ある日の文化祭① 高1 (挿絵有り)
2023.10.25 加筆修正しました。
「おはようー。出席とるから席に着けー。」
そんな挨拶とともに担任の高橋先生がやってきました。
私達の担任のこの男性教諭。
年はたぶん40ぐらいかな?とは思うんたけど、一言で言うと明るくて面白くて意外と格好いい。
性格もサッパリしてて気さくな感じであまり小言を言わないし。
だから結構私達みんなら好かれている。
もう1つ理由もあるんだ。
私は余り気にしてないんだけど、女の子達によるとジロジロと見られるような視線とかがないんだってさ。
だからそんな所もあって、女の子にも好印象を持たれて好かれてる。
そんな先生が出席を取った後、
「今朝は配りものがあるから、後ろに回すように」
と、最前列にいる私達に渡して来た。
あれ?朝から配布物とは珍しいな? と思う。
通常、その日の事で何があれば口頭で話をして説明を入れてるし、後日の予定のものとかだと、帰りのHRで渡すからね。
だから今渡すのは珍しいなと思いながらも、受け取り後ろへ回します。
1枚かと思ったら復数枚あるね?なんだろう??
え〜と······何々。文化祭についてのお知らせ?
文化祭かぁ〜。もうそんな季節なんだね。
というか文化祭あるんだぁ〜って、初めて知ったよ私。
この高校、私の家からそこそこの距離で駅からも近いとはいえ、ほとんど知らなかったんだよね。
地方で車中心だと駅には用がないと行かないんだよね。
東京方面に行く用事があるとか、新幹線や飛行機で遠出するとかじゃないとさ。
それにショッピングなんかでも、駅周辺は駐車場も少なくて不便でお店も少ないんだよね。
それに今は駅周辺より、郊外の広い土地に広い駐車場を兼ね揃えた大型店がポンポン出来てるから、そっちの方にどうしても行ってしまうんだよね。
だから私も、駅周辺とは無縁の生活だった。
高校の存在自体は知ってても、中身とかは全然知らなかったしさ。
プールがある事すら知らなかったからね。
「まだ時間があるとはいえ、ぼちぼち進めないといかん。なので今日のHRの時間は文化祭についての説明とか諸々を進めたいと思う。あと、早い所は部活などでも話しが出てくると思うがそこもよろしくな。そういう訳でみんな、プリントは読んでおくように。以上終わり。あぁ、あと、委員長ちょっときてくれ。」
プリントを配り終わった先生が軽く補足を入れてくれて、そういう事かと納得です。
文化祭の内容次第では準備とかにも時間を要するだろうし、何より私達には初めての文化祭だもんね。
何をどう行うのか、説明を聞かないと分からないし。
あと先生が委員長さんを呼んでたね。
この場合はクラス委員長さんを指してるんたけどさ。
どうしたんだろうか······?
「後ほど説明はする予定なんだが、文化祭でな、クラス毎の出し物をしなくちゃいけないんだ。それを委員長の2人を中心にして何をやるかとか、諸々の進行を決めて進めて貰いたいんたが、お願いしてもいいか?」
「え!?私達にですか??」
「ああ。」
何かな〜?なんて思って聞いてたけど、クラス委員長の佐藤君と志保ちゃん。
この2人に文化祭についての進行·まとめ役をお願いしてたんだよね。
突然のお願いだったけど、2人もちょっと考えた後に了承してた。
まー、こういのはクラス委員長のお仕事だったりするから、大変な役職だよねって思うよ。
「文化祭実行委員とかじゃないから、そんなに身構えなくても大丈夫だからな。まぁ、実行委員の方は来年度誰かを選ばないといけないけどな。あと、鈴宮。」
「はい?」
ん?なんだろう??
私の直ぐ側で会話をしてたから会話は聞こえてたけど······。
「鈴宮も2人をサポートしてやってくれないか?涼宮は部活入ってないだろ?2人は場合によっては、部活の方にも行かなくちゃならんこともあるだろうからさ。いない時にサポートしてやって欲しいんだよ?」
ああ、なるほどなー、と思う。
こういう文化祭だと部活や委員会の方でも発表や展示やら、なにかしらやるのかな?
そうすると1年生とはいえ、多少なりとは部活や委員会の方に準備とかで行かなくちゃいけなくなるもんね。
「はい、分かりました。お受けします。」
「ありがとう。助かるよ。」
先生に受ける事を伝えます。
部活をやってない私が断ったら、部活をやってて尚且つ委員長までやってる2人に悪いもんね。
だから、少しぐらい力になってあげたいなと思ったんだ。
先生もそんな言葉を聞けて良かったのか、嬉しそうな顔をして職員室へ戻って行ったよね。
「そういう訳で、よろしくね。佐藤君、志保ちゃん。」
「こちらそよろしく、鈴宮さん」
「このはちゃん、よろしくね。それと巻き込んだみたいで、ごめんね。」
「いや、大丈夫だよ。急だけど受けたのは私の意志だからね。気にしないで。」
志保ちゃんとはお話しするから、人となりは知ってるんだけど、佐藤君とはないから分からないんだよね。
一体どんな感じの子なんだろう?
「じゃあ、佐藤君、今日のお昼一緒にどう?それまでにプリント読んでおくから。」
私からの提案にOKの返事を頂いて、話を一旦終わりにします。
さてさて、このプリントはどんな内容なんだろうか······。
ーーーーーーーーー
キーンコーンカーンコーン······
チャイム音とともに教室も賑やかになります。
約50分の昼休みだけど、学生にとっては1日の中でもっとも楽しい時間の一つ。
この頃になると教室で食べる女子組は、その辺の机や椅子を適当に寄せ集めてみんなで食べてます。
大所帯だけど賑やかで楽しいよ。
食べようってなった時に佐藤君がキョロキョロしてる。
ああ、そっか。
これだけ女の子が集まってると座る所に困るよね。
気が付かなくて申し訳ないです。
「佐藤君、ごめんごめん。ここ座って。」
私は空いてた椅子を隣に持ってきて、ポンポンと椅子を叩きながら佐藤君を呼びます。
そして、座れるようにします。
ちょうど私の隣に志保ちゃんがいるから丁度いいしね。
「おう、ありがと。」
なんか緊張した感じで返事を返してくる佐藤君。
周りが女の子だらけだから緊張もするか、と1人納得する私。
そんな佐藤君を見て、周りの男の子が突っついてる。
「いいなー、佐藤〜。」
「じゃあ、お前等俺の代わりに学級委員長やれよー!」
そんな感じて言われて、言われ返して。
本当だよねって思う。
やり手が誰もいないから、クジでたまたま佐藤君が当たったってだけなんだから。
もちろんそれは、志保ちゃんも同じなんだけどね。
文化祭の事は一旦置いといて、食べ始めます。
賑やかだね〜やっぱり。
私は食べながらそういば······と、ふと思ったことがあったんだ。
そしたら、つい声を出しちゃった。
「あ······」
咄嗟に口を手で塞いだけど、バッチリと聞こえてしまったらしい······。
「何?どうしたの?このはちゃん??」
「ううん。何でもないよ。気にしないで〜」
手をパタパタと振りながら何でもないとアピールします。
だって本当にどうでもいい事だったから。
「えー?本当に?気になる〜。ねぇ、みんな?」
「「「うん」」」
う······。
好奇心旺盛なみんなは、私をスルーさせてくれないらしい。
「本当に本当に、どうでもいい事をふと思ったんだけどね······」
隣をチラッと見たら、何だ?って顔を佐藤君がしてた。
「私さ、隣にこうやって男の子座らせてご飯食べるのって、何気に初めてだな〜って思ってさ······。ほら、本当にどうでもいい事だったでしょ?」
あぁ······、本当にどうでもいいことを思ってしまった。
しかもこのタイミングで、「あ」なんて呟いたばっかりにさ。
ホント恥ずかしいって思ってると、
「ブフッ!」っと隣から聞こえた。
「うわっ!きたねー!!」
「ちょっと佐藤!!何やってんのよー!」
「かかったんですけどーー!?」
現場はパニック中です。
特に佐藤君の正面辺りにいた子を中心にして、立ち上がって制服を拭いたり机を片付けたりとか。
幸いにしてたいして口に含んでなかったのが、良かったみたいだけど。
ゴホゴホとむせてる佐藤君。
そんな佐藤君は女の子達から避難轟轟言われてて。
事の大元を作った私は、佐藤君に変なこと言って申し訳ないと謝るのでした。
その後落ち着いた佐藤君。
良かったと思ってたら誰かがボソッと呟いた。
「佐藤、このはちゃんの初めて貰えて良かったな?」
ブフッ!!ゴホッ!ゴホ!ゴホッ……
また盛大に咽る佐藤君でした······。
高校生お姉様はママなんです♪を読んで頂きありがとうございます。
今回、会話等が読みやすくなるかな?と改行を多めに入れてみました。
と、同時に投稿済みの作品にも内容は変わらず、改行のみ増やしてあります。
引き続き「高校生お姉様はママなんです♪」をよろしくお願いしいたします。




