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ある日の休み時間③ 高1 (挿絵有り)

ガラガラガラ······


「すまん!鈴宮いるか〜?」


「はーい。なんでしょう?」


3学期のある日のお昼休み。

みんなとお昼ご飯を食べてると、こんな時間に珍しく担任の高橋先生がやって来た。

なんだろう?って思ったけど、どうやら私を探しに来たみたいです。



「ご飯食べてる時に悪いな。すまんが食べ終わったら職員室に来てもらえるか?」


「職員室ですか?? はい、わかりました。」


「ありがとう。じゃ、頼むな。」


よく分からないけど、とりあえずそう返事を返したら先生はお礼を言って戻っていきました。



「高橋先生、一体何だったんだろうね?」

「ホントね。何か手伝いとかなら佐藤君や志保に頼みそうなものだけど······」


彩ちゃんや茜ちゃんを始めとして、みんなが疑問を感じたみたい。

でも、そうだよね。

手伝いとかならクラス委員長の佐藤君や志保ちゃんに頼みそうな、いや、現に頼んでる時もあるから手伝いじゃないのかな??


「うん、なんだろうね?? 全然心当たりないんだけど······。」


本当に考えても分かりません。全然思い浮かばいですね。

でも······お昼休みもあと30分少しだから、変なことじゃないと思うけどさ?


「何か分かんないけど、取り敢えず行ってくるよ。」


「うん。分かった〜。気をつけてね!」

「「「行ってらっしゃ〜い!」」」


残ってたお弁当を急いで食べて職員室に向かうことにしました。

立ち上がってみんなに声をかければ、「行ってらっしゃい」と、声を掛けてくれて。


「行ってきまーす」


と返事を返して職員室に向かいます。

さてさて、変なことじゃなければいいんだけど······。



  ーーーーーーーーーー



「失礼しまーす。」


扉を開けてそう挨拶をしてから、高橋先生のデスクへ向かいます。

お昼休みというのもあり、大勢の先生がいらっしゃってこちらを一斉に振り向いて見てきます。

中々の迫力があるけれど、ここは堂々とした姿で歩き目線が合ったり見知った先生がいれば「こんにちは。」と挨拶をして通ります。


「高橋先生。お待たせしました。」


高橋先生の隣に来て、来たことを伝えました。

先生のデスクは以前、文化祭絡みの時に何度か来たことがあったので場所は把握してました。

そうじゃないと、さすがに探すのは大変です。

規模が大きい分、先生の人数もそれなりにいらっしゃるので。


「おう。お昼休みに悪いな。じゃあ、早速移動しようか。ついて来て。」


「あれ?ここで話とかじゃ、ないんですね?」


「うん? そうだよ。話ではあるんだけどな。」


そう言うなり席を立つ先生。

やっぱりお手伝い系だったかな?

でもさっき、話っていってたけど······?

ますます混乱する私です。

そう混乱する私だけども、高橋先生はちょっとだけ歩いて同じ職員室内にある扉をノックしました。

あれ?この扉の先って···?


コンコン。


「失礼します。高橋です。うちのクラスの鈴宮をお連れしました。鈴宮もこっちへ。」


連れられてやってきたけど、前に座ってるのは校長先生だ。

よく分からない状況だけど、取り敢えず挨拶をしなきゃね。


「こんにちは。1年3組の鈴宮このはです。」


そう挨拶をしてペコリと頭を下げる。


「はい。こんにちは、鈴宮さん。お昼休みに無理を言って来てもらって済まなかったね。ああ、立ち話もなんだから、そこに座ってください。高橋先生も。」


「はい。」と返事をして座り、私が座ったのを皮切りに話が始まりました。

さてさて、一体何なんでしょうか?



「では改めて初めまして。鈴宮さん。私はこの桜ヶ丘高校の校長の安斉です。此方は事務方の先生方になります。」


ぺこりと頭を下げられて、此方も同じくペコリと。

ああ、やっぱり校長先生でしたね。

職員室から続く扉だったから多分校長室かな?とは思ってはいたんだけどね。

廊下から見ると職員室の隣りに校長室があるのは知ってたから。


「時間があまり無いので単刀直入ですが、実はこの度鈴宮さんに来年度の学校紹介のポスター等のモデルをお願いしたく、来て頂きました。」


「え!? ポスター······ですか?」


思ってもいなかった発言が出てきたよ。

なんだ?ポスターって······。

いや、何となくイメージは出来るんだよ。

校舎なんかをバックにして、制服を着た子が微笑んでたり楽しそうにしてるポスターだよね?

専門学校とか大学なんかで見かけるような気がするけど······。


挿絵(By みてみん)


「はい、そうです。実は先日のテレビ放送の後から我が校に問い合わせが沢山のありましてね。県内外の中学校から改めて我が校の特色や進学率といった問い合わせや、テレビ局や一般の方からもあったりしたそうです。鈴宮さんが番組冒頭で我が校の魅力を伝えてくれたのも勿論そうですが、一番はやはり鈴宮さんのその魅力的なお姿ですかね。」


「それでよろしければ鈴宮さんに、来年度及び再来年度の学校関係のポスターや冊子、制服の見本モデルなどをして頂けないかと思いまして本日こちらへお呼びした訳です。

どうでしょうか?モデルをして頂いても金銭的な報酬のお渡しは出来なくて、その点は申し訳ないのですが、それでもよろしければ当校の為に、よろしくお願いします。」


「よろしくお願いします。」


校長先生と事務方の先生にお願いされて、頭を下げらてしまいました。

とっさに「先生、頭を上げてください。」と言ってしまったけど、私は悪くないよね?


でも、う〜ん······どうしようかな?

モデル自体は受けても問題ないんだけど、あるとしたら日程とかそういうのかな。

雪ちゃんもいるからあまり遠くへは行きたくないしなぁ······。

いざとなればお母さんに少しだけお願いすって手もあるんだけどさ。



「校長先生。モデル自体は構わないのですが、撮影の場所ですとか日程的な物はどうなのでしょうか?遠い場所だとか撮影に時間がかかるとかだとちょっと困るのですが····。」


一番の懸念事項である事を聞いてみます。

そこがクリア出来るようなら別に構わないのだけど。


「それは大丈夫だと思いますよ。まだ日時は決まってませんが、例年ですと撮影場所は学校内でセッティングして半日もかからず終わるそうですから。」


ああ、良かった。それなら問題ないね。


「それなら大丈夫です。撮影の話、お受けしますね。」


「おお! それはありがとうございます。」


「ありがとうございます、鈴宮さん。いや〜······急だったから断られたらどうしようかと思ってましたよ。毎年の事なんですけど、誰を起用しようか悩むんですよね。そこに今年は鈴宮さんってもう特別な素敵な子が来てくれたので、この子しかいない!!って意見が一致しまして······。本当にありがとうございす。」


「あははは······。それは大変ですね。まぁ、来年も日程的に問題なければ受けますよ?」


「本当ですか!?それはありがとうございます。で、先程も述べたように金銭的な報酬はお渡しできません。」


「はい。承知してます。」


「ですが、学校生活で何か困ったことがあったら遠慮なく申し出て下さい。可能な限り力になりますので。」


「それは······ありがとうございます。」


それは嬉しい申しでですね。

まぁ、使うことはなさそうな気がするけど。


「良かったな?鈴宮。校長先生からそのような言葉を貰えるのはまずないから、かなりいいと思うぞ。」


隣で聞いていた、高橋先生もそう感じてくれたみたい。

でも、続けてこうも言った。


「でも、鈴宮の成績や生活態度だと使うことはなさそうだよなー?使うことがないのはいいことだけど、何か勿体ない······。」


あ······高橋先生もそう思ったらしい。

私も今さっきまさしくそう思ったから、そうだよね。


「高橋先生? 鈴宮さんはそんなに優秀な生徒さんなんですか?人柄は大変に素敵だと思いますが······?」


おや?

校長先生がなにやら食いついてきたよ?


「そうなんですよ!校長先生!鈴宮って人柄も凄く素敵ですけど、それ以外も凄くてですね······。」


先程まで静かに聞いていた高橋先生が急に水を得た魚の如く、嬉しそうに楽しそうに私のことを語りだした。

まだ半年少ししか学校生活を共にしてないのに、その中で知り得たこと、感じた事などを丁寧に語って。


校長先生も事務方の先生も時通り「おお!」なんて声を出して、熱心に高橋先生の話を聞いてるよね。




そういう訳で私は、来年度の学校の広告ポスター等の写真モデルを引き受けたのでした。

日時はまだ未定ではあるけれど決まり次第、高橋先生経由で教えてくれるとのことです。

また当日は制服で撮影の為、新しい制服を用意してくれるということで、女性の先生にサイズを伝えて本日は解散となりました。



  ーーーーーーーーーー


ガラガラガラ······


「ただいまー」


「「「「おかえり〜」」」」

「おかえりー、このはちゃん。高橋先生なんだったの?」


無事お昼休みの内に教室に戻れたので一安心して教室の扉を開けます。

そうすると、私が教室を出て行った時と同じ位置にみんながいて、早速何用だったのか聞かれたよ。

呼ばれた時、私もみんなも何だろう?って感じてたから、まぁ気持ちはわかります。

それで早速、校長室で聞かされてお願いされた事を搔い摘まんで話しました。


その反応はみんなそれぞれ違うんだけど、でも概ね一緒。

「おおー凄い!」とか「さすがこのはちゃん!」等など、驚きや私ならありそうだよね?的な色んな反応を頂いたよ。

ただそのみんなの話の中で特に盛り上がったのが、


「制服のモデル写真なら男子も撮るじゃん。相手は誰だろうね?」

「よく男女2ショットのを見るけど相手は?」


という内容だった。

確かに制服写真だとそういうのがあるよね。

最近だと3ショットとかあったりして。

ほら、最近は女子の制服にスラックスを取り入れ始めてる学校もぼちぼち出始めたから、スカートとスラックス両方の撮影も入れてって感じでね。

まぁ、うちの高校でスラックス云々という話は聞いたことないけどさ。いずれは取り入れるのかな??


「でも、今回の話だとその手の話題は出なかったよ?」


校長先生との話を思い出しながらみんなに伝えます。

確かに男子生徒と撮るような話はなかったね。


「そうなんだ?」


「うん。まぁ、制服のデザインとかが変わるなら撮るだろうけど、同じなら以前のを使えばいいと思うし。あとは······単に男子生徒側が決まってないだけって線もあるかな······。」


「そっかー。そういう可能性もあるよね〜。」


「でも、やっぱり撮るようなら相手が気になるよね?誰にするのとかさ。」


「「「「確かに!」」」」



私は別に並んで撮るくらいなら気にしないけど、みんなはそうでもないみたいだね。

思春期真っ只中にいるだけに、こういう事には凄く敏感みたいです。


男の子なんて「よし!俺、立候補してくるわ!」って本当に先生の所に行った子もいたよ。


「無理に決まってんじゃん、馬鹿だねー」

「男子ってホント、アホね!」


なんて女の子達から言われてる始末だしさ。




頑張れ!男の子!

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