ある日の出来事②-2 高1(挿絵有り)
ラブレター?らしき物を貰ったその日の放課後。
やっと放課後になったんだよ。ここまで来るのが長かった······。
今朝の出来事から今の放課後まで、クラスの話題はこのラブレター?らしき物一色。
まぁ、これだけネットやSNSが進歩した時代に昔ながらの手紙っていうのが珍しいのもあるし色恋沙汰に敏感なお年頃も合わさってか、みんなの関心が全部こっちに来たからねぇ······。
相手が誰なのかなー?って考えたり、この手紙の扱いをどうするの?とか。
相手探しは途中から推理ゲームみたいな感じになってきて、「あの人じゃない?」「いや、この人も怪しいよ?」とかってさ。
私はクラスの子以外は関わり合いが無いから、全く話についていけないんだけどね。
結局、上級生の誰かだろう?って意見で落ち着いたらしいよ?
手紙の扱いは朝、みんなに話した通り。
だったら行かなくてもいいんじゃない?と、言われたけどそうもいかないのよね。
折角勇気を出して書いてくれたんだろうからさ、話だけでも聞いてあげないと失礼だと思うから。
ただまぁ、私も忙しいから手短に行きたい所なんだけどね。
私はバッグを片手に手紙に書いてあった通りに、体育館の裏に向かってます。
昇降口へ行って靴に履き替えて、校舎の脇を早歩きで歩きます。
だって第2体育館って結構遠いんだよ?
その分人が来なくていいんだろうけど、忙しい身としてはこの時間がねぇ······。
第2体育館裏。
ここは日中もほほ日陰で薄暗く、植木とイ◯バ物置しかなく基本生徒は来ることがない場所です。
掃除当番にでもならない限りは。
かくいう私も来たのは今日が初めてなんだけどね。
じゃあ何で知ってるのかと言うと、ちょっと前にあった『かくれんぼ』で、ここをモニター越しに見てたからなんだ。
そんな体育館裏だけど、先月のかくれんぼの時は凄く賑わってたんだから不思議だよね。
薄暗くて人っ気のないここがさ、途切れることなく生徒で溢れかえってたんだから······。
そしてここがそのかくれんぼの隠れ箇所の1つだったのは、懐かしい思い出。
ザッ、ザッ、ザッ
砂混じりの乾いた土の上、雑草はないけれど何処からか飛んできたのか落ち葉があちこちに落ちている人っ気のない薄暗い所。
そんな場所を歩きながら体育館裏へ到着しました。
さて、誰がいるんだろう?
まさかいないって事はないよね?
そんな風に思いつつ前方の方を見てみると、1人の男子生徒がいた。
良かった······。一先ず居た事に安心する。
いなければいないで、帰るだけなんだけどね。
この人が手紙を出した人かなと見ると、あることに気が付きました。
この人3年生だ。
私達が身に付けてるこの制服のリボン、男子はネクタイなんだけど学年ごとで色が違うんだよね。
私達1年は赤色で、2年生は青色、3年生は緑色。
この色はローテーションするので、来年度の新1年生は緑色になるんだけど、ここにいる男子生徒は緑色のネクタイをしてる。
だから3年生って分かったわけ。
「あ、あの······初めまして。鈴宮このはさんですよね?突然の手紙でここに呼び出してしまって申し訳ないです。それと来てくれてありがとう。僕は3年2組の佐藤拓矢といいます。」
話し出したこの人は佐藤さんという方みたいです。
ネクタイで分かってはいたけど、やはり上級生だったね。
それに勿論、初対面でもあります。
というか上級生にそもそも関わることが無いから、会う人みんな初対面になっちゃうんだけどね。
「その佐藤先輩が私に何の用でしょうか?私も放課後は忙しいので手短にお願いします。」
······ヤバい。
そんなつもりはないのに、声に出したらやたらと冷たくあしらってる私がいた。
心の中は別にそんな風に思ってないのに、出た声とのギャップに内心驚いてる私。
でも良く考えると、そう急がせちゃうのも仕方ないか。
だって私は、雪ちゃんを迎えに行かなくちゃいけないんだもの。
そして早く雪ちゃんに会いたいんだから!
それを初対面の見ず知らずの先輩に時間を取られて······。
ヤバ······抑えろ私!
「ああ、ごめん。···あの、僕は鈴宮さん、貴女のことが···好きです。一目惚れというものですが、卒業するまでにどうしても気持ちを伝えてたくて······。よかったら、僕と付き合ってくれませんか?」
そういい、頭を下げる先輩。
一目惚れか······。
私のこの容姿が人目を惹きつけるのは昔から分かってはいた。
そして何故か好意を持たれるのも。
そしていい面があればその逆もあるわけで······。
子供の頃はこの日本人離れした容姿のせいで、同級生達から嫌がらせをされたり陰口を言われたりしたんだ。
今と違って形見の狭い思いをして、とても辛かったし悲しかった。
だけど思春期を迎えてからは、様子が変わった。
私の場合は5年生くらいからだったけど、背も伸びてきて胸も大きくなってきたんだ。
急に女っぽくなって来たせいなのかは分からないけど、その頃から同級生達が優しくしてくるようになって驚いたんだよね。
理由も特に分からずにそうなったからさ。
その後雪ちゃんを妊娠、出産してからは自己流ではあるけれど、体型づくりにも力を入れた。
だからプロポーションにも一応の自信はあるつもりだよ?
そういう訳で男性から好意を持たれるのは分かってはいるけれど、私の心はもう昔から決まっている。
「ごめんなさい。私はあたとは付き合えません。」
「どうして?何か理由が?それとも他に好きな人がいるとか???」
簡単には引かないよね······。
手紙をくれるくらいだからそれだけ本気なんだと思うけど。
私は今後の為にも、この人の為にもハッキリと伝える事にます。
「私には好きな人がいます。当時13歳の私が残りの人生の全てをかけてまで一緒にいたいと誓った人が。」
「それ程までの人があなたに······。」
「はい。先輩は知らないかと思いますが、それは私の子供。私には子供がいるんです。こう見えても1児の母親なんですよ?」
「子供!? 鈴宮さんは子供がいるんですか!?」
「はい。そうです。ショックですよね?」
私に子供がいると知ってショックを受けてる先輩。
まあ、好きな人がいるくらいは考えてても、まさか子供が居るとは思わないよね、普通は。
惚れた女子高生がまさかの子持ち=母親(人妻?)
·····うん。凄い事実だね。
「子供の事が第一だから、今もそして今後も誰かと付き合うつもりもありません。子供が懐いてくれればあるいは?と思うかもしれませんが、虐待報道などが多い今の世の中、私は血の繋がらない人を子供の親にしたくありませんし、また子供のことを疎かにして自分の恋愛に夢中になりたいとも思いません。
それに子供に何かあれば最悪自分の命を断つくらいの覚悟も持っています。
そのくらい子供の事が大好きで愛してますので先輩とも、仮に今後誰かに告白されても付き合うことは一生ありません。もちろん、友達からというお付き合いもなしです。
だから先輩。コブ付きの私より他の女の子を見てください。周りには私よりもっと魅力的な女の子がいますよ。その中には先輩の事を好きな女の子もいると思いますし。」
「だから、ごめんなさい。私は貴方とは付き合えません。」
丁寧に頭を下げてお断りをします。
顔を戻してもまだ微動だにしない先輩。
大丈夫なのかな?ちゃんと聞いててくれたかしら?
最後に色々と捲し立てて語ってしまったけど、あれは全部私の思ってる事だから。
私は来た道を戻ります。
後ろで先輩の動いた気配はまだありません。
きっと子供がいる発言で混乱してるんだろうけど、分かってくれると信じたい。
ここに来た時より少しだけ薄暗くなってる。
人っ気がないだけ余計に不気味だよね。
こういう所は早く離れよう!そして早く帰ろう。
そう思い、体育館の角を曲がって駐輪場に行こうとして歩き出した私。
すると角の先に見知った3人組の顔があった。
「······みんな、何をしてるのかしら?」
そこにいたのは、クラスメイトの三人娘。
皆して固まって、私を見上げてる。
その表情はイタズラをして親にバレた子供の様な顔をして。
分かりやすくいうと、「ヤバい!」って感じの表情はなんだよね。
「あ······アハハハハ······や、やぁ、このはちゃん。このはちゃんの事が気になって、その、みんなで見に来ちゃいました。」
「そうなの。結果は予め聞いてたけど、でもやっぱり気になっちゃってさ······。」
「「「ごめんなさい。」」」
「いや、別にいいんだけどさ···」
どうやら私の事が気になって後をつけてきたみたいです。
私も逆の立場なら確かに気になるから、気持ちは分かるんたけどね。
分かるんだけど、このコソコソはどうなのよ?
しかもなんかみんな、少しビクビクしてるから何だが私が悪い事をしてるみたいじゃん?
「さぁ、帰ろう。みんなも部活でしょ?遅れちゃうよ?」
「そうだね。だいぶ時間使っちゃったし急がなくちゃ!」
「じゃ、またね〜このはちゃん!」
「「「またねー!バイバイ!」」」
いつまでここにいても仕方がないので、みんなを促して帰ることにします。
時間も少し遅くなっちゃったし、急がないとね。
みんなと分かれて私も帰路へとつきます。
待っててね雪ちゃん。
ーーーーーーーーーー
このはちゃんと別れた後、私達は歩きながら先程の話をしてます。
「このはちゃん、バッサリ切ったねー。」
「うん。あの怒涛の言葉攻め。あれは凄かったよ。あれ言われちゃ何も反論出来ないよね。」
「そだねー。まぁ、あの様子じゃ聞こえてたのかどうか分からないけどさ。でも、男子相手ならそのくらいの方がいいんじゃない?ストーカーとかもあるって言うしさ。未練を残すとあとが怖いよ。」
うんうんと私達は頷きます。
「あの先輩から見るとさ、人妻に惚れて告った事になるのかな?人妻じゃないけど。」
「多分そうだろうね〜······。ちゃんと聞いてればアレ?ってなるけど······黒歴史か!?」
人生で初めて見た告白シーン。
その対象が我らのこのはちゃんだという驚きだ。
しかも相手からみると、好きな人が他にいて断られるかと思いきや、予想打にしないまさかの子供がいます発言。
うん······勝ち目がないね。
「でも、結果は分かってると言ってもドキドキしたなー。まさか本当にマンガみたいな告白があるとは思わなかったよ。」
「ほんとほんと。しかも、雪ちゃん一筋だから今後も付き合う気はないって言ってたし、覚悟とかもあるって······。」
「前にも聞いたけど、やっぱり凄いよね···そこまで想えるって······。」
子供の為にそこまで想えるものなのかな??と、不思議に思ってしまう。
『このはちゃんだから』と言えば納得出来ちゃうのかもしれないけれど、それにしたって凄いなって改めて思ってしまう。
私に子供が出来たら確かに大切に大事にするとは思う。
思うけど、このはちゃん程の覚悟とかは多分持てないな、きっと。
そんなこのはちゃんの元に生まれることが出来た雪ちゃんは、きっと幸せだろうなって思うな。
あんなに想ってくれる素敵なママがいてさ、私もいいな〜って思うもん。
「でも······私達を見つけた時のこのはちゃん、なんか怖くなかった??」
「あ、やっぱりそう感じた?実は私もなんだよ。」
「私も!私も怖く感じたよ···。」
「表情は普通だったと思うけど、声がなんか低いというか、ドス?が効いてるような感じで···。」
「分かる分かる。上手く説明できないけど、あれは本能でアカン!って感じ······。」
「うん。このはちゃん本人も怒ってる様な感じではなかったけど、無意識かな??」
「このはちゃんの後ろに般若が見えたよ···私は······」
今日みんなで覗いていて、新たに知ったこと。
『このはちゃんを怒らせるな。』
いつものご愛読頂き誠にありがとうございます。
このはちゃんが告白されるをお届けしました。
そしてこのはちゃん、何気に初告白でもあります。
告白も返事も、こういうのって正解はないと個人的には思っております。人それぞれ想いも考え方も違いますから。
どのようにしようかなと思いましたが、このはちゃんは昔から気持ちは決まってたので、バッサリとさせていただきました。
楽しんで頂けると幸いです。
今後とも宜しくお願い致します。
注意して見てますが、誤字·脱字等ありましたら報告頂けると助かります。評価等も頂けたら励みにもなります。
※最新話を書き溜めつつ、初期の頃の話を加筆修正しております。
詳しくは活動報告に書いてあるのですが、文字数の事は気にしなくてもいいなと思ったのがありまして······。
大筋の内容は変わらないのですが、会話のセリフや描写などを増やしたりシーンをより詳しく書いたりしております。
まだいくつか加筆修正していくつもりですが、どうぞ宜しくお願い致します。




