ある日の出来事①-5 (挿絵有り)
ーー 彩ちゃん 視点 ーー
『みんなーー!助けてぇ〜〜!!! 捕まっちゃって逃げないと学校に来れなくなっちゃうの!!!!』
このはちゃんの声がスピーカーから聞こえてくる。
もうみんなは、さっきから驚きの連続過ぎて何がなんだか訳分からなくなってます。
「何でこのはちゃんがあそこにいるのよ!?」
「分かんないよー」
「ってかさー、良く見たら手首に何か巻かれてない??」
「「うそ!?マジ??」」 「「「あ!ホントだ!手首に何か巻かれてる!!」」」
少し遠くて良く見えないけど、確かに手首に何が巻かれてるみたい。
「じゃあ、なに!?今回の捕まる役ってもしかして、このはちゃん!?」
「「「まさか?!」」」
ほんと、何が何だか······。
校庭の方を見ると、撮影が終わったのかスタッフさん達が戻って行きます。
このはちゃんやタレントさんも。
この後隠れる準備なのかな??
これは、このはちゃんに詳しく聞かねば!
5時間目開始のチャイムがなって暫くすると、ガラガラガラっと扉が開いて、
「あ、このはちゃん、おかえ···り?」
「おいおいおい。鈴宮じゃないからって、そんな顔するなよ?先生傷つくぞ?」
入ってきたのは担任の高橋先生でした。
「せんせー!どういうことなんですか!?なんであそこにこのはちゃんが!!?」
みんなして、先生に質問を浴びせます。
「待て待て待て。とりあえず順に説明すっから。一先ず、窓際のカーテンを全部閉めてくれ。」
そう言い、近くの子がカーテンを閉めました。
「じゃ、今後の説明をするな。まず始めに6時間目授業はなしだ。それで5時間目は全生徒、教室授業になる。担任が受け持つが、まぁ、授業にならんだろうからこのクラスは自習でいい。余り騒ぐなよ?」
「「「はーい」」」
「あと、これから合図があるまではこの教室より他への移動は禁止だ。教室のみで過ごすように。あと、カーテンから外は覗くなよ?何処に隠れるのかは先生も知らないが、楽しみが減るかも知れないからな。今後については以上だか、何があるか?」
先生が問い掛けたらみんなから一斉に手が上がった。
私もあげたよ。
「先生が朝、このはちゃんを連れて行ったのって、これだったんですか?」
みんなが一番気にしてた事だね。
「ああ。そうだ。先生だってビックリしたんだからな?朝の会議で突然言われたんだから···。」
先生も突然で大変だったみたい。
でも同情はしないよ?私達だって凄く不安だったんだから···。
暫くみんなで先生に質問とかをしてると、このはちゃんが帰ってきた。
「ただいまー!」って。
みんながこのはちゃんを取り囲みます。
あ、茜ちゃんがこのはちゃんに抱きついてる···。
先を越された···。
最近はなんかこうやって、このはちゃんに抱きつく子が増えたんだよね。そんで頭を撫でてくれてさ。
このはちゃんの胸に埋もれて、これがいい香りと弾力で気持ちいいんだよ···。
私も「お詫びだよ」って、されたんだけど、何のお詫びだか思い出せないんだよね??
話題が逸れたね。
このはちゃんを囲ってみんなの質問タイムです。
「朝はどういうやりとりだったの?」的な質問には、
「最初先生にテレビの学校紹介のインタビューを受けてほしいって言われたのね。それで実際にインタビューはやってたんたけど、このインタビュー自体がドッキリだったみたいでさ······。ねぇ?先生?」
このはちゃんが先生をジト目で見てます。こんなこのはちゃんは初めて見るよ。
先生もバツが悪そうに、
「いや、仕方ないだろ?俺だって学校のインタビューって名目で連れてきてくださいとしか指示受けてないんだから。それに、その先の内容については一切知らないぞ。」
だそうです。
あとは、「タレントさんどうだった?」とか「話し出来たの?」とか、そんな感じ。
このはちゃんも答えられる範囲で教えてくれて、詳しくはO.Aを見てねだって。
何でも年明けのSP番組内で放送予定みたいです。
これにはまたみんなも大興奮!
チャイムが鳴って、一先ず最後ってことでこんな質問が。
「このはちゃんは捕まったって設定みたいだけど、探す時はどうするの?私達と一緒に探せるの?」
「ああ、それなんだけど私は一緒に探せないんだ。ごめんね。」
「そんなぁ〜」という、残念な声が。
「あと少ししたらまたスタッフさんの所に行って、モニター越しにみんなの活躍を見てるよ!だから、頑張って10人見つけてね。そうじゃないと、私、本当に連れて行かれるかも?」
「「「え!?」」」
「ディレクターさんから芸能界とか興味ない?って言われてさ。断ったんだけど、諦めてないような感じたったからね。だから演出ではあるけど、10人見つけて解放されたいなーなんてね。」
·······
「よーーし!やるよ!私は!!!演出だろうがなんだろうが、このはちゃんを連れて行かせるものですかっ!!!」
私は吠えた。それはもう声高高に。
「「「私も!!」」」
「「「「俺達もだ!!!」」」」
クラスが一つになった瞬間でした。
「そういえばさー、今回全員見つけきったら図書券200万円とかって言ってたぞ?」
ん?
計算すると···かなりいい金額になるね?
ますますやる気が増す、現金な私達のだった···。
 




