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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の出来事①-1 (挿絵有り)

文化祭の終わった12月のある日の朝。


「出席をとるぞー。席に着け〜」


既に先生の朝の定番となった言葉と共に、いつもと変わらず朝のHR(ホームルーム)が始まりました。

出席確認から始まり、今日の連絡事項があればそれについての説明。

連絡事項がなかったり、説明が終わればあとは授業開始までは自由時間です。

が、今日はいつもと違いました。


「鈴宮、悪いんだがこの後ちょっと来てくれ。」


「この後···ですか?」


「ああ。ちょっと1時間ほど時間を貰うよ。次の先生には事前に知らせてあるから、出席には影響ないから安心してくれ。」


「分かりました。」

なんだろうね?休み時間に何か手伝ってくれとかなら分るんだけど、授業の1時間を使って何かって···?う〜〜ん···??


「じゃ、そういう訳で、みんなはきちんと授業を受けるように。以上。」


そう言って話を締めくくって教室を出ていく先生。


「じゃ、私も行ってくるね〜。」


と、周りの子達に声をかけて先生の後をついて行きます。

廊下を先生と歩きながら気になった事を聞いてみます。


「先生? 授業の1時間を使ってまでって何かありました?私、特に心当たりはないんですが···?」


「ああ、別に悪い事とかそういうのじゃないよ。実はな、今テレビ局が学校の特集で取材に来てて、先日の文化祭も取材したんだと。それで生徒の話も聞きたいとのことで、誰がいいかなと考えたら鈴宮がいいんじゃないかって話になってな。」


「それで、私がそのインタビューなり話なりを受けてほしいと?」


「そういうことだ。察しがよくて助かるよ。まぁ、いきなりの急で悪いんだが頼む。基本向こうの指示通りにしてくれればいいみたいだし、時間オーバーしてもあとの授業とかも大丈夫だから安心してくれ。」


「分かりました。」


···ビックリしたな〜。

内容がまさかのテレビだとは流石に思わなかったよ。

でも先生方が私を選んでくれたなら、期待には応えなくちゃね!

この学校の良いところ、いっぱい話してあげる!




「あ、ここだな。」


先生に連れてこらてた所は、大会議室。

私達が使うこともなく、入ったこともない部屋です。

テレビならスタッフも多いだろうから、うってつけの場所なのかな?


「あとは頼むな。緊張するなは無理かもだけど、普段通りの鈴宮を見せれば大丈夫だと思ってるから。頑張れ!」


「はい!」


そう励ましてくれて先生は戻っていきます。


緊張か···。まぁ、多少はあるけどそんなんでもないかな。

自分の検査で沢山の先生や関係者と話ししたり、雪ちゃん絡みとかでも沢山の経験を積んだりしたからね。

だから多少知らない方が多くても大丈夫。そういうのは慣れてるよ。


さぁ、行こう!





コンコン。


「どうぞー。」


内部から返事を頂いたので、入ります。


「失礼致します。先生よりこの度のテレビ取材をお願いされました、1年の『鈴宮このは』と申します。本日はどうぞよろしくお願い致します。」


姿勢を正しく、スタッフの方の顔を見てはっきりと声に出して挨拶をします。

もちろん、お辞儀も大事だよ。角度や手の置き位置なんかもね。

少しの間お辞儀をしたのち、顔をあげて見渡します。


あれ?何か変だったかな?

皆さん、ポカーンとしてるよ?


「あの···」と、声を出したら男の人が、


「ああ!ごめんごめん。君の挨拶がとても良かったんで、呆気に取られちゃって···。申し訳ない。」


「いえ、大丈夫ですよ。」


そう言って逆に謝ってくれました。

改めてお互いに自己紹介をして、ディレクターさんは酒井さんと言うらしいです。

少し談笑をしつつ女性スタッフの方に「その髪は地毛なの?綺麗だね。初めてみたよ。」とか「テレビとか経験あるの?慣れてる感じがするけど??」なんて、聞かれたりもしたよ。



その後、インタビューについての説明も受けました。 

やり方としては、椅子に座った状態で女性スタッフが質問をするので、それに普通に思ったことを答えてくれればいいそうです。

目線はカメラよりスタッフで、だそうです。


「一度練習でやってみましょう。」


ディレクターさんの指示で練習をしてみることになりました。

用意された椅子に座って他愛のないことを話す。

それだけだったんだけど、何分もしない内にOKが出てちょっと調整を入れたら本番だそうです。

いよいよか〜〜。

緊張はないけど、ドキドキはしてるよ。


挿絵(By みてみん)


  ーー ディレクター視点 ーー


練習を終えて軽く調整をしてる時に、カメラマンとメイク担当がやって来た。


「酒井さん、なんですか?あの子は??」


「なんですか?とは?」


「学校のインタビューとはいえ、素人なのにあの鈴宮さんの対応は完璧っすよ。姿勢、目線、仕草その他諸々ダメなところないじゃないですか。まぁ、素人さんのインタビューなんで、別にそこまでは求めてもないですけど···。」


「そうですよ。それにあの容姿。すっっっごく綺麗で可愛いじゃないですか!今まで若い女優さんとかアルドルをメイクしてきましたけど、あんなレベルの子、今までいなかったし、見たことすらないですよ!? それにあの髪。あれはヤバいです。なんすかあれは!!あれが地毛なんて、素敵過ぎます!!」


カメラマンとメイク担当が絶賛してる。

特にメイク担当の興奮が凄すぎてこっちが引くくらいだわ···。


「そうは言われてもなぁ〜。俺も容姿までは知らなかった訳だしさ。だから、あの子が入ってきた時は凄く驚いたし。それにあの子が応募者なんだろ?」


「まあ、そうっすね。」


「だから、そういう事。······でも、確かにあれ程の物を埋もれさせとくのは勿体ないよなぁ。」


チラッと横を見て、椅子に座ってスタッフと話をしてる鈴宮さんを見る。


俺も驚いたよ。

最初は扉を開けて入ってきた女の子のあまりに日本人離れした容姿に。

続けざまにしてくれた挨拶に。

みんなが呆気に囚われちゃって、大人として情けない所を見せちまったしな。

その後の練習も兼ねて軽くやってみたら、素人とは思えないほどの立派な対応だった。

みんなが言うように、あれ程の子を埋もれさせとくのは業界人としてダメだよな···。


よし!



「鈴宮さん、ちょっといいかな?」


「はい?」


「鈴宮さんは芸能界とかは興味ある?もしあるようなら、テレビ局とか事務所なんかにも伝があるから紹介出来るんたけど···。」


「あー!酒井さん狡いですよ! 鈴宮ちゃん、私もモデル事務所とか紹介できるから興味あれば是非!」


突然のスカウトにビックリしてた鈴宮さんだったが直ぐに、


「誘いありがとう御座います。でも、申し訳ございません。今は芸能界とかちょっと無理なのでご遠慮させて下さい。」


と、申し訳なさそうに頭を下げられてしまった。


「ああ、いや、そう頭下げなくていいよ。ゴメンね。いきなりこっちが聞いただけだからさ。そんな畏まらないで。本当にごめんね。」


あそこまで丁寧に謝れちゃうと、本当に申し訳ないことをしたなと思う。

逆に考えると、そこまでの対応が出来る子なんだな、と鈴宮さんの凄さを感じられずにいられない。




「よし、本番行こうか!」


気を取り直して、ここからが本番。

インタビューという名のプチドッキリが···。


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