましょうか?」
そう言うノアに頷くと、ノアが立ち上がって扉を開ける
「おぉ、起きたか、具合はどうだ」
そこに立っていたのはドロ先だった
17話をお読みくださりありがとうございます
今回は合宿編が終わり、ノアの心情がメインとなりました
主人公との距離間に戸惑うノア
それでも彼女にとって不快ではないでしょう
最後にドロ先もやってきて、次回何が起こるのかといったところ
更新が大変長く空いてしまって申し訳ありません
ぜひとも18話も楽しみにしていてください




