ある日の文化祭①-5 高1(挿絵有り)
2023.10.26 加筆修正しました。
「多数決の結果、うちのクラスの出し物はスタンプラリーに決まりました。ありがとうございます。」
パチパチパチパチ···。
みんなの拍手にお礼して感謝を伝えます。
昨日のニャンニャン♪騒動の後、今日のHRまでに志保ちゃん達と打ち合わせをして、本日やっと決まりました。
メイドにはみんな反応してたけど、さすがにあれは用意するには予算も時間も足りない。
衣装をどうするのか?飲食物はどうするのとかね。
それにそもそも、女の子の負担が大き過ぎるんだよね、メイドは。
メイド=女の子だからさ。
それと少ない人数で交代しながらやらないといけないので、メイド喫茶は出来ないです。
「今後の流れなんですが、この決まりを書面にして文化祭実行委員の方へ提出しないといけないので、もう少し中身を決めないといけません。なので今一度確認ですが、まずスタンプの設置場所は校庭と中庭と体育館の3箇所で雨天の時は校庭を校舎内、ということでよろしいでしょうか?」
「「「「はーーい。」」」」
パチパチパチ。
良かった。こちらもみんなから了承を貰えたよ。
このスタンプの設置場所。
中庭は屋根のある所があるからいいんだけど、雨の日の校庭はさすがに無理だと思うんだよね。
なので雨の日は校舎内にして、押して貰うと。
それにこの配置だと、校舎内⇒校庭⇒中庭⇒体育館⇒校舎内と、学校全体をグルッと一周出来るからいいんじゃないかと思う。
これを考えてくれた人、なかなかいいセンスだよねと思ったよ。
匿名だから誰かは分からないんだけど、文字から想像するとおそらく女の子かな?
コンセプトやスタンプの設置箇所とか詳しく書いてくれて、この辺りは原案をそのまま採用した程だからね。
ほんと、ありがとう!!
ちなみにこれは私の案ではないよ。
「次にスタンプを集めた方に渡す景品のお菓子なんですが、何かありませんか?どのくらいの数がいるのか分からないので、なるべく安い物がいいのかな?とは思うのですが···。」
みんなでウ~ンと考えます。
私も雪ちゃんとスーパーの菓子売り場行くのだけど、いざ安いのって考えると出てこないもんだね。
まあ、今は菓子も豊富で、色んな種類があるから仕方ないのかなぁ?
あと1番の問題が数なんだよね。
これがもっと分からない。不明なんです。
一体どのくらいの来場者が学校に来るのか、そしてこのクラスに来てくれるのだろうかと。
沢山来てくれればそれはそれで嬉しいけど、早々に足りなくなる事態とかも避けたいよね。
スタンプ用紙の枚数と景品の数を合わせれば、スタンプ押したのに景品が足りないといった事は避けられるけどさ。
暫く考えてると「ハーイ!」と手が上がったんだ。
「はい、どうぞ。何が思いつきました?」
「う◯い棒なんてどうかな?あれなら安くて味の種類も多いよ?」
「あ!それ、いいね!?」
「うん!いいかも、それ。」
「確かに、安くて種類も豊富だわ!」
みんなからも「いいね!」の声があがり、あっさりと決まりました。
確かにこれは盲点だったね。
何で思い浮かばかったのか謎ではあるけれど、これなら安くて味の種類も豊富。
景品として好きな味を選んでもらうってのも、いいよね。
「では纏めますね。
まずスタンプ設置場所は校庭、中庭、体育館。雨天時は校庭が校舎の中に変更。
集め終わった方に景品としてう◯い棒をプレゼントで、数は後ほど調整して決めたいと思います。
決めたいと思いますが、数に関しては予算内で用意したいと思ってますので、皆から寄付を募るとかはしないつもりです。
これで提出したいと思います。先生、これでよろしいでしょうか?」
「ああ。いいと思うぞ。それより、出来過ぎじゃないか?俺が話をしてから1週間そこらで決定まで持っていくか? 普通もっと悩んで纏まらずに時間が掛かるから、かなり早めに話をしたのに······。」
内容の確認したところ、先生も納得してくれて頷いてくれました。
ただ後半は愚痴っぽくなってたけどね。
「それはクラスのみんなが真剣に考えてくれて、協力してくれた結果ですよ。それに早く決まればその後も余裕を持って、進める事が出来ますしね。高橋先生としても安心でしょ?」
「ま·····まぁ、そうだな。」
そう。
こういう期限がある企画物で怖いのは、いつまで経っても決まらない事だと思う。
期限が近くなればなるほどに、焦りで企画·準備·運営とグタグタになったりして上手く立ち行かなくなるんだよね。
逆に早く決まればその分、余裕が生まれるし。
「最後に。当日の当番については、みんなの予定をみて担当時間などを決めたいと思ってます。これについては、今後更に時間が変更したりすると思うので、キチンと確定した後にみんなにお知らせしたいと思います。」
「あと、やることは簡単で来て頂いた方に、スタンプ用紙を渡して押して来てもらう。で、集め終わって来てくれた方に確認後、う◯い棒をプレゼント。そんな流れになるかと思います。簡単なんで気楽に楽しくやりましょう。」
「「「「おーー!」」」」
「「「はーい♪」」」
みんなからのいい返事も頂いて、企画作りとしては上出来だね。
この案を考えて出してくれた子と、協力してくれたクラスのみんなに本当に感謝だね。
ありがとう♪
「そうだ!余ったらみんなでう◯い棒パーティーでもしますか?片付けの時にでも(笑)」
「いいねそれー!」
「やろう!やろう!!」
余るかどうかも分からないのに、勢いで言ってみたら結構みんなが乗ってきた。
ノリが良いねー、やっぱり。
そんなみんなを見てるだけで私も楽しくなってくるよ。
あとは、飾り付けとかお金絡みについて先生に確認しなくちゃかなー?
「先生。飾り付けなどに使う材料とかはどうなんですか?そういうのも予算から?」
「んーと······詳しくはまた聞いてくるが、色つきの大きい画用紙とかダンボールなんかはあるから好きに使えるな。あと、絵の具と習字道具もあるから使える。ああ、教室の中でペンキと缶スプレーは使うなよ?付くと落ちないからな。詳しくは資材室に行って見てきてくれ。そこにある物はほぼ使えるから」
おお、結構使える物があるんだねぇ。
なら今度、みんなで見に行って何があるのか確認をしなくちゃだね。
そうすれば、飾り付けをなんかも色々と出来そうだね。
「お金は近いうちに渡すからな。領収書は宛名に学校名とクラス。但し書きは文化祭用品で良かったと思うが、そこも渡す時に詳しく説明するから。まぁ、この内容ならスタンプと菓子以外は使わないと思うから予算ギリギリまで菓子を買ってもいいんじゃなか?さっき鈴宮も言ってたが、菓子が足りないよりは余る方がいいし、余ればみんなで食べちゃえばいいしな。」
ニカッと笑顔で言う先生。
そんな先生の「みんなで食べちゃえばいい」発言に「せんせー、分かってるー!」なんて、喜ぶクラスメイト達。
こういうのが分かってるから、人気なんだよね先生♪




