ある日の休日③《クリスマス·イブ》 (挿絵有り)
今日は12月24日、クリスマスイブです。
この日は我が家の晩御飯は作りません。
いや、言い方が悪かったかな?厳密にはサラダは作るんだけど、それ以外は作らないの。
だから普段作ってる私としては、サラダくらいだと作ったと言えないと断言してもいいレベルです。
ほら、あれだよ。
「料理したことある?」って訪ねて、「カップラーメンなら作ったことあるよ」、「それ料理っていわないじゃん!」と言ってるのと一緒だね。
で、なんで作らないかというとね、昔、まだお母さんがご飯を用意してた頃から元々この24日はチキンとかを買って食べてたんだ。
だけど、私が作るようになってからさ、
「この日も私が作るよ。どういうチキン料理とか食べたい?」
って聞いたことあるんだけど、そしたらお母さんに
「この日くらい作らなくてもいいわよ。たまにはゆっくりしなさい。」
って言われちゃったんだよね。
そう言わちゃってさ、つい「うん」って答えちゃったその時からこの日は作ってないんだよ。
でもさ、私としては作りたかったんだよね。
だって23日〜24日って普段目にしない品がスーパーに並ぶんだもん。
目玉のチキンにしたって、丸ごと一羽みたいなのとか骨付きチキンの大きいのとか。
流石に丸ごと一羽のは食べ切れないからいらないけれど、でもローストチキンとか作ってみたいんだよね。
ローストチキンにしても、照り焼き風や蜂蜜を使ったもの、ハーブと合わせたローストチキンとか。
まぁ色々種類もあるわけで、料理人としては惹かれるんだよね。あれ作ってみたいとか、これ食べてみたいとか。
やっぱり来年は作ってみようかなぁ···。
話は戻って、じゃあ今日はどうしてるの?というと、この日は買ってきちゃうんだ。
他所の家も似たような所があるかもしれないけど、某チキン屋さんのフライドチキンとフライドポテトのセット。
あと持ち帰り用でお寿司のセットを頼んで、私の用意したサラダで準備おっけいです。
「ただいまー。」
お母さん達が帰ってきたね。
玄関に向かって荷物を受け取りに行きます。
「お帰りなさ〜い。随分時間かかったね。やっぱり混んでた?」
「そうね。まぁ、時間が時間だしそこは仕方ないわよ。さあ、温かいうちに食べましょ。」
「はーい。葵〜、手伝って〜。」「うん!」
葵にも手伝って貰って食事の準備をします。
本当はもっと早い時間に受け取りに行ってもよかったんたけど、
「冷めたのを温めるとイマイチだから、どうせなら出来立てを食べましょ。」
と、お母さんの鶴の一声でわざわざご飯時の時間にしたんだよね。
当然混むのも分かってたから、お母さん達が受け取りに行ってくれたんだけどね。
「「「いただきまーす。」」」
テーブルにお寿司やチキンにポテト、サラダに取り皿等、準備も完了しみんなで頂きますです。
普段の日はお父さんの帰りを待たないで晩御飯を食べちゃうけど、この日は帰ってくるまで待ってるんだ。
クリスマスだし、みんなで楽しく食べたいしね。
テレビも何か面白そうな番組を探してつけてみて。
この時期あたりからスペシャル番組中心になるから、毎日何があるのか探す楽しみはあるよね。
ご飯もみんなが好きなのから食べ始めてる。
お父さんはまずビール。お母さんはお寿司に葵はチキンから。
私はまず、雪ちゃん用にチキンをほぐしてあげてから食べ始めるの。
雪ちゃんにはこのチキンをそのまま食べるには、まだ大変だからね。
美味しいんだけど、骨との関係がちょっと···ね。
まぁ、私もちょっと食べづらいなとは思ってるから、あながち間違ってはないと思うけど。
「雪ちゃん美味しい?」って聞けば、「うん!」って答えてくれる。
みんなが好きなローストチキンは例外なく雪ちゃんも好きだから、あとは味付け次第かな。
作ってみたいと思ってるローストチキンも、照り焼き風とか胡椒を効かせたチキンなら食べてくれそうだけど、ハーブはまだ無理かなー?と、チキンを食べてる雪ちゃんを見つめながら考えてもいたりする。
お寿司なんかはまだ生魚を食べないから、卵やお稲荷さん、海苔巻中心。
私もイカやタコ、貝は苦手だからそれ以外を。
こういう寿司の場合、自分たちの好きな物を好きなだけ選んで注文できるのがいいよねと思うよね。
食べ終わって暫くしたら、ケーキ&プレゼントタイム。
みんなの分の飲み物を用意したら頂きます。
と言っても、お父さんはもうビールがあるから要らないんだけどね。
それと我が家はホールケーキではなく、それぞれが食べたいショートケーキ派です。
お父さんもお母さんも葵も、普段あるケーキより季節限定系のケーキをチョイスしてくる感じが多いかな。
私?
私は頼まないんだ。何でかっていうと、雪ちゃんが定番の苺のショートを食べるんだけど、ご飯の後ってのもあってか残すんだよね。
その食べ残しを食べるから、あえて頼まないの。
「このは。本当に頼まなくていいの?」
って、以前にお母さんが聞いてきてくれたこともあったけど、
「うん、いいの」って返したんだ。
雪ちゃんが残したのを食べるのイヤじゃないし、そういうのをしてるとママやってるっていう実感もまた湧くんだよね。
それに私は苺が好きだからね。
だから、自分のを頼まなくても全然へっちゃらです。
あとは頃合いを見て、雪ちゃんにクリスマスプレゼントを渡します。
寝てる時に枕元に置いとかないの?って思うかもしれないけど、雪ちゃん的には私が直接渡すほうが嬉しいみたいなんだよね。
顔の知らないサンタさんより、ままサンタ。つまり、私。
私としても嬉しい限りだけどね。
「雪ちゃん、ママからクリスマスプレゼントだよ。」
そう言って雪ちゃんに綺麗にラッピングされた物を渡します。
準備してる時間もあまりなく素材の関係もあって、そこまでいい出来ではないけど、気に入るかしら?
「わぁ〜!まま、ありがと〜♪開けてい〜い?」
「うん。いいよ。」
何かな~何かな〜って言いながら、ガサゴソと袋を開けていく雪ちゃん。
誕生日の時もそうだけど、この瞬間はドキドキする。
だって雪ちゃん、欲しい物とかあまり言わないから······。
「? よーふく?」
キョトンとしてるね。意外だったかな?
「じゃあ、雪ちゃん。折角だから着てみようか?」
「うん!」
お母さんがフォロー入れてくれて、雪ちゃんを連れて隣の部屋に。
すると葵が疑問に思った事を聞いてきた。
「お姉ちゃんが洋服のプレゼントって珍しいね?何か可愛いのでもあったの?」
「いや、そうじゃないよ。この前一緒に見に行ったんたけど、コレっていうのが無くてさ。困ったなーって思ってたら例の魔法少女アニメにハマってるのを思い出してね。杖は持ってるから、じゃあ服かな?って······」
「服って······。あれ売ってるの?」
「多分売ってないと思うよ?だから作った。時間もないし材料も似たようなので済ませたから、そこまでそっくりじゃないけどね。」
「作ったって······凄いねぇ〜お姉ちゃん。」
「そうでもないよ?スカートはそのまま市販品だし、上着はベースのシャツにちょこっと足しただけたからね。」
そう、言う程手間がかかった訳ではないんだ。
コスプレ衣装みたいに採寸や生地のカットとか0から作るとか、装飾品が多いとかって訳でもなく、ベースの市販のシャツに少しアレコレ付け加えて加工しただけ。
だからサイズ合わせも要らなかったしね。
「ままー!ねーね、じーじ。」
「「「おお!」」」
着替え終わった雪ちゃんが隣の部屋から戻ってきた。
うん!いい!可愛い!
「うん!雪ちゃん可愛いよ!魔法少女みたいだね!」
「ほんとほんと! 可愛いね! 良かったね雪ちゃん。」
「ほんと?やったー!」
嬉しそうにぴょんぴょんと飛び跳ねて、喜んでくれてる雪ちゃん。
そこにお母さんもやって来て、
「よく作ったわね〜。サイズピッタリだったわよ?」
そう聞かれたので、先程葵に説明したことを話しました。
実際の所、元になってるキャラの衣装と比べると随分と違うんだけどね。
スカートだって色こそ似てるものの丈の長さやデザインは違うし、上着だって似せてはいるけどやっぱり···ね。
そっくりに作るならやっぱり型から作らないとダメだめだし、素材や色、質感とかそういうのにも気を配らないといけないよね。
まぁ、それでも雪ちゃんは喜んでくれたから良かったかな。
いつの間にか、以前にあげた杖を持って来てて
「ままー、見てて! まほーしょーじょ、ももリン♪」
なんて、決めポーズを決めてるよ。
さすが、よく見てるだけあって動きが上手だね。
そんな雪ちゃんをさっきから一生懸命撮影してるお父さん。
後でいい写真を頂戴ね?
何はともあれ、お気にめしてくれて良かった。
作ったかいがあるってもんだね。




