ある日の文化祭①-3 高1(挿絵有り)
2023.10.25 加筆修正しました。
結局あの後、佐藤君は話にならなかった。
咽る佐藤君にみんなが面白がっちゃって、そっちに捕まっちゃってね。
捕まってしまった佐藤君は置いといて、志保ちゃんと軽く内容について話し合います。
「どうしよっか?このはちゃん。」
「ん〜〜、そうだねぇ······。とりあず人数把握からかな?部活とか委員会でこっちに来れない子もいるでしょ?志保ちゃんはどうなの?」
「私?私んとこはまだ話聞いてないから分からないんだよね。でも、プリントが配られたから、そろそろ部長から話があるとは思うんだけどね。」
「なるほどね〜。」
志保ちゃんに聞いてみたけど、志保ちゃんもまだ分からないらしい······。
この文化祭、プリントによるとクラス以外でも部活動や同好会といった所からも発表なり展示やらをやるらしいんだよね。あと、委員会も。
そうすると発表の内容や時間次第では、終わるまでこちらに来れないって子も出てくるかもしれない。
特にステージ発表をする様な所だと。
それなんで、人手がいるような大きい事は出来ないと思うから、少人数でやれるような事をしなくちゃかな~?と思う。
「あとは何をやるかだけど、これはみんなに1回考えて書いてきてもらおうか?出来れば具体的にさ。」
「そうだね。そうすれば、次の時に集めて決めればいいかな?多分その時なら部活の方も決まると思うんだ」
簡易的ではあるけれど、最初の方針は決まった。
人数把握とやりたいものを考えて来て貰うこと。
まずはそれかな?
お昼は終わってHRの時間。
先生の説明があり、プリントにも記載があるけど纏めると、開催は11月の第2土曜日。前日は準備となり日曜日は片付けで月曜日が振替休み。
内容に関しては発表、展示、販売でもいいらしいです。
ただ食べ物販売系は規制等があるので事前申請のうえ、許可できるかを決めるらしいです。
食中毒とか火災とか事故起きたら危ないもんね。
仕方ないです、これは。
あとは·····予算は1クラス最大2万円か。これはありがたいです。
足りないとみんなからカンパとかで集めないとだから、出来る限り予算内でやりたいよね。
先生が何か質問あるか?と聞いてきたので、ちょっと考えたあとに手を上げます。
「鈴宮、なんだ?」
「はい。えっと、この文化祭って例年どんな感じなんですか?よく知らないので、部活とか他がどういう事をやったりしてるのかな?と、思いまして······。」
そう、全く知らないので雰囲気とか分からないんだよね。
プリントには展示とか発表とかあるとは書いてあるげど、何処が何をしてるとか、先生から少しでもヒントが掴めればいいなとは思うけど。
先生は暫く考え込んでいて······。
「そうだなぁ〜······、まず体育館だと音楽系の部活や同好会がステージ発表してるな。あと、演劇系も。あとダンス部とかお笑い同好会とかもステージ発表しててな、ダンスは普段から大会優勝を目指して頑張ってるから本格的だし、お笑いなんかはツボにはまれば面白いな。だから体育館物は盛り上がるし見てて面白いぞ。1番のオススメかな?」
みんなが「おお!!」なんて言ってる。
確かにそれは過ごそうだし楽しそうだね。
先生が1番のオススメって言うくらいだし、機会があれば見てみたいかな。
「校庭だとサッカーや野球部が毎年ストラックアウトみたいなのをやってるな。あと実行委員もなにかイベントやってるし、校舎内だとまず調理部メインで食べ物を販売してる。焼きそばとかな。他にも食べ物を売る所もあるし、文系なんかは自分たちの作品を展示だったり販売したりとか。中庭だと地元農家さんが朝採り野菜の販売なんかをしてたりもするぞ。」
「結構凄いんですね。」
「そうだな。開催期間が1日だけだからどこもだらけるとこなく、張り切ってやってるよ。」
なるほどー。
開催が1日だけと短いけれど、それが逆にいい方向に向いてるんだね。
「他に無いなら、あとは頼めるか?」
「はい。」
返事を返してさて、どうしたものかな。
取り敢えず、先生のお話で多少雰囲気は分かったと思う。
想像してたよりも賑やかで楽しそうというのが。
とりあえずは、昼休みに軽く話したことの確認かな。
「今日はとりあえず、昼休みに話したことの軽い説明くらいしか出来ないけど、私いこうか?」
佐藤君と志保ちゃん、なんとなく話すのが苦手そうな感じだったから聞いてみたんだけど、お願いされました。
よし!ここはお姉さんとして頑張ってみようかな。
教卓の前に立ってみんなに声をかけます。
「今朝、先生に補佐をお願いされまして、委員長達も部活の方で忙しくなるかもしれないので補佐を受けるとこにしました。みんなで楽しい文化祭になるように頑張りますので、みんなも是非ご協力お願いします。」
ペコリと頭を下げてお辞儀します。
パチパチパチと拍手まで頂いちゃった。
そんな大した事じゃないんだから、別にいいのなって思いながら話を続けます。
「今日は委員長とお話をして、現時点での人数把握と出し物のアンケートをみんなにお願いしたいと思ってます。」
そう、現時点ではあるけれど、これが一番大事。クラスの方に参加できる人が少ないのに人手がいるような物は出来ないからね。
「基本的に部活とかの方を優先でいいのかなと思うんだけど、現時点でクラスの方は厳しいって方いたら挙手お願いします。」
すると、意外といるね。ステージで発表とかする部かな。
こういう所は多分毎年なんだろうから、決まってるんだろうね。
志保ちゃんがメモメモ。
ありがとうございます。と伝えてから、
「次に出し物についてですが、佐藤君が紙を配るのでそれにやってみたい事などがあれば、内容を詳しく書いて欲しいです。只、考慮して欲しいのが人数で、志保ちゃん、さっき何人だった?「えっと、11人」ありがとう。 現時点で参加でいない子が11人います。今後部活等の方の方針が決まるとさらに人数が増えることが予想されます。仮に20人こちらに参加出来るとしても、15人とか20人でやろうっていう出し物は出来ないと思います。それは、クラブの方へ途中で行かなくちゃいけなかったり、文化祭を見て回りたいとかがあるからです。なので、人が必要なものの場合、2〜3人を1グループにして交代で持番するのがいいんじゃないかと思ってます。」
「なので、出来れば人数的なものも考慮して何が案を頂けたらなと思います。締切は······そうですね。次のHRの前日の朝がいいかな。その後まとめて次のHRの時間で発表したいと思います。あと、部活の方もその時に改めて聞きますので、各自部長さんなどに確認をお願いします。」
「あと追加で、この棚に箱を置いとくので、書けたら紙を入れといてください。と、いう感じかなとは思うのですが如何でしょうか?」
現時点で思った事を述べてみたのだけど、どうだったのかな?
···
······
·········
あれ?反応がない??何か変なこと言っちゃった?
どうしよう···って思ってたら、「このはちゃん、すごーい!」とか「もうそこまで考えてるの!?」なんて言われちゃった。
先生も「鈴宮、お前結構プレゼンとか上手いのな」とか言うし。
上手いかどうかは知らないよ?
プレゼンなんてやった事ないもの。
でも、普通じゃない経験をしてる自覚はあるよ。
大きい病院に行って検査して、色んな先生と難しい話をしたり意見交換したりとかしてるから。
そういうので話をするとか慣れてるのが、あるんじゃないかと思う。
とりあえず今日はこれでいいんじゃないか、と先生から言葉を頂き早いけど帰っていいぞと、帰りの許可も頂きました。
「やった!」
「ラッキー♪」
「さすが、高橋先生!」
喜ぶみんな。
私も雪ちゃんに早く会える!ラッキー♪なんて気分。
文化祭もこれからが大変なんだろうけど、みんなで楽しめるといいよねと切に思う。
そう思いながら帰り支度をするのでした。
「あ!先生。何か適当な箱を下さい。回収用として棚に置いとくので。」
危ない危ない。大事な事一つ忘れるところだったよ。




