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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の職員室(2学期末) 高1 

「高橋先生、ちょっとよろしいかな?」


「はい。大丈夫ですが、どうなさいました?勅使河原先生。」


昼ご飯を食べてのんびりとしていた俺の所に、学年主任の勅使河原先生が声をかけてきた。

振り向いて顔を見てみれば、何やら深刻そうな顔をしている。

はて?何か問題でも起きただろうか······?


「実は先日の期末テストの採点が一通り終わりまして、結果を纏めたんですがね······ちょっとこれを見て貰えますか?」


そう渡して来たプリントは数枚でありざっくりと見た所、各教科ごとの得点とクラス平均点及びクラス毎の比較らしい。


「クラス毎の平均点をクラス別に比較したんですが、それの数学の所なんですがね、高橋先生の3組が他と比べて高いんですよ。」


そう言ってきた勅使河原先生。

どれどれ······プリントを掴みじっくりと確認してみる。

すると確かに他のクラスと比較すると高いな。

ついでに個人の点数も見てみる。

ちなみにこういうのも後の受験等に参考として必要になるから、きちんとデータとしてとっておく必要がある訳だ。

······確かにみんな上がってるな。振り幅は多少差があるにせよ。

そして鈴宮。今回も満点か〜。大したもんだ。


「教えてる教諭は皆一緒ですし、何か理由とか分かりますか?」


理由か······まぁ、多分鈴宮だろう。てか、それしか思い浮かばない。


「はっきりと断定は出来ませんが、恐らくうちのクラスの鈴宮が理由ではないかと。」


「鈴宮さん······ですか?」


「ええ。井上先生にも意見を聞いてみた方がいいかもしれないですね。ちょっとお待ち下さい。」


勅使河原先生にそう言いつつ、職員室内を見渡してみる。

そうすると丁度いい具合にいらっしゃるではないか。

俺は早速、井上先生に声をかけるべく側に行く。


井上先生。名前は井上晴美。

歳は忘れたがこの桜ヶ丘高校の女性教諭の中では、1番若い先生だ。

髪はショートっぽく短くして切りそろえてあり、色もやや茶色にしてある。そしてその若さ故に活発そうに見えるが、教えている担当教科は数学である。

それも今担当してる学年は3年生であり、数学に関しては自分より井上先生の方が適任である。

それに鈴宮が数学を得意としてると知っている先生でもあるし。


「失礼します、井上先生。ちょっと見てもらいたい物があるんですが、お願いできますか?」


デスクで飲み物を飲みながらスマホを触っていた井上先生に声を掛ける。


「はい、大丈夫ですよ?」


ちょっとなんだろう?と不思議そうな表情を浮かべる井上先生。

それもそうだよな〜と、俺でも思う。

俺は1年生を担当で、向こうは3年生。

主任とかそういう立場ではないから、普通はこれという接点が無いんだよ。


で、井上先生に声を掛けて、先程のプリントを見せる。


挿絵(By みてみん)


見てもらってる間、勅使河原先生には自習の時の件とお昼休みの鈴宮がしている事をお話しします。


「······なるほど、そんな事があったんですね。」


「黙っていて申し訳ないです。」


頭を下げる。

報告する程の事ではないとは思っていたが、黙っていた事には変わりないから。


「いえいえ。休み時間を有意義に使ってくれるなら良いことですからね。で、井上先生はそれを見てどう思いますか?」


「そうですね······。自習の時の教え方と今も継続してる教え、それと今回の成績を考えると、やはり彼女の影響ではないかと。ただ、まだ1回目なので断定は出来ませんが、3月の学年末テストでも同様の効果が出ればより確実かなとは思いますね。」


「そうですか······。」


何やら考えてる様子の勅使河原先生。

学年主任としては色々と思う所があるのだろうか?



「高橋先生。それにしても彼女、鈴宮さんは凄いですね。今回の成績もですけど、彼女いったいどこまで出来るんでしょう?」


「さあ?ただ本人は、数学と英語のみは独学で勉強して覚えたって言ってましたね。」


「独学って······」


絶句してる。まあ、その気持ちは分かるよ。

俺もそうだったから。

でも鈴宮の事を毎日見てると、それもあながち嘘じゃないと思えるんだよな。

真面目だし、頑張り屋で面倒見もよい。

そんな鈴宮が嘘をつくような子には見えないしな。


「高橋先生。後で鈴宮さんをお借りしてもよいでしょうか?」


「え?何をなさるおつもりで??」


井上先生がいきなり変な事を言い出した。

何をする気だ?うちの鈴宮に······。


「いや、ただ単に彼女が何処まで出来るのか、確認したくなっただけですよ? 大丈夫です。出来ても出来なくても、内申とかには影響しませんから。あくまで()()()()()()()()()ですから。」


······。


何をしたいのか何となく想像はついたが、悪いようにしないのであればと念を押して許可はした。

まぁ、俺自身も少なからず興味はあったからな。



そして今まで考えていた勅使河原先生も結論が出たのか、とりあえずそのままで行きましょう。との事だった。

生徒が生徒に教えるのは悪い事でもなんでもないし、1回の結果で決めつけるのも早急過ぎるよねと。

ただその言葉の中には、勅使河原先生なりに鈴宮に興味が湧いて見てみたいんだろうなと推測する。


成績は優秀であるが、教えるといったことは素人の筈の生徒がいったい何処まで出来るのか?

他の生徒はまだ成績が上がるのか?と。



成績が上がれば凄いが、さてさてどうなるやら······。

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