ある日の幼稚園② 高1(挿絵有り)
「お母さん、準備出来た〜?」
私は廊下から部屋の中で最後の確認をしてるお母さんへ、呼びかけました。
「いいわよ〜。」
中からOKの声がした。
時間的にも余裕はあるから、こらなら問題ないね。
そう思いながらお母さんに伝えます。
「はーい。じゃ、行こっか。」
お母さんと一緒に玄関を出て車庫へと向かいます。
ピピッと車のロックを外して乗り込んで。
さあ。ここで問題です。
お母さんと私。運転はどちらでしょうか?
正解は······お母さんが助手席で私の運転席。私の運転で出発です。
この組み合わせも実はあまり無いんだよね。
私1人はあるけれど、あとはほぼ雪ちゃんと一緒の組み合わせだから。
それで私と雪ちゃんとお母さんの組み合わせとかだと、私は雪ちゃんと一緒に後ろに乗るからね。
だから私とお母さんという組み合わせも珍しいし、そのうえで私が運転というのもまた珍しいの。
運転すること数分。
隣に座ってるお母さんにと雑談をしながら運転をしてたけど、話がひと区切りついた所でこんな事をお母さんが言ってきた。
「このはも運転上手になったわね。こらなら安心だわ。」
だそうです。
「お母さん······。免許取って1年は経ってるんだよ?もう数ヶ月後で2年だしさ〜。さすがにいつまでも下手って事はないでしょ?」
「それもそうね。いや〜······このはの運転で車に乗るって事がほほぼ無いからついね······。」
アハハハって笑いながら誤魔化すお母さん。
全くも〜って思っちゃうよ。
免許を取得してもう数ヶ月で2年になるよ。
平日だって少しではあるけどお迎えで運転するし、休日もショッピングに行ったり葵のお願いで送迎をしたりすることもあるからね。
だから上手にもなるよって思う。
寧ろいつまでも下手だったら逆に危ないよねって感じちゃうよ。
まぁでも、お母さんの言わんとしてる事も分からなくはない。
私がお母さんを隣に乗せて運転することがほぼ無いせいで、お母さんの中では初心者マークの私のイメージが強いのかもしれない。
さて。
車で目指す目的地は何処かというと、家から車で約10分位の雪ちゃんの通う幼稚園。
今日は幼稚園でお遊戯会があるんだ。
朝に雪ちゃんを送ってから一度家に戻って、お母さんを連れて再度幼稚園へ向かってるの。今のココね。
何でこんな二度手間な事をしてるかというと、時間の関係があるんだ。
登園は8時半からOKなんだけど、お遊戯会の保護者集合は10時からってなってる為に一度戻ったんだ。
それでなんで、今度はお母さんを連れて来たという訳です。
それと観戦人数も保護者は2名までOKなので、私はお母さんを連れて参加です。
他の保護者の方は夫婦で来てる人もいるけれど、大半は母親だけという方が多いかな。
平日というのもあるからさ、仕事が休づらいとかそういうのがあるのかな?とは思う。
車を停めて玄関から入って職員室の受付へ向かいます。
そこで先生に「講堂でお待ち下さい」と言われたので、講堂へ行くことに。
このやり取りも去年と同じなので特に戸惑うことなくすんなりと。
講堂へ着くとプログラムが貼ってあって、雪ちゃんたち年中組は2番目と5番目みたいです。
内容は劇系と歌ものだね。
去年もそうだったけど、この幼稚園のお遊戯会は歌と劇もの(劇といっても被り物つけたり着たりして軽いセリフだけ)なんだ。
それも年少、年中、年長さんでやることが決まってるから、来年はあれをやるんだなって分かるんだよね。
それでも上の年齢の子の内容はやっぱり進歩してるから、来年はあれ出来るのかなー?なんて不安に思ったりもするんだけど。
「懐かしいわね······。」
プログラムを眺めてたお母さんがポツリと呟いた。
「なにが?」
「この演劇物よ?この年少から年長組の演劇物はこのはや葵もやったもの。去年も見て思ったけど、衣装はさすがに新しくなってたりしたけどさ、劇の内容そのものは変わらないわね〜······。」
「そうなんだ?あんまり記憶にないなー。」
「まぁ、小さかったし覚えてなくても仕方ないんじゃない?でもまさか、葵が卒園して10年で今度は孫のを見に来るとは思わなかったけどね。」
人生ってホント何が起こるか分らないわねーって、呟いてるお母さん。
それを言うなら私の方がもっと分からないよーって思うよ。
恋愛どころか行為すらもしてないのに、妊娠ってなんだよ!?ってね。
結果的には幸せだから、構わないんだけどさ。
続々と保護者の方が集まって来て、そろそろ始まる時間みたいです。
まず園長先生がやって来て挨拶のあと、お遊戯会の説明をしてくれました。
これは主に第一子が入園した方へ向けた話かな。
去年の私もそうだったけど、この後の演目に対しての座席エリアについての話なんだけどね。
話も終り先ずは年少組からなので、年少組の親御さんは観覧エリアの最前列へ移動です。
これもこの幼稚園独自の仕組みで、自分の子供の出番の時は最前エリアで見れる入れ替わり制なんだよね。
おかげて集中して見れたり、いい撮影が出来たりすんだけどさ。
そしてこれが園長先生が説明してくれたことなんだ。
初めての方はこのシステムを知らないからね。
年少さんの演目は『森の昆虫さん』
ミツバチ、蝶、カブトムシなどに扮した子供達が順に出てきて、それぞれ軽い踊りを披露する。
その後カブトムシさんの後に蜘蛛に扮した先生が出てきて、みんなを襲うんだけど、協力して撃退するって内容です。
4歳児だから特にセリフとかないんだけど、ほのぼのしてて可愛いだよね〜。
雪ちゃんも去年はミツバチ役をやってて、黄色い衣装にお尻の所に膨らんだ腹?があって可愛かったんだよねー。
腕をパタパタして飛び跳ねたりして踊ってたし。
も〜あれから1年なんだなーって思ってしまう。
パチパチパチと拍手の後に席を入れ替わり、次は雪ちゃん達の番です。
最前列へ移動して、スタンバイします。
お母さんはビデオカメラ担当で、私はスマホで撮影です。
「お母さん大丈夫?」
「大丈夫よ。いままでだってちゃんと撮れてたでしょ?お母さんに任せなさい!」
一応念の為に確認してみたんたけど、大丈夫そうみたいだね。
雪ちゃんの行事絡みのビデオ撮影はお母さんに任せてるんだけど、よく撮れてるからそんなに心配はしてないんだけど、一応ね。
それにこのビデオ撮影。スマホ以上に重要任務なんだよね。
DVDに入れて保存及びお爺ちゃん達に送るという作業もあるし、1番は観賞用かな。
スマホのムービーよりは画質も当然いいし、テレビとかにも映せるでしょ。
それに家で使ってるビデオカメラ、これ専用ソフトを使うとスマホに転送できるんだよね。
MP4?
よく分からないけど何かしらの形式でスマホ用として、当時に2タイプのデーターで録画·保存してくれるから、便利なの。
ちなみに、お父さんは写真担当をしてもらってる。
こっちはデジカメなんだけどね。
「年中組の演目は『海の愉快な仲間たち』です。どうぞー。」
雪ちゃん達は海にいる生き物たちに扮した演劇物です。
お魚や白熊、ペンギンや海鳥とか数は多め。
その中で雪ちゃんはペンギンさんかな?
頭に被り物をつけてて、ちょっと分かりづらいけど多分ペンギン······ペンギンだと思う??
内容的には年少組と同じ流れなんだけど、年中組はそこに多少のセリフが追加されてるの。
そこまで長いセリフではないけれど、1人1人が身振り手振りしながら頑張って演じてる。
そして最後は歌いながら踊って皆仲良し!みたいな話の流れで終わった。
やっぱり年少の時とは違う、成長を実感させてくれる内容でした。
最後は年長さん。
去年も見たけど、これが凄いんだよね······。
さっき程までの年少·年中組さんの演目と違って、どちらかというとダンスよりなんだけどさ。
演目は『にんじ◯りばん◯ん』。
明るい音楽が流れて忍者に扮した子供達が一人ひとり出てきて、中央で刀を振って「やー!」ってやるの。
みんなで走り回って時には2列になって踊って、ときたま刀を振って「やー!!」って掛け声をかけたり。
去年見た時もそして今も、年長さん凄いなーとか、これ来年出来るのかな??とか思ってしまうくらい、そのくらい良く出来てるの。
良く覚えて演技出来てるから、子供の成長って凄いなって改めて感じるよ。
残りは歌のお披露目です。
これも年少·年中·年長組と別れてね。
雪ちゃん達の一曲目は『犬のおま◯りさん』
みんなで並んでリズムに乗って軽く踊りながら歌ってる。
ニャンニャンニャンとかワンワンワンとか、鳴き声の歌詞の所では手振りで猫とか犬の真似をして、それはそれは可愛いのなんのって。
撮影してるから、声を出さないように堪えるのが大変だったよ。
二曲目はカスタネットを片手に『大きな◯時計』
こっちは歌いながら、各自の担当する場面でカスタネットを叩いたり、時にはみんなで叩いたりと上手だったよ。
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全組のお遊戯会を見終わって本日は解散です。
雪ちゃん達はこの後も幼稚園でお昼を食べ、いつもの時間にお迎えなのでお母さんと帰ります。
「雪ちゃん上手だったわね。」
「うん。やっぱり去年より出来るようになってるから、子供の成長って凄いよね。」
「ほんと、そうね。あなたや葵の時も思ったけど、子供って成長があっという間なのよ。あっという間に卒園して、小学校入学したと思ってると卒業で中学入学とか······。だから、このは。あなたの事だから大事にしてると思うけど、時間は大切にしなさいね。ほんと、あっという間だから。」
「うん。」
昔、年配の方が「歳を取ると1日が1年があっという間なんだよ」って聞いたことがあって、その時は分からなかったけど、今なら分かる。
確かに私も小学生だったときは1日が1年が長かったけど、今は早く感じるもの。
ましてや、雪ちゃんを産んでもう5年経ったんだもんね。
ほんと、早いよ······。
だから、一日一日を大切にしないとね!
車に乗ってエンジンをかけます。
後は自宅へ帰ってビデオカメラの方を編集しないとね。
そんな事を考えてた。
「ところで、このは?」
「何?」
ん?なんだろ、このタイミングで?
「折角だから、何処かでお昼食べていこうか?」
「あ!いいね! どこにしょっか?」
久しぶりに出た、お母さんとの食事。
普段行く時は、雪ちゃんが食べそうな物があるお店に行く事が多いんだよね。
なのでいつもは似たようなお店になる。
それはそれで別に構わないんだけど、今日は違ったジャンルのお店にも行けるね!
何処にしようか、悩んじゃうね。
一度エンジンを切って、2人してスマホでお店を調べる。
「あそこは?」
「いや、こっちはどう??」
さてさて、どこかいいお店はあるかしら??
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その頃の1年3組。
「今日はこのはちゃん休みか〜···。」
「だねぇ······。朝来なかったから、アレ?って思ったけど······。」
「このはちゃん居ないと、なんか物足りないよねー?」
「あー、分かる。このはちゃんの後ろ姿見てるだけで、嫌いな授業も乗り切れたのに、それが出来ないから凄く辛い······。」
「「あー、それ分かる!」」
「うちもそうだよ!」
そんなこんなで、今日一日このはちゃんロスに見舞われる1年3組の面々なのでした。




