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☆Merry Christmas☆

「おっは〜!」


「「「おはよー!!」」」

「おは〜♪」



寒い寒い朝の登校を乗り越えて、ようやくたどり着いた我が学校の教室。

扉を開けて挨拶をすれば、暖かいみんなの挨拶が出迎えてくれる。

時間的にはまだ8時という早い時間ではあるけれど、登校で使うバスの関係でこの時間になってしまうので、そこは仕方無いと諦めている。


それでも悪い事ばかりではなく、バスの中は当然ながら空調が効いてるから夏はまあまあ涼しいし、冬は暖かいから時間の割にはかなり助かってはいるんだよね。

それに校内の駐車場で停まってくれるから、そんなに歩かなくてもいいというメリットもあるからさ。



他愛もない事をみんなと話しながら、先生が来るまで楽しく過ごします。

高橋先生が来るまでは後40分程で。

そしてみんなの大好きなこのはちゃんが来るまでは20分ちょっと。

毎回思うけど、この時間が何気に長く感じんるだよね·····。

そんな時だった。



ガラガラガラ······。


「おはよ〜♪」


扉が開いて入ってきたのは、うちらのクラスで1番小さい茜ちゃんだった。

この子はとっても可愛くて、私達女子から妹的な扱いで可愛がられてる。そしてこのはちゃんLOVE♡な子なんだよね。 


でも····あれ??

今日はいつもより早くない?ってゆーか、このはちゃんはどうしたの??

雨は降ってないから、一緒に登校してる筈なのに······??



「おはよう、茜。このはちゃんはどうしたの?ってか、登校凄く早くない??」


「そうそうそう!すっごい早いよね!いつもの時間より、まだ20分も早いよ?」


茜ちゃんと仲の良い美紅ちゃんが、私が思った事をズバリ聞いてくれた。

そしてそれは皆も同じだったみたいで、口々に茜ちゃんに尋ねてる。

時間が早い理由は?とか、このはちゃんはどこへ?とか。

そしてそれに対して返ってきた茜ちゃんの答え。


「理由は私も知らないんだよ。明日早く学校に行きたいから、大丈夫なら早く来れる?って聞かれただけだからさ。それにこのはちゃんとは『ちょっと寄る所があるから、私こっちに行くね?』って、昇降口で分かれたきりなんだよね······。」


「このはちゃんが寄る所······職員室かな?」


「かもね。このはちゃんなら、十分にありえる話だよ。」 

 


茜ちゃんの話を元に、皆でこのはちゃんの寄る所っていうのを推理する。

そして、そんなに多くない選択肢の中で導き出されたのは職員室だった。

何故職員室かというと、それはこのはちゃんの性格や授業態度といったのものがあるの。

優しいくて面倒見が良く、頭脳明晰で授業態度も素晴らしくて。

皆を纏めるカリスマ性もありで、私達は勿論だけど先生達からも信頼、信用されてるんだよね。


だからか、クラス委員という役をやってる以上に先生から何かをお願いされる事も度々あるんだよ。

それを私達は知ってるから、朝一というのも含めて職員室に当たりをつけたんだ。



「このはちゃんも大変だよね〜。朝からなんてさ。」


「うん···ホントだよね。同情しちゃうよ······。」 


そんな風に話してる私達。

全くホントだよね!朝一で頼むなんてさ!

心の中で先生に文句を言う私。だって実際に面と向って言うなんて事は出来ないもの···。

ヘタレでごめんなさい···。


そんな時だった。

教室の扉が開いたのは。



ガラガラガラ···。


「おっはよー!みんな!!」


「あ!このはちゃん!!」


「「「「おはよ〜!このはちゃ····ん······???」」」」


教室の入口から元気なこのはちゃんの声が聞こえて、真っ先に反応したのはやはりというか、茜ちゃんで。

そして続いて私達が揃って挨拶を返したんだけど、その声は途中で止まってしまった。


「·········」

「·········」

「·········」


沈黙が教室を支配する。

誰1人として声を発する者もおらず、あの茜ちゃんですら固まってるよ······。


そんな中で私は思い切って、声を出してこのはちゃんに問いただす事にした······。



「ねぇ?このはちゃん···。それは何?」


「何って······コレ?」


「そうだよ!それ以外に何があるのさ!」


私の問にこのはちゃんは、着てる服をツンツンと引っ張りながら「コレ?」なんて言ってる始末だし。 


「何って見ての通り、サンタクロースだよ♪ メリークリスマス☆ってね!」


挿絵(By みてみん)


「「「「「キャ~〜〜!!!」」」」」


「「「「うおぉぉぉぉ〜!!」」」」


途端に大歓声があがる。それも男女問わずに。



「このはちゃんがサンタクロースになってるー!」

「ヤバい!ちょー可愛いんですけど!?」

「似合い過ぎだろ!?鈴宮さんっ!!」

「何、その、コスプレ?!今日何かあったっけ??」


皆が寄ってたかって、このはちゃんに詰め寄ってる···。

そりゃあ、そうだ。

あの真面目でしっかりしたこのはちゃんが、学校でこんな格好をするなんて前代未聞の出来事だよ!!


「ちょ···ちょっと、このはちゃん!! 学校で何て格好をしてるのよ!!先生に怒られちゃうよ!?」


「大丈夫だよ、彩ちゃん。それに今日はクリスマスでしょ?」


「大丈夫って······このはちゃん、それはちょっと無理なくない??」



いくらこのはちゃんだからって、それは無理ってもんだよ。

私は何とかしてこのはちゃんを制服姿に戻したいのに、このはちゃんは大丈夫の一点張り。


それにクリスマス。

まぁそ確かにそうではあるから分かるには分かるけど、クリスマスである以前に今日は2学期の終了式なんだよね。

曜日の関係で少し遅めの終了式なんだけど。

そんなのもあって、朝から皆がウキウキしてたんだけどさ。


「それでね、クリスマスだからみんなに私からプレゼントがあるの。」


「「「えぇーーー!?」」」

「プレゼント?!」

「何々!?何をくれるの?このはちゃん!」



このはちゃんのプレゼント発言で、またまた盛り上がり面々です。

ま、私も心無しかかなりテンションがあがってはいるんだけどね。

だけどおかしい·····。

プレゼントがあると言ったわりには、それらしき物は持ってないんだよね、このはちゃんは。

スポーツバックは持ってるけど、制服が入ってるくらいの膨らみだから到底プレゼントがあるようには見えないしさ。

それとも、どこかに置いてあるとか??



「じゃ、早速だけどあげるね。最初は茜ちゃんからだよ。おいで?」


「私?」


「うん。」


早速このはちゃんが、プレゼントをあげるらしいです。

そして最初は茜ちゃんらしいのだけど、でも、やっぱりプレゼントらしき物は持ってないよね。

う〜〜ん···と悩む私。


呼ばれた茜ちゃんは戸惑いつつもこのはちゃんの側に行って、ぎゅっとハグをされた。

あれ?普通じゃん。

いつもの光景でいつもの変わらないハグ。

私も偶にやってもらう事のある、あの幸せな気分にさせてくれるハグだった。

そんな光景を見て、私も皆も『あれ?』ってなってるよね。

だって、普段と変わらないから。

そう思ってたけど、そこからが違った。


茜ちゃんをハグしてるこのはちゃんが、茜ちゃんの耳元で何かを呟いてる。


ボンッ!!


その瞬間、そんな効果音が聞こえるくらいに茜ちゃんの顔が赤くなった。

そう···赤くなったんだよ。文字通りに。

あの子がこのはちゃん絡みで照れたりするのは以前からあった。

だけど、あそこまで明らかに赤くなるのは初めての事だよ。

一体何を呟いたんだ······このはちゃんは??


そしてそれは、それだけでは終わらなかった。

何かを呟き終わったこのはちゃんは、茜ちゃんを少し離したと思ったら徐ろに顎に手を当ててクイッと顔を上へと向けさせて·······。


「ま···まさか······。」 

「え?!マジ?? マジでするの!?」

「おでこ···。そうよ!きっとおでこよ!!」


皆も気付いてしまった···。

次に何をしようとしているのかを······。



チュ♡



「「「「············」」」

「「「「「············」」」」」


した。したよ!

それも頬やおでこなんて可愛い所じゃなくて、唇にチューだよ!!


「「「「「キャーーーーーーー!!!!!!」」」」」

「「「スッゲーー!!」」」

「なになになに!!?何をやってるのー?! このはちゃん!!!」



サンタ衣装以上に盛り上がる、私達。

そりゃ、そうだよ!!

だってチューだよ! キスだよ!! Kiss!!!

恋人とするあのキスを、同性の女の子と、それも唇だよ!!

私だってまだしたこともないのに、そんなのを見せられて興奮するなってのは無理ってもんだよ!

それは皆も同じでさっきからキャーキャーと盛り上がってるし!



「茜ちゃん。これが私からのクリスマスプレゼントだよ。私の···私のファーストキスだからね。」


コクコクコク···。



ゴクリ。



このはちゃんのファーストキス······。

そんな素晴らしい物を貰った茜ちゃんは腰が抜けたのか、その場にへたり込んでしまった。

まぁ、無理はないよね·····。

何を言われたのかは分からないけど、皆の前であんなキスをされたらそうもなるよ······。


「ちょっと、ちょっと!このはちゃん!! 衣装はともかくとして、なんでキスなんてしてるのよ!?」


「え?」


「『え?』じゃないよ!キスって大事な物でしょ?! それもよりによって茜の唇なんて······羨ましい······。」


美紅ちゃんがこのはちゃんに言い寄ってるけど、最後は本音が漏れてた···。

まぁ、私もぶっちゃけして欲しいなーって思いはメッチャあるんだけどさ。

というか、衣装はいいんだ?

いや、もはやこの場に置いて衣装の事は二の次か······。

それほどにキスのインパクトは大きすぎる。



「もう···美紅ちゃんったら嫉妬しちゃって······。可愛いな。」


「あっ······。」


まくし立てる美紅ちゃんにそんな事をいいがら近づいて行くこのはちゃん。

そして茜ちゃん同様にハグをして抱きしめた。

最初は抵抗してたけど次第に大人しくなる美紅ちゃんで、その美紅ちゃんの反応を見ながらまた耳元で何かを呟くこのはちゃん。



ボンッ!!


チュ♡



「「「「キャーーーー♡♡」」」」

「「「「うぉぉーーーー!!」」」」

「また行ったぞー!すげぇー!!?」


何かを呟いたと思ったら美紅ちゃんの顔が見る見る赤くなって、そこから今度は頬にキスをしたこのはちゃん······。

そして、またまた盛り上がるわがクラスの面々。


「はい。美紅ちゃんにもクリスマスプレゼントだよ♪」


「·········。」


ヘナヘナと座り込んでしまった美紅ちゃん。

こちらもまた、腰が抜けたのかな?

まぁ、無理もないかと思う。

あんな綺麗で美しいこのはちゃんにキスなんてされれば、同性といえどそうなるよね。



「ちょっと、このはちゃん!茜ちゃんといい美紅ちゃんといい、本当に何をやってるのよ!!」


今度はしっかり者の志保ちゃんが、言ってる。

でもこのパターンは美紅ちゃんの二の舞いになるよ?とは、何となく感じてはいても言えない······。


「だから···クリスマスプレゼントって言ってるじゃない?ちゃんと女の子全員にもしてあげるからね?」


「「「「「「!!!???」」」」」」


「え!?」

「「マジ?!」」

「うっそーー!? キスしてくれるの!!?」

「「「やった~〜!!」」」



·········。

嘘でしょ?

あれを私達女子全員にするわけ?

何を考えてるのさ、このはちゃんは!?

そう、思ってしまうのも仕方ないよね。だって普通じゃあり得ない光景だもん!



「鈴宮さん!俺達にもその···してくれるのかな?」


「はぁ?!」

「何言ってんのよ!男子!いくらなんでも、それは出来る訳ないでしょ?!」

「そうよそうよ!見てるだけで我慢しなさいよね!」


ボロクソに言われてる男子諸君。

まぁ、男子達の気持ちも分かるけど、さすがにこれは無理っしょ。

いくら今のこのはちゃんが変だとしてもさ······。


「ごめんね、みんな。さすがに男の子には出来ないからさ、後で何か埋め合わせはするよ。それで我慢してね?」


相変わらず優しいなぁ〜このはちゃんは···と思う。

いつもと違った変なこのはちゃんではあるけれど、それでも男子達にも気を使ってあげてるから。






そしてその後······。

クラスの女子を代わる代わるにハグをして、何かを呟いてはキスをしていったんだよね······。

そのキスも茜ちゃん以降は唇にすることはなくて、頬やおでこといった所なんだけど、そんな事は私達には大した問題ではなくて。

キスされた皆が骨抜きにされたよ······。


床に尻餅をついて座り込む者、何とか席に戻ったもののそこで力尽きた者。

男子は男子でさっきから無言たけど、中には股間を押さえてるバカもいる······。

なんなんだ??この光景は······。


今日は終了式だよ!?

もう先生だって来てもいい頃合いなのにまだ来ないし、気になって教室にある時計を確認してみれば······。



「はぁ!?ナニコレ?時計が止まってる???」


思わすわ時計を2度見してしまった。

それでも結果は変わらず同じ時間を指していた時計。

おかしいな?と思いつつも、電池切れとかだよね?と納得することにしたんだけど、念の為にとスマホを取り出して時間を確認してみた。


「え?!」


またまた驚き!時計機能が止まってる?!

うっそ!? なんでなんで??

バッテリーはまだある。操作もアプリも起動する。

壊れてない筈なのに何故だかスマホの時計機能は教室の時計とほぼ同じ時刻で止まってるんだよ······。


私は怖くなった···。

そしてとうとう、残った女子は私一人のみ。



「さあ、彩ちゃん。残りは彩ちゃん一人だよ?」


サンタクロースの衣装を着て、美しくも妖艶な雰囲気を醸し出しているこのはちゃんが、私にじりじりと迫ってくる。

私は後退しようとしたけれど、机と崩れ落ちた友人たちに阻まれ逃げ道はなかった。


『大魔王からは逃げられない!!』


正しくそんな感じ。



「さぁ、彩ちゃん。おいで?」


このはちゃんが腕を伸ばして来て、私の手を取った。

そして抱き寄せられる。


ギュッ。


『おいで。』なんて言われたけど、結果的にはこのはちゃんに引っ張られた形でハグをされた。


·········


大きくて柔らかい胸の感触と温かいぬくもり。

ほのかに香る、優しくて甘いいい香り。

あぁ······。いつものこのはちゃんのハグだ。

さっきまで恐怖を感じてたのに、ハグされた途端に幸せな気分になってきたよ。

これがこのはちゃんのハグの凄さ。

理由は説明つかないんだけど、とにかく幸せな気分にさせれてくれるんだよね。



ゾクゾクゾクッ!!



鳥肌が立った!!それも一瞬で!

このはちゃんが私の耳に顔を口を近づけてる!

耳から伝わる呼吸音に吐息。

体中に鳥肌が立ったのが一瞬にして分かった。


何だ?何を言われるの?!


私を除く女子全員の顔を真っ赤にさせた、秘密の呟き···。

私は身構える。

とはいっても、この状態で出来ることは何一つないんだけどね。


「彩ちゃん···大好きだよ。愛してる♡」


···

······

·········


あぁ······。

ダメだ···これは······。

『愛してる···愛してる···愛してる···』

このはちゃんの愛の言葉が私の脳内をリピートしてる。

そして顔が熱くなってるのを、嫌という程に実感してる。


顎に手を添えられた。

顎を少し上に上げられて、そこにはこのはちゃんの顔が······。


白い肌は気分が昂揚してるのか、ほのかに赤みを指してて。

表情もうっとりしてるとでもいうのか、とにかく色っぽくて、艶かしい。

そして、その瞳。

このはちゃんを象徴する、その1つである赤い目。

普段は遠目で見てて綺麗だなって思ってた瞳は、こんなに間近で見たら更に綺麗で宝石以上の輝きを放っていた。

そして、その瞳に魅入られて吸い込まれていく······。


「このはちゃん······。」


自然とこのはちゃんの名前を呼ぶ。


「彩ちゃん···。最後だから選ばせてあげる。おでこがいい?ほっぺがいい?? それとも···く·ち·び·る??」


「うっ······。」


ペロッと舌を出して、自身の唇を舐めるこのはちゃん。

その仕草、表情は物語に出てく吸血鬼そのものみたいで、「ああ···私食べられちゃうんだな······」と思わせた。

でも、もう私の心は決まっている。


いいよ。このはちゃんなら······。

私もこのはちゃんの事が大好きだもん!

私のファーストキスが、こんなにも美しいこのはちゃんにあげられるのなら、私は本望だよ。

だから、あげる。

奪って!!


ドキドキ···


「くちが···唇がいい···です······。」


決まってる決心とは裏腹に、出てくる声は微かで······。

でも、伝えてしまった。


「分かったわ。目をつぶって?彩ちゃん。」


ドキドキ···ドキドキ···


顎に手を添えられたままの私は微かに頷く。

そして近づいてくるこのはちゃんの顔。

元々近かったのに更に近づいてきて、更によく分かる。

美しく吸い込まれるような赤い目。

上気して魅力的だったこのはちゃんの顔が表示が更に色気を増してきて、もうヤバいよ、色々と······。


自然と目が閉じた。

いよいよ、私の初めてが······。

私のファーストキスを、このはちゃんが貰ってくれる······。


·

·

·

·

·

·

·

·

·


(あれ?キスが来ない??)


ドキドキを通り越してドッキン、ドッキンと大きく鼓動する心臓の音とは裏腹に、いくら待ってもキスが来ない······。

気になってそっと目を明けてみる。



知らない天井だ――。

なんてありふれた言葉でなく、よく見知った天井に明るく輝くシーリングライトがそこにはあった。


(このはちゃんはどこに???)


キョロキョロといくら周りを見渡してもそこにこのはちゃんの姿はなく、ただ見えるのは私が契約しているアパートの部屋のリビングの光景だった······。



「なんだ···夢か······。」


ついボソッと呟いてしまった、その言葉。

どうやら私は、リビングでいつの間にか寝落ちをしてたらしい。

そして昔の夢を見たみたいで······。


「やけにリアルな夢だったなぁ···。出てきた教室もクラスメイト達も、そしてこのはちゃんも···って、何でアソコで目が覚めるのよ〜〜〜!!!!あとちょっと···あとちょいで夢とはいえ、このはちゃんとキスが出来たのに!!!」



あぁ〜〜!なんて、声にならない声をあげて悔しがった!

だって、このはちゃんとキスなんてした事はないもん!当たり前だけどさ!

当然、このはちゃんがサンタクロース姿で学校に来るって事もあるわけないしね。


だから、あまりにもリアル過ぎて悔しかった。

あとちょっとだったのにと······。



高校を卒業して数年経った今でも、このはちゃんを含めた皆とは頻繁に連絡を取っているんだ。

そして最低でも年に1回は男子を含めた皆と会って食事会をしてる。

同窓会とでも言えば分かりやすいかな?


このはちゃんと志保ちゃんが幹事になって、毎年セッティングしてくれるんだよね。

だから出席率はほぼ100%。

冠婚葬祭とかで来れない用事を除けば、仕事を休んでも皆は出席する。

そんな同窓会。

つい2ヶ月程前にも同窓会を開いたばかりだから、皆の姿を鮮明に思い出せるのも分かるんだけどさ。



·········?


不意に身体に、下半身に違和感を覚えた。

そっと手を入れて確認をする私。


(ヤダ······濡れてる·········。)


ハァ〜〜······と、盛大なため息が静かな部屋の中に響く。

手を入れて確認したそこは、しっとりとヌルっとしてて······。


「何、夢で興奮してるんだろ···バカみたい······。 溜まってるなかな??」


そう呟いても答えなんて分かる筈もなく、虚しくなるばかり。


「お風呂にいかなくちゃな······。」


のろのろと立ち上がって、お風呂場に向かうことにした。

シャワーだけで済まそうかな?とも考えたけど、この時期にシャワーだけでは絶対に風邪をひく。

だからお湯に浸かって、しっかりと温まらないといけないよね。

栓をしてスイッチを押して。

自動お湯はりだから、後は待つだけでお湯が溜まるから楽チンではある。



戻って来て着て、飲み物を用意して一息つく。

そして考えたのはさっきの夢のこと。


『彩ちゃん、大好きだよ。愛してる♡』


ブルッ···


色っぽい表情と声で耳元に囁かれたそれを思い出しただけで、身体が震えたのが分かる。


「ヤバい···これ、とてつもなくヤバいやつだ······。」


夢でコレだったのに、起きてる時にこれを思い出したら止まらなくなる自信があるよ······。

何がとは言わないけれど···。

そのくらい夢の出来事とはいえ、このはちゃんの魅力は凄かった。


「勿体ないけど、これは封印しなくちゃ······。」


泣く泣く貴重な夢を封印決定した私。

今でも大好きなこのはちゃんを、そういう事に使いたくはないからね。



お風呂が沸くまでの間、スマホを出して弄りだす。

時は奇しくも夢と同じ、12月25日クリスマス。

でも今年は平日だから友達と会ったりすることなく、お一人様のクリスマスで·······。



「皆、何して過ごしてるのかな〜??」



そんな独り言を呟きながら、私の今年のクリスマスは過ぎて行くのでした。




挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)



☆Merry Christmas☆




☆ Merry Christmas ☆




と言う事で、急遽クリスマスっぽいお話を書いてみました。


長文にはなってしまいましたが、楽しんで貰えたら大変嬉しく思います。





今年もあと1週間となりましだが、読者の皆様、お体に気をつけてよいお年をお迎えください。


引き続き『ママは女子高生♪』を、宜しくお願いします。

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