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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の春休み①-3 高1(挿絵有り)

「新井さーん!ありがとう!スタッフの皆様方もありがとうございます!」


私はスタッフの皆様に丁寧に丁寧に、お礼と感謝を伝えます。

そして同時に新井さんにも。

スタッフのみなさんから「良かったね」とか「綺麗だったよ」とか、沢山の言葉を頂いて本当に嬉しかった。



扉が開いたら中は真っ暗で。


「あれ?」


って思ってたら、照明が私と前に居た新井さんに当たったんだよね。

そしてその道中にもうっすらと。

そう。

作ってくれたのは即席のバージンロードみたいな物だったんだ。

撮影スタジオだから、ステンドグラスもシャンデリアもない。

手には小物のブーケを持ってるけど、大きい花束がある訳でもなく。

床も普通の床。

まぁ、撮影ブースはきちんとなってるけど。


ビックリもしたけど、それ以上に嬉しかった。

この様な演出をしてくれた、スタッフのみなさんの心遣いが。



「新井さん。あの僅かな時間で考えてくれたんですか?」


気になってた事を聞いてみます。

これを仕込んだとするなら、新井さんしかいないから。

あの時控室で、電話をするので少し離れた時があったんだよね。

恐らくその時にこの演出をする事をお願いしてたんだと思う。



「そ。このはちゃんの言葉を聞いてね。こういう撮影もそうそう来ることってないからね。だったら今スタジオに入る瞬間でもそれっぽく出来るかな?って、みんなに声をかけてお願いしてみたの。」


「そういうこと。あとは掛け声と照明だけだから簡単だしね。まぁ···音楽とかそういう演出まではさすがに出来ないけど、みんなでやろう!って満場一致。殺風景なスタジオ内ってのが残念だけどね。」


「ううん。そんなこと全然関係ないですよ!皆さんの心遣いがとっても嬉しかったですし、これはこれでとても思い出になりました!······本当にありがとうございました。」


丁寧に頭を下げて、改めてお礼を伝えます。


「このはちゃんがこんなにも喜んで貰えて、こちらとしても嬉しいよ。じゃ、早速撮りましょうか?」


「はい。よろしくお願いします。」



撮影ブースに入り、早速撮影開始です。

先ずは立ち姿で色んな角度、位置から撮るみたいです。

これも前回の制服の撮影の時と同じだね。


「栗田さん······。さっき、笑顔出来てましたか?」


スタジオに入って歩いた時の事を尋ねます。

あの時ビックリはしたけど、前回の時に栗田さんに言われた笑顔の出し方、あれを実践したんだよね。


『好きな人や物を思い浮かべる。』


私は当然、愛娘の雪ちゃんなんだけど。


「うん、大丈夫だったよ!凄くいい笑顔だったし、その笑顔を出してくれれば今回も大丈夫、バッチリだからね!」

 

「はい!」


良かった。笑顔が問題なく出来てて。

その後も雪ちゃんの事を考えながら笑顔を作って行きます。

私の元気の源、毎日を笑顔で楽しく過ごせているのは全部雪ちゃんのおかげだからね。


雪ちゃんの寝顔、嬉しそうな顔、不思議そうに見つめてくる顔。

『まま』と呼んでくれる声。

色んな表情や声、仕草その全てがとても可愛くて愛おしくて······。

私の大切な娘にして、私の全てといってもいい存在。



カシャカシャカシャカシャ···。


「このはちゃん!いいよ〜♪その笑顔さいこー!今度は照れ顔してみようか?」


テンション爆上がりな栗田さん。

この栗田さんもまた久しぶりだなーと思いつつも、要求に応えていく。

そして、色んな表情をお願いされる。

とはいっても殆んどは笑顔だけどね。


挿絵(By みてみん)


「じゃあ、このはちゃん。今度はそこにしゃがんで上を見つめてくれる?」


「こう、ですか?」


「そうそう。いい感じ♪」


カシャカシャカシャ······


静かなスタジオ内に、栗田さんの声とシャッターを切る音が響きます。

時通り照明さんにも指示をとばしたりして、ライトの位置を調整する。


私も立ち姿で。しゃがんだり椅子に腰掛けたり。

色んなポーズ、角度や向き、表情。時には小物を持ち替えてみたりして沢山撮影した。



挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


「ふぅ······。」


栗田さんの一息つく声がした。 

この感じだと、一旦落ち着いたみたいです。


「いや〜〜、いいのが撮れる撮れる。このはちゃん良かったよーい。」


「ありがとうございます。」


栗田さんが満足出来てるみたいでよかったです。


「このはちゃんのウエディングドレス姿。本当に神秘的で綺麗よね。」


「本当ですねー。まるで女神様みたい······。」


「そんな、女神様だなんて······言い過ぎですよ〜。」


「そんな事ないって。その銀髪に赤い目······。世界でこのはちゃん唯一人でしょ。女神様だって言われても不思議はないって。」


子供はいるって教えても容姿は知らない田中さんがそう言ってくれてる。

褒めてくれるのは嬉しいけど、そこまで言われちゃうと逆に悪いなとも感じちゃう。


「このはちゃん。次の衣装に行ってみようか?」


「はい、分かりました。」


新井さんと田中さんに連れられて、控え室に戻る私。

あと数着は着るみたいです。

それは衣装の数からして分かってはいたんだけど、どんな感じのドレスなんだろう?

白系のドレスが殆どなんだけど、パッと見ただけだと同じ様に見え全然わからないんだよね。



そんな風に思いつつ、新井さん達に手伝ってもらいながらドレスを脱ぐ。


「じゃ、次はこれね。これもまた似合うと思うわよ〜♪」


嬉しそうに言いつつ、次のドレスを持ってきた新井さん。

うん。

見た目は白色で、やはり同じ様に見えるね。

先程と同じ様にまた着せてもらって······。


「あ······。これはこういうタイプだったんですね。」


「そうそう。まぁ、最初のとそんなにデザインは変わらないけど、これの特徴はやっぱり肩周りと胸、そして背中よね。」


2着目と持ってきたドレスは一見すると、1着目とそんなには変わらなかった。

全体が白基調というのもそうだし、スカート部分もふわっとしたデザインの一般的にイメージするウエディングドレスだったから。

ただ違ったのは、前のは肩紐があったのに対してこれは肩紐がない事。

そしてその肩周りから背中にかけて生地がなく、より背中を見せるデザインになってたんだよね。

そして胸元も······。


「これはね、ビスチェってタイプよ。まぁ、これも一般的なタイプだけどね。······にしても、やっぱりこれも似合うわねー♪」


「ホントですね!このはちゃん、胸も大きいからドレスも映えるし、背中も綺麗だし······。ねぇ、このはちゃん?」


「なんでしょう?」


「このはちゃんは何がエステとか通ってる?」


「エステ···ですか?いや、行ってないですよ。そもそも高校生ですし、そんな時間もないですから······。どうかしました??」


着せられてる中で判明した2着目のドレスの事。

このデザインのドレスがあるから、あのブラが必要だったんだなって納得もしたよね。

そして田中さんから尋ねられたエステ。

もちろん行ってないよ。

学校の事もあるし、その前は子育てや暇を見ては自分の勉強だとかをずっとやってたからね。

よくて美容院くらいだけど、それだって行く時間が勿体なくて髪の毛を伸ばしたんだし······。



「いやね······。このドレスだと肌がさっきより露出されるじゃない?背中とか。で、このはちゃんは産毛的な物は見当たらないし、毛穴っていうのも目立たなくて綺麗だから、何がエステでも通ってるのかな?なんて思ったの。」


「あー···確かにそれは私も感じてたわ。綺麗キレイとは言うけど、改めてこうじっくりと見ると良く分かるわよね。······でも、エステ行ってなくてコレか······。羨ましいわ······。」


「ですねー······。」


なんだか2人で「はぁ···」なんて、ため息をついて凹んでる。

他の人の肌事情なんて私には分からないけど、2人だってまだまだ若いんだからそんなに凹まなくてもいいと思うんだけどなー。


「私のこれは体質なんですよ。」


「体質?」


「はい。私、簡単に言うとアルビノっていう症状で産まれて、メラニン色素を作るのがないんです。黒色が作れないのでこの髪も目もその影響ですね。」


「そうなんだ······。」


「なので先ず毛自体が肌と馴染んで目立ちにくいのと、体質のせいなのかムダ毛自体が少ないんです。なのでそういう風に見えるのかな?とは思ってますね。」



2人に話した私の体質のこと。

まぁ別に隠してる事でもないし、私としてもこの事はかなり助かってるから寧ろありがたかったりしてるんだけどね。


「いいわね、それ。」


「本当ですね!ムダ毛が少ないなんて、夏場なんてサイコーじゃないっすか!」



そんな感じで、終始和やかに進む着替え。

話しながらでも手は止まる事なく動いてるんだから、さすがプロだよねって感心してしまうよね。





再びスタジオに向かう私達。

一度行ったり来たりしたから、歩くのはもう慣れた。


「次の衣装はスレンダータイプのよ。」


「スレンダー······。あぁ、スラっとしたタイプのですね?」


これは知ってる。

今着てるスカートがフワッとしてるのとは違って、シュッとしてるドレスだよね。


「そうそう。これも人気はあるのだけど、これは人を選ぶのよね。名前の通りのデザインだから細身から普通体型の人向けって感じかしら?背中も見せるデザインが多いし、私にはムリだわー···。」


「そんな事ないんじゃないですか?別に太ってる様には見えませんし、十分に着れると思いますけど?」


新井さんは何故か着れないとかって言ってるけど、私としては十分にありだと思うんだけどなー?

何があれなんだろ??


「ありがと、このはちゃん。ま、私にも色々とあるのよ······。でも、このはちゃんなら申し分ないから大丈夫よ!スタイルも良し、身長もある。これはこれで楽しみね♪」




和やかに、楽しく。私の撮影は進んでいく。

撮影しながら喜ぶ人、着替えの度に目の保養にしてる人。

いい撮影を見れたなと感動してる人。

色んな想いを抱きながら······。



「このはちゃん、入りまーーす!」


「宜しくお願いします!」


挿絵(By みてみん)

イラストの都合上背景がありますが、のちのち編集·加工等の出来る環境下で撮影してると思って頂けると助かります。

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