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ある日の春休み①-6 高1(挿絵有り)

栗田さんの所から出来上がった写真を受け取って、帰ってきたその日の夜。

今夜の我が家の晩ごはんはカレーです。


「ままー!かれーらいす食べたいの〜」


雪ちゃんのその一言で、急遽予定を変更してカレーになりました。

基本的にいつもはお父さんや葵の意見を聞いて献立を立てるんだけど、雪ちゃんから出た場合は違います。

その場合は雪ちゃんの希望が最優先。

理由は私にとって雪ちゃんが大切、優先だから。

まぁ他にも理由があって、まず雪ちゃんから希望が出る事が少ないってのがあるの。

多分、料理名をあまり覚えてない、知らないってのがあるんだと思うんたけどさ。

それなんで、雪ちゃんからお願いされると最優先で作っちゃうという訳です。


ルンルン♪気分で作る私。

私のカレーはごく普通のカレーで、肉は豚ひき肉を使います。

これは雪ちゃんが食べやすいようにと配慮して。

あとはジャガと人参、玉ねぎの定番物だけ。

そしてカレールーなんだけど、これは途中で鍋を分けて作ります。

雪ちゃん用にバー◯ンドの甘口、家族は別のルーの中辛を使います。

私は投入するルーの関係で甘口を食べてますけどね。

あとは私なりの隠し調味料を少し足して、サラダでも用意すれば基本的には完成です。


作るには楽なカレー。

だけど作る人や家庭で、味がかなり分かれる奥深い品物。

市販のルーをミックスしたり、又は私見たく隠し味的な物を入れたり。

もっと凝る人は香辛料の組み合わせから作るのかもしれない。

私は料理も好きだけど、カレーについては流石にそこまではしないけどね。


やってみたい気がない訳でもないけど、みんなの好みの問題があるからさ。




  

  ーーーーーーーーーー




そんな晩ごはんも食べ終わり一段落ついた頃。

そろそろいいかな?と思い、自室から例の写真の入った箱を持ってきます。

ちなみに、それぞれの実家の方にはまだ送ってはいない。

一応明日送ろうと予定はしてるけど。


ちょっと······いや、かなりドキドキするね。

どんな反応をするんだろうと。

間違いなく驚く、そして喜んでくれるのは経験上分かってるのにも関わらず······。

こういう胸のドキドキは相変わらず慣れないなーって思うよ。



「ねぇ?お父さん。お母さん······。」


「ん?なんだい?このは。」


「どうしたの?」


私はダイニングテーブルの側に行き、椅子に座ってるお父さんと食器を洗ってるお母さんに声をかけました。

箱は私の背後に隠して見つからない様にして···。

ちなにみ、雪ちゃんと葵は座卓で寛いでテレビを見てる。


挿絵(By みてみん)


「あのね、2人にプレゼントがあるの。これなんだけど、受け取ってくれるかな?」


箱を背後からサッと取り出してお父さんに渡します。

プレゼントとは言ったまのの、包装は何もしてないんだけどね。

そんな箱を受け取ったお父さんは怪訝そうな顔をしてる。

まぁ、そりゃそうだよね。

プレゼントって言われても誕生日でもないし、父や母の日でもない。

つまり、何かの記念日って日じゃないから。



「あれ?今日って何かあったっけ??」


「いや······何もないと思うわよ?」


「だよなぁ···。ま、いいか。で、なんだろな??このはからのプレゼントって······。」


2人で何もない事を確認して、さらに不思議に思いつつ箱を開けるお父さん。

お母さんはキッチンで食器を洗いながら、そんなお父さんをちらちら眺めてる。

お父さんが箱を開けた。

この時点でも中には写真の台紙があるだけだから、まだ分からない。


(あ〜···、ドキドキする······。)


そして、1つ目の台紙を手にとって開く。


「あ······」


一言、「あ」と声を出したまま動きが止まったお父さん。

5秒···10秒···15秒···。

実際に何秒だか分からない時間が過ぎていく。

只、写真を眺めて一言だけ発して固まるお父さんと、それを見つめてる私だけがいた。


「どうしたの??あなた?」


「あ······いや······。」


お母さんに声をかけられてハッとして動き出したお父さん。

そしてまだ残ってる台紙を開いて、再び固まるお父さん。

そんな様子のお父さんを見て、さすがに変だと思ったお母さんが食器洗いを中断してこちらにやってきた。


「一体どうしたってのよ?······泣いてるの?あなた??」


「えぇ!? お父さん泣いてんの!?どうしたのさ??」


お母さんの言葉に葵も気付いたらしいです。

そしてテーブルの上にある台紙をお母さんが開いて、あとは夫婦仲良くフリーズです。





  ーーーーーーーーーー



「私はコレが1番だと思うわ〜〜♪」


「いやいやいや、誰が何と言ってもこれだろ?」


「私はこっちだと思うけどなー?この胸の谷間とお姉ちゃんの表情がとってもいいよ?」


「いや、葵。未婚の娘がこんなに胸元を出したら駄目だろう。悪い男がすぐに寄ってくるぞ?」


「お父さん······。この位、水着とかならフツーだよ?まぁ、お姉ちゃん位大きければ破壊力もまた違うけどさー······。」


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


フリーズから我に戻って始まったのは、いくつかある写真の中からどれが1番か?の議論でした。

お父さんはコレだ!お母さんはコレね!

いや、私はこれだよ!!

そこに葵も加わって、あーだこーだと少し変な会話もありつつ熱い議論を交わしてる。

暫く眺めて見てるけど、決着する感じはなさげです。

みんなの意見が食い違ってるから、これは一生無理だろうなってね······。



雪ちゃんも写真を見て「まま、きれいだねー」って言ってくれた。

けど、「ゆきはこっちのままがいい〜」って、私に抱きついて来てくれたんだよね。


もぅ、雪ちゃんってば〜〜♪なんて可愛いのからしら♡

抱きしめ返して雪ちゃんの頬に私の顔をスリスリ。

思わず力を入れちゃったから、「まま、苦しいよ〜」って言われちゃった。

でも言うほど雪ちゃんも嫌って感じはしなくて、寧ろ嬉しいって感じかな?

ほんと、マジで可愛すぎるよ♪

改めて抱っこし直して、落ち着きます。


さて、向こうの議論は一段落ついたのかな?

見てみるけどまだやってる。でも、先程よりは落ちついたみたいだね。

変わらず平行線みたいだけど、暫くしてお母さんがこんな事を聞いてきたの。



「ねぇ、このは。お母さんはこれが1番だと思うんだけど、どう思う?······じゃなかった。これは一体どうしたのよ?」


「そうだぞ?ウエディングドレスで写真なんて普通は撮らないのに、それが何着もって······説明しなさい。」


お父さんにも言われた。

まぁ、それが普通だよね。

ウエディングドレスなんて、結婚式をしないと着ることはないんだから。

しかも何着もだから、疑問に思うのは当たり前です。

元々どこかのタイミングで説明するつもりではいたから、構わないんだけどね。


「えっとね、事の始まりはちょっと前に学校側からポスター撮影のモデルをお願いされた事なの·····。」


お父さんとお母さんに説明をします。

ポスター撮影を学校側からお願いされた事。

その撮影を担当した栗田さんという女性カメラマンさんと知り合い、洋服のモデルをしないかと誘われて、条件付きで受けることにした事。

で、先日その洋服撮影が急遽ドレスに変更になって、了承して撮影をしてきた事。


「なるほどな。女性のカメラマンならまだ安心出来るか······。まぁでも、このはも成人だし信用してるから父さんとしてはあれこれ言わないよ。但し変なのは撮るなよ?」


「うん、分かってる。ありがとうお父さん。」


理解を示してくれたお父さんに感謝です。

一応反対されてもキチンと説明をして、賛成して貰らうつもりではいたけどね。


「一応モデルはやっても2〜3年かを考えてるよ。それに下着は撮らないって伝えてあるしね。水着は悩んでるけど·····。」


「ブブッ···水着って、おまえ······止めた方がいいんじゃないか?寧ろ父さん的にはやって欲しくないが。」


「あら!?このは。あなた水着は撮るつもりなの?」


お父さんは吹いて、お母さんは何故か食いついてきた。


「いや···そもそも依頼が来るかはどうかは分からないけど······。」


「お姉ちゃんなら、絶対に来るに決まってるじゃない!!おっぱい大きくてスタイルもいいんだから、ドレスを撮らせて水着を依頼しないのはバカだよ!?」


「う、うん······。」


葵がもの凄い勢いで言い切った。

そして、この勢いには私もちょっと引いたよ。


「確かにこのはは、スタイルいいしねぇ〜。胸もあって腰も括れてるし、髪も綺麗だからね。お願いしない方が可笑しいか······。」


「だよねー。寧ろ今までスカウトとか、来なかったのが不思議だよ?」


「父さんは、まぁ······変なポーズで撮らなければいいよ。」


家族みんなが其々で納得してくれたみたいです。

お父さんは渋々で、葵は来て当たり前的なスタンスで、お母さんもややそれに近くて。

どっちにらしろ、家族みんなが納得してくれたのは私とは嬉しいかな。



「それはそうと、お母さん。」


「何?」


「実はね、栗田さんのお店で振り袖とかも扱ってるんだって。それで成人式の前撮りもやってて、当日も含めて振り袖の貸し出しから着付けまでやってくれるんだってさ。お母さんがよければ、栗田さんの所でお願いしようかなって思ってるんだけど、どうかな?」


「そっか······もうそんな歳なのね。雪ちゃんがいるからもうとっくに20歳になってるもんだと、つい勘違いしちゃうわ。」


「あははは······。まぁ普通はそうだよね。」


幼稚園の子供がいる19歳って、そうそういないもんね。

だからお母さんがそう思ってしまうのも納得ってもんだよ。

実際に幼稚園に行って見てても、若い人で20代半ばくらいの感じの人だしね。


「でも、そうねぇ〜·····。このはがそう思うならそこでも良いかしら?多少なりと知ってるカメラマンさんって言うのは大きいだろうし、ここまで綺麗な写真を撮れる方みたいだしね。 とりあえず話とかは聞きに行かないといけないから、行きましょうか? こういうのは早く動かないと埋まっちゃうからね。······最短で週末かしら??このは、向こうさんに予定を聞いてくれるかしら?」


「了解〜。聞いていてみるね。それはそうと、スマホ用にドレスの写真もあるけどいる??」


「「いる!!」」

「欲しい!!」


即答だった(笑)

データー量が大きいから送るのに少し時間がかかるけど、自宅だしのんびりと送りましょう。

栗田さんの方もお母さんの了承を得たから、あとは日時を決めて改めてお話とかしないとね。



何はともあれ、無事写真は渡せて喜んで貰えてよかったです。

雪ちゃんも私に抱っこされて、頭をなでられてご満悦だしね♪





「ねぇ、お姉ちゃん?」


「ん?なーに?葵??」


葵がちょっと神妙そうな顔で聞いてきた。

今さっきまではあんなに嬉しそうだったのに、どうしたんだろう??


「結婚する前に、こんな素敵なウエディングドレス姿なんて撮っちゃって良かったの?いざ本番って時に感動とか薄れない??」


あ〜〜·····、その事か。

あの頃はまだ小さかったのもあって、葵には話した事ないもんね。


「その事ね。葵には話した事ないんだけどさ、私は結婚しないよ。する気もないから、ずっと独身で行くつもりなんだ。だからドレス写真受けたんだよ?」


「そうな「「えっ!??」」だ···。」


「え?」


「······このは···その話、私知らないんだけど??」


「俺も知らないぞ??聞いたことがないんだが······」


「え?えぇ···!?昔話した事なかったっけ??」


「「ない!」」


あれ?おかしいなー······。

昔話した事あったと思ったのに·······。

折角綺麗に話が纏まってたのに私がやらかしちゃったので、また話がややこしくなっちゃった······。


「えっと、私が結婚しないって決めたのはね······。」


そしてお父さん達3人に私が思ってる事を伝えた。

以前にクラスのみんなに話したことのある、私が誰かとのお付き合いや結婚をしないと決めた理由。

それはこの腕の中にいる雪ちゃんを、とても愛してて大切で守りたいから。

そして報道などで時たま流れる可哀想な出来事。

そういうのも絶対にさせないっていう意味合いもある。



「·········そういう訳で、私は結婚とかはする気はないから。」


雪ちゃんの頭を撫でながら、話す私。

当の雪ちゃんは話が難しいのもあってかキョトンとしてるけど、それでいいよ。

私の1番は、全てはこの子だから······。


「そうか·····。」


「そこまで考えて思ってるなら、もう何も言えないわね。」


最後にして、ちょっとしんみりとしちゃったね。

さっきまではあれ程賑やかだったのに。

仕方ない·····。

話を振った葵に少しお願いしてみるかな?


「私はこのドレスで終わりかもしれないけど、本番は葵に期待してね。きっと、葵なら素敵な人を連れて来ると思うからさ。」


「うえぇぇ!!?わたしー!??」


「うん。雪ちゃんは早くたってまだ10年以上先だし、葵が先でしょ?」


「いや···そりゃ〜歳を考えればそうかもしれないけどさー······。」


顔を赤くしながらブツブツと呟いてる葵。


「大丈夫。葵もとっても可愛いくて、私の自慢の妹だから自信を持って♪」


「う、うん······。」


そんな私達のやり取りを、あらあらあらと言った感じで見てるお母さんと、複雑そうなお父さん。

私が結婚しない以上は葵に期待するしかないけど、葵は可愛いから大丈夫だよ。

 


きっと素敵な人を連れて来る。

そんな予感がする私でした。

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