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第三話 旅立ち到着する

 もっと早く説明しておくべきだったことだが、今、オレが請け負っている本来の任務は、銀鉱山跡に潜むドラゴンの討伐だ。


 順を追って話そう。


 千年に及んだ終戦ののち、魔王軍の敗残戦力は各地の洞窟や城塞などに落ち延び、人間諸国へ徹底抗戦の構えを取っていた。


 そして奴らは西の果て、瘴気の川、魔の森を超えた先の銀鉱山に、魔王軍の主力であるドラゴンを隠したという。千の軍勢を一息で屠るほどの力を持つドラゴンは、人間と魔王軍の決戦で傷つき、撤退したあと行方が知れなくなっていたのだが、なるほど、こんな僻地まで逃げのび、力を蓄えていたという訳だ。かのドラゴンが力を取り戻せば、またアーベンクルトの国々は炎に包まれてしまうだろう。


 魔王軍の残党がダンジョン化した銀鉱山跡を攻略し、ドラゴンが完全に力を取り戻す前に抹殺する。

 それが直近の冒険者たちの急務であり、それぞれが名誉や報酬がため、各々が勝手に、次々と挑み続けている。

 しかし、残党どもも生き残るために必死だ。やつらは鉱山跡へ続く道に無数のモンスター放ち、砦や罠などを駆使した防衛線を張っているらしい――



「―—と、聞いていたんだけどな」

「全然あっさりだったねえ……」


 オレとバステナは、あっさりと銀鉱山の入口に辿り着いてしまった。

 瘴気の川、魔の森、血の谷を進む最中、ネズミ一匹出逢わなかった。

 余計な手間が掛からないのは大歓迎だが、やはり不可解。


 思い当たるフシはある。様々な冒険者がこの地へ辿り着く過程で、道中の障害をほぼ排除してしまったのかもしれない。だが、討伐に成功したという話は聞いていない。つまりまだ敵はまだこの奥に居る。手ぐすね引いて待っている……。


「ふふ、オレたちの為にご苦労なことだ。わざわざ犠牲になって露払い。お膳立てをしてくれていたとは」オレはニヤリとした。

「……レオドラス。ひどいよ。それが本当だとしたら、沢山死んでるんだよ」


 他の冒険者どもを嘲け笑うオレを、バステアは悲哀と侮蔑を込めて睨んだ。

 おお、非難か?


「甘いな。よく考えろ、手柄はオレ……たちだけのものになるんだぞ?」

「……いこ。中で助けを求めてる仲間がいるかも」

 バステナがぷいと顔を背けた。

 

 ……ち。機嫌が悪いな。小娘の感傷ってのはいつだって厄介だ。

 まあ、今朝からここまで一滴もエリクサーを口にしてないからだろう。

 エリ中め。じきにドラゴンとの戦闘でたらふく吞めるさ。その為にわざわざ材料を集めてやったんだから。


「……ああ、そうだな。人助け第一。うん」

 オレは一応、神妙な表情を取り繕った。


 

 朽ち果てた坑道の奥へ、深くへ。

 しかしやはり、魔物や先行した冒険者の気配は感じられない。

  

「……私たち、また騙されちゃった?」

 バステアが不安そうに言う。確かにこの手の話ではままあることだ。噂に尾ひれがつき、あることないこと膨らんだデマゴーグとなる。タチが悪いのは、そういったデマを巧みに操ってライバルを妨害して利益を独占しようと企む、小賢しい連中がいることだ。


 まあ、オレの前の相棒もそうなんだけど……。

 『彼女』のしてやったり顔がちらついた。


 ……だが、たとえ無駄足だとしても、これだけの規模のダンジョン。何かしらのお宝が眠っている可能性もまだある。オレは胸のむかつきを押さえて、もう少し先に進んでみることにした。


「この鉱山はだいぶ古いな。蟻の巣のように入り組んだ坑道が四方八方に延び、巨大な迷宮にも等しい構造になっている。油断するなよ。いつ何処から敵が襲ってくるか判らない――」


「……う、ううう、うう。敵、敵はまだ……!?」

 やる気じゅうぶんだった。バステアはわなわなと震えながら、目を剥いて周囲を見回している。何か出てきたらすぐいけるやつだ。

 落ち着け。その震えは武者震いか、それともエリクサー不足の禁断症状なのか。

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