13話 弱い気がする
実践当日になった。
多くの生徒は朝食の時から緊張しているのが見て取れた。
俺もその一人だが、俺の仲間たちは違ったようだ。
こういうのって普通敵のフリした教官と訓練するんじゃねぇのかよ、
てか、ノアはまだ分かるが、まさかティナも緊張していないなんて思わなかった。
俺はこんなにガッチガチなのに。
この世界は治安が悪い
文明は進んでいても命は軽いわけだ、
事件により一般市民が殺されることもあるし、逆に市民が身を守るために犯人を撃つこともある。
きっと人を殺す事はさほど躊躇わないだろう。
でも、その壁を超えるにはきっと沢山の勇気がいる
「マスター、落ち着いてください。
マスターが嫌がることは私が全てします。マスターが苦しむ必要は無いのです。」
ノアがそう言って俺を励ましてくれる。
よく見るとティナも心配そうにこちらを見ていた。
「…大丈夫、そのときは自分でやるから」
俺は二人に向かって言う
下を向いてはいけない
敵は本気で殺しに来る
いくら教官が居ても安全なわけじゃない
これには命がかかっているんだから
〜〜〜
敵のアジトについた
どうやら、教官を先頭に突入
その後ワンチームずつ通路に別れて進むらしい
敵が多いことの予想される通路には教官が多く派遣されるためできる限りの安全策は取っているように思える。
「マスター、もうすぐ始まりますね。」
ノアがそう言ってくる
まだ、俺の心配をしてくれているのだろう
「全力を尽くそう」
俺は二人を安心させるために言う
「「はい」」
二人ははっきりと返事してくれた。
ガンッ!!!
ダダダダダダッ!!!
先頭で大きな衝撃音の後に銃声が聞こえてくる。
戦闘が始まったのだろう
その音が聞こえると同時にあたりに緊張感が漂う
実力のあるものから入ることになっており
この場合俺達が最初に入ることになっている
俺達は走り出し、建物に入った後すぐに左の通路へ向かう
奥に向かって走り続けると、直ぐに敵が出てきた
「さっきの侵入者ってーーー」
敵が言い終わる前にノアが銃弾を撃ち込む
すぐにその後ろの敵も始末して一つの部屋を確保した。
やはり、人を殺すことにショックは受けない
そういう世界だから。必要なことなんだ
「一つ部屋を確保奥へ向かう」
俺は教師陣に報告を入れ、また二人とともに走り出す
またすぐに敵が出てくるが、今度は二人でティナに襲いかかる。
俺は敵の一人を蹴り飛ばし、壁に背中を打ったタイミングで引き金を引く
タンッ!!タンッ!!
もう片方はノアが無力化してくれたようだ
「マスター、」
ティナが俺を心配してか声をかけてくる
「大丈夫、」
そう大丈夫だ
嫌悪感はあれど吐いたりするほどでもない
そこからすぐに一つの部屋につながり
中から10人ほどの敵が銃弾を打ち込んでくる
瞬時にティナが前を守ってくれ、銃弾を防ぐと
リロードの間に俺とノアの二人で前へ出る。
ハンドガンで一人を無力化し、すぐ近くの敵に近づき蹴り飛ばす。
他の一人とぶつかったところを二人とも攻撃した後に
剣を持って近づいてきた一人を撃ち殺す
奥にいる一人がリロードが終わったらしき一人に近づくとすぐに鳩尾に銃を打ち付ける
そいつが怯んだ隙に胸元からもう一つの銃を取り出し撃つ
「マスター、戦闘終了どうやら私達の任務はクリアのようです。」
ノアも戦闘を終え、どうやら俺達の通路の方は終わったらしい。
「お疲れ様でしたマスター」
「二人もお疲れ様」
ノアのねぎらいを受けながら二人も労う
ティナはやはり少しは緊張していたのか、
安堵してへたり込んでしまった。
訓練の成果からか危なげ無くこなせたと思う。
…いや、彼奴等は弱かった気がする、
まるで一般人と戦っているような。
犯罪組織の構成員とは思えない戦闘力だった
何故かそんな感想を抱いて、胸にモヤモヤしたものを抱えながら
俺の実践訓練は幕を閉じた
まさか、この後とんでもないことに巻き込まれるなんて知らずに。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
さて、今回はついに実践
ゼインはついに自らの手で人を殺めました。
相手は犯罪者とはいえ、気分のいいものではなかったでしょう。
しかし、犯罪者のはずなのに弱い敵
この違和感が一体どんな展開を起こすのか。
ぜひ次回も楽しみにしていてください。
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それではまた次回!