ちょっと先の未来の出来事⑤ (挿絵有り)
こんにちは!鈴宮雪です。
今日、私達は学校の遠足で県内の動物園に来てます。
暖かい陽気で風もあまりなくて、本当に今日で良かったと思う。
だって天気予報によると、明日は雨になるみたいだったから。
こんなにいい天気なのに明日は雨って、ほんと分からないよねって思う。
だから本当に今日で良かったなって心底思う。
みんなで学校からバスに乗って移動です。
私はどこの席でもよかったんだけど、一緒の班になった隣の席のあさみちゃんが前がいいなと言ったので、前の席にしたんだ。
でもこれはこれで良かったかもしれない······。
だってバスの前面や横から、バスの外の景色がよく見えるからね。
知らない場所へ行って車から外の景色を見る。
これ、意外と私は好きだったりするんだ。
そしてバスの中でおしゃべりをしたり、時には歌ったりしながら楽しんでると1時間くらいで到着しました。
みんなと和気あいあいとやってたから、あっという間だったよね。
到着した後は班ごとに整列して、クラス単位で移動するの。
私達の学年は2クラスあるから、それぞれ別ルートで見ていってお昼は同じ場所で食べてまた移動みたいな。
動物園ってあまり行ったことがないからすごく新鮮。
遊園地とか水族館とか大っきな公園なんかは行ったりして遊んだりした事はあるんだけどね。
そして、みんなで見ながら歩く。
定番のライオン、キリン、シマウマ、鳥類に猿、その他大小様々な動物達がいて見ているのが楽しいです。
まあ、中には寝ててあまり動かない動物さんもいるんだけど···。
「こちらの動物は◯◯◯◯と言いまして······。」
動物園のスタッフさんがガイドをしてくれてるんです。
各動物の柵?の所に解説が付いてるんだけど、人数が多いのもあって見るのは大変なの。
だから、こうして案内をしてくれるのは凄くありがたいです。
それに······私達もただ聞いてたり、はしゃいだりしてるだけじゃ駄目なんだよね。
先生によると翌日に今回の感想文を書くみたいなので、よく見て観察して話を聞いて書けるようにしなさいと言われたから。
でも、みんなの様子を見てると何人の子達がそれを覚えてるのか怪しくなってくる。
動物とか解説をそっちのけで、友達と話に夢中になってる子がちらほらいるからさ。
「雪ちゃ〜ん!」
「なーにー?」
「一緒に行こう?」
「うん。」
あさみちゃんが来て、手を握って一緒に見て回るの。
一箇所の見学が終わって次の動物の所に向かう度に、同じ班の女の子達からこんな風に言われて、手を握る。
前々からあった、この不思議な手握り。
今ではもう分かっているけれど、分からなかった時は本当に不思議だった。
気になって、以前にママに相談した事があったの。
『ママ? 私ね、友達から手繋ぎをよくされるんだけど、なんなんだろう?』
『そうねぇ······。ママもね、高校生の時によく···いや、毎回誰かしらと手を握ってたり腕を組んで歩いてたよ······。多分雪ちゃんは、ママのこういう部分も似ちゃったんだろうね。』
『······ママって、やっぱりモテモテだったんだ?』
『まぁ······クラスの女の子には···ね。で、雪ちゃんだけど、お友達は雪ちゃんと仲良く一緒にいたくてそういう風に来るんだと思うよ? だから雪ちゃんが嫌じゃなかったら手を繋いだりしてもいいんじゃないのかな? でも雪ちゃんの気持ちも大切だから、無理な時は断るのも大事。『また今度でいいかな?』とかってね。 それと、男の子は絶対に駄目よ? 大きくなるまでは女の子だけにしなさいね? 』
一部、分からない事もあったけど、そんな感じてママに言われた。
つまり私のこれもママに似たって事だったみたいです。
そうだったんだと分かると、途端に嬉しくなるんだよね。
見た目だけじゃなくて、内面の不思議な部分でも大好きなママと同じだったんだ〜って。
それから私は、基本的にはよく手を繋いで歩いたりしてる。
そしてその繋いでる女の子のお友達は、とても嬉しそうな顔をしてるんだよね。
私もその表情を見るのが好きになって、嬉しくなったりもしてる。
だから今日も手を繋ぐ。
笑顔を見るために。
あさみちゃんと手を繋いで見て回る。
「大きいねー!」とか「あれ、可愛いよね。」とか、そんなシンプルな感想だけどそれが一番分かりやすいよね。
一部寝ちゃってて動かない動物もいたりはしたけど、それはそれで可愛かったよ。
色々と見て回って歩いて、意外と高低差のある動物園みたいで疲れる······。
坂道を登ったと思ったら下りも当然あるし。
そういうのの繰り返しで、ちょっとヘトヘト。
今はトイレ休憩を兼ねて休んでるんだけど、ほんと大変。
動物園でこんなに疲れるとは思わなかったなー。
「あれ、乗れるなら乗りたいよね?」
「うん、乗りたい。結構ここの動物園疲れるよね?園内は結構広いみたいだけど、何処まで見るんだろう?」
そう話をしてる目先にあるのは、園内を周ってるらしいバス。
あれで広い園内の特定の場所まで運んでくれるらしいのだけど、私達にも使ってほしいなーと思う。
子供の私達が疲れるんだから、先生ならもっと疲れるでしょ?って思うよ。
そういう切実な願いが通じたのか、ラッキーな事が起きた。
「次は園内のバスに乗って移動するからなー。」
「「「「やったーー!」」」」
みんな大喜び!勿論私も。
何処に向かうのかは分からないけど、とにかく歩かなくて済むのならそれ以上に嬉しいことはないよ!
暫く休憩して、体力を回復させてからやって来たバスに皆で乗り込んで出発です。
坂道を上がったり下ったり······。
うん。歩かなくて、よかったよかった。
次はどこに行くんだろ?楽しみだな♪
ーーーーーーーーーー
みんな大好き、お昼ごはんの時間です。
どこかの芝生の広場でシートを広げて、お弁当を仲良しグループのお友達と一緒に食べるんだ。
私は当然女の子だけのグループだよ。
男の子もだいたいそんな感じ。
でもね、このお昼ご飯は別々に行動してた隣のクラスも同じ所に来て一緒に食べるの。
だから賑やか。遠足という特別感っていうのもあるから。
そして私達は私達のグループだけじゃなくて、隣の組の仲良し女の子達も加わる。
2組しかないからさ、殆どのみんなの事は知ってる仲だから。
包を開けてパカッとお弁当箱を開ける。
このお弁当箱を開ける瞬間って楽しみだよね。
だって、お料理上手なママの手づくりお弁当だから。
今は給食があるからお弁当を食べる機会はうんと減っちゃったけど、たまに食べるお弁当はとても美味しいんだ。
それに見た目も凄く綺麗で、見ただけで美味しそうって思える様に作ってくれるんだよね。
ほんと、自慢のママだよ♪
「わぁ〜〜!雪ちゃんのお弁当美味しそー♪」
「サンドウィッチか〜。いいねー。」
「うん、ママにサンドウィッチがいいなって頼んだんだ。そしたらね、作ってくれたの。」
ママにお弁当何がいい?って聞かれたから、凄く悩んだんだよ。
だってママのは何だって美味しいから。
ご飯を1つ入れるのにしても色々としてくれるから。
簡単にやるのなら、ふりかけとか海苔とか。それだってアレコレと工夫はしてくれる。
炒飯とかそういうのだって、希望を出せば冷凍物じゃなくて1から作ってくれるし。
おかずもお弁当だと何がいいかな?
定番だと唐揚げとかフライ物?ウインナーとか?
ご飯の代わりに、パスタとか焼きそばなんかもいいかもしれないね。
とにかく希望を出せば、嫌な顔1つせずママは作ってくれる。
で、悩んだ末に私はサンドウィッチにしてもらったんだ。
具材とかはママにお任せで。
「「「いただきま~す」」」
手を合わせて、みんなで頂きます。
パクっと一口。······うん、美味しい♪
さすがママだ!
サンドウィッチ1つでも工夫してあって美味しいよ〜♪
説明はうまく出来ないけどね。
ママに料理は教えて貰ってるけどまだまだ知識の足りない私では、何がどうしてこういう美味しい料理に味になるのかの説明が出来ないんだよね。
いつかはきちんと説明が出来て、ママの味が再現出来るようになりたい!
ママの味は私が覚えて繋いでいきたいからね!
そして今度は私が、私の子供に食べさせてあげたいんだ。
美味しいなって食べてると、隣からじぃ~っと見られてる?
「······なーに??」
「雪ちゃんのお弁当、美味しそうだなーって······。」
「そうそう。あのキレイなお母さんのサンドウィッチでしょ?食べてみたいな〜って······。」
「えぇ〜〜〜······。」
何を言い出すの!? そんな事言われても困るよ〜〜。
だって、久しぶりのママのお弁当なのに·····。
だから正直に言って、あげたくはない!
これは私のだから!
「雪ちゃん、私のと少し交換しよ?」
「うーん······でも······。」
悩む私とお願いしてくるお友達。
ママのお弁当は、それだけ人を惹きつけるみたいです。
まぁ、美味しいのを知ってる子もいるからね。
それにママ自体がやっぱり人気者なんだよね。それが1番大きい。
私とそっくりなのもあるけれど、それより他のどの子のお母さんと比べて圧倒的に若くて綺麗で美人だから。
友達のお母さん。若くても30歳くらい?
兄姉がいる子なら40歳くらいの人もいるみたいだし。
そんな中で20代前半のママは飛び切り若いし、容姿も相まって目立つ目立つ。
ママというより姉妹の方が1番しっくりくるんだよね。
寧ろ母親ですって言う方が、驚かれるくらいだし(笑)
そんなママのだからお弁当も頂戴、分けっ子しよ?って言われる。
あー······どうしよう······。
一口。
一口だけで一品と交換ならまだいいかな?
そんな、嬉しいけど悩ましいお昼ご飯になった······。
ーーーーーーーーーー
「ママぁ〜〜〜!」
帰ってからママに抱きついてワンワンと泣き始めた私。
ママは黙って私を抱きしめてくれて、よしよしって私を慰めてくれた。
頭を撫でてくれて、背中を擦ってくれて。
ママの温かさとぬくもりとママ特有の優しい香りに包まれて、だんだんと落ち着いてきた。
(あぁ···。やっぱりママはいい。最高のママ。優しくて暖かくて若くて美人で···。私の自慢のママ。)
「雪ちゃん、どうしたの?遠足で何かあったの?」
「えっと、えっとね······お弁当がね······。」
少しだけ落ち着いてから、今日のお昼にあった事をママに伝えたの。
サンドウィッチを食べたいなって言うから、一口とおかず一品で交換した事。
そしたら『美味し〜♪』って喜んでくれたんだけど、それを見たみんなが『私も交換しよ〜』って来た事。
それをしてたら量は足りたけど、肝心のサンドウィッチが半分以上なくなってしまった事。
私が悪いのは分かってる。
ちゃんと断らなかったのが悪いんだから。
でも···でも!
折角ママが私の為に作ってくれたのを、あまり食べられなくなってしまって悲しかったの!!
いっぱい泣いて、慰めてもらって······。
ママの晩ごはんを食べても一緒にお風呂に入っても、それでも気分はどこか晴れなかった。
そして翌朝。
ママは朝ごはんに、サンドウィッチをまた作ってくれたんだ。
忙しいだろうに、わざわざ手間のかかるサンドウィッチをまた作ってくれるなんて······。
とっても、とっても美味しかった。
ママの愛情が沢山詰まっていたから。
そして、ちょっとだけ塩っぱかった······。
ありがとう、ママ。とっても大好きだよ♡
それと、サンドウィッチ作ってくれてありがとう。
凄く美味しかったです!




