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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の出来事⑨ 高2

「ねぇねぇ、このはちゃん。さっきから何をやってるの??」


「そうそう。私も気にはなってたんだよねぇ〜。何だかやたらと細かい作業をしてるからさ······。」


寒さもピークを過ぎたかな?と思われる、ある日の授業の休み時間にお手洗いにも行かずに自分の席で作業をしてる私を不思議に感じたクラスの皆が声をかけてきたんだ。 

まぁ確かに傍から見れば何をやってるんだろう?って思われても不思議ではないよねと自分でも思うし···。


だって休み時間と言えば、先ずはお手洗いとかに行くでしょ。

それが特になければ次の授業の準備をする訳で、移動をする必要があるならば荷物を持って移動しなくちゃいけない。

そしてそれもなければ後は皆と話をして過ごしたり、スマホを触ったりと思い思いの過ごし方をしてる訳で。

そんな休み時間を黙々と何かをやってる私を不思議に感じるのは至極真っ当な事だとは思う。


「あぁ、これ? これはね、お名前シールって言って、この小さなシール全部に名前を書いてるんだよ。」


「「お名前シールぅ??」」


「あ〜···それ知ってる!持ち物に貼るやつだよね? と言う事は······雪ちゃんかな?」


「そうそうそう。あったり〜♪雪ちゃんの名前を書いてたんだよ。」


「いぇーい♪」と当たって喜ぶ美紅ちゃんに、あまり存じない子もいたりするこれは『お名前シール』と一般的に呼ばれる物なんだ。

いろいろなサイズがあるけれど、その中でも私が今書いてるのは特に小さいシールの物なんだよね。


「ちょっと見せてもらってもいい?」


「うん、いいよ。はい、どうぞ。」


「ありがと、このはちゃん。···うわぁ!?見てみて、コレ?! 凄く細かいよ。」

「えっ?! どれどれ······うわぁぁ~···本当だ。めっちゃ細かく書かれてる······。」

「しかも全部ひらがなで『すずみや ゆき』って、雪ちゃんの名前が書いてあるねー。」


そんなに大した物でもないのに興味津々になるクラスの皆。

茜ちゃんや美紅ちゃんは知ってるらしいから然程でもないのだけど、そうじゃない子からしてみれば普段触れる機会もないから珍しく写るなかな??


「これはさ、雪ちゃんが学校で使う物に貼るシールなんだよ。で、今はまだ漢字は分からないから全部平仮名で書いてるんだよね。」


「ああ!確かに小学校の時は教科書やノート、筆記用具から色んな物に名前書いてたよね。」

「うんうん、そうだった。」

「確かに書いてあったね。でも、家はシールなんて使ってなかったなー······。」

「あー······私ん所もだよ。直書きだった。」


やんややんやと自分達の当時の事を思い出して各々感想を話してる皆だけど、ほんの十年程前の事だからよく覚えていたよね。


「でも···何でまた今やってるの?それに随分と書いてるみたいだけど·····。」

「そう言われればそうだよね····。お家でも出来そうだし、量も結構あるよね?」


皆がそう疑問に思うのも仕方がないのか?なんて思う。


「ん〜······まぁ、家でも出来なくはないけれど、一言で言えば忙しいからって言う理由かな。家事をやらなくちゃいえないのもあるし、雪ちゃんとの事も当然あるからね。それから宿題、自主勉とかもやらないとだから······。だから学校で隙間時間に書こうかなって思ったんだよ。このシール用紙くらいなら持ってきても大してかさばらないし、ペン1つあれば出来るからね。」


「あぁ、なるほどね!」

「相変わらずこのはちゃんったら凄いねー。そんなにアレコレやってるんだもん。」

「宿題以外にも自主勉だってよ? 私なんて宿題だけで精一杯だよ······。」

「それを言ったら私だってそうだよ。」


なんか皆が感心してるけど、それが私の日常だからねぇ。

ただやる事が多岐にわたるから忙しいといえば忙しいし、だからってそれを理由に例えばお母さんに「ご飯作りお願い」とは頼めないもの。

どうしても作れない時は頼むけど、それ以外は忙しくたって私がやる!って決めた事だからね。

それに雪ちゃんとの時間も大切だし、勉強の時間も当然大切。

だからこのちょっとした隙間時間がとても有り難く思うんだよね。


「でもでもこのはちゃん·····それだけ忙しいなら名入れサービスとか利用すればいいんじゃない?これってそういうサービスとかってなかったっけ??」

「え〜!?これってそんなサービスあんの?」

「うん。確かあったと思うよ?いくらするかは知らないけど、そんなのを見た覚えがあるんだ。」


意外とよく知っている美紅ちゃん。

まぁ彼女は少し年の離れた妹がいるらしいから、知っていても不思議ではないんだけどね。


「確かにそういったサービスがあるのは私も知ってるよ。だけど敢えて使わないんだ。」


「そうなの?」


「うん。私も一応調べてさ、確かにそんなに高い金額じゃないから利用しやすいとは思ったんだ。だけど私は雪ちゃん1人でしょ。だから今このタイミングを逃すともうこういうのをやる機会はなくなっちゃうから、やっぱり自分でやってあげたいんだよね。」


私もさ、そういうサービスを使うのも有りだとは思う。

時間は有限で子供が多いとか忙しくてどうしても時間が足りないとかって、各家庭で事情は様々だと思うからね。

そういう中で少しでも楽をしたいとか時間を節約したいとかっていうのは良い事だと思うし。


「それに皆も知ってるけど私は雪ちゃん以外に子供を作るつもりがないから尚更ね······。」


結局はそこなの。

だからこそ私はなるべく自身の手で、力で、雪ちゃんの為に出来ることをやってあげたいんだよね。


「「「「このはちゃん······」」」」


「ん?どうしたの??皆??」


いきなり静かになったなーって思ったら、なんか皆の動きが止まってる···?


どうしたんだろうね?

さっきまであれだけ賑やかだったのに、私、変な事を言ったけ??


「あ···いやね······、普段のこのはちゃんの格好を見てると本当にごく普通の女子高生なのに、こういった話とか行動を見ちゃうとお母さんでもあるんだよねーって改めて認識させられちゃってね·····。」


「そうそう。私達と一緒で学校にもクラスにも馴染んでるからママだって部分を見ると、不思議に感じちゃってねー···。ごめんねー、このはちゃん。」


「いいって、気にしないで。そういうのは私も分かるから大丈夫だよ。」


「あ···うん。」

「ありかと、このはちゃん。」


皆の感じてる事、これは誰しもが感じる事だから私は気にしないの。

だって人って見た目とか言動でその人の第一印象を判断したりするからね。そしてそこから交流を持てば人となりを知って、テレビの中の人とか出会えない人だと思い込みで『この人はこういう人』って勝手に判断したりする。

そして何か事が起きると『この人はこういう人じゃない』『そんな事を起こす人じゃない』ってショックを受けたりするもんね。


だから今回の場合は、私は女子高生として皆の中に馴染めてるだなーって改めて感じたよね。

当初は20歳近くで高校生の制服を着たらコスプレ感が出ないかなー?とかってかなり思ってたからね。だから高校は行く気もなく認定試験を受けるつもりでいたからね。

それが皆が違和感を感じす、その中に一緒に溶け込めているのは嬉しく感じるよね。

まぁ、その代わりに今みたくママ感を出すとそのギップでまた違った違和感を覚えるみたいだけど······こればかりは慣れてもらうしかないよね·····。



「皆···ちょっとおいで?」


「ん?」

「え?何々??」

「どうしたの?」


私は傍にいた皆を、更に近くに集まるように手招きをして呼び寄せた。

皆といってもその人数はお手洗いに行ってる子とかもいるから、本来の半分くらいしかいないけどね。

さてさて、では先程の茜ちゃんを除くこの場に居た皆の変な反応に改めて応えてあげますか····。

周りには男の子も当然居るから、そちらには聞こえないようにね。


「皆が何を想像したのか······それは敢えて聞かないけど、一応もう一度言うよ。()()()()()()()()()()()()。だから安心して?」


「「「うっ·····」」」


変なうめき声と顔を赤くしたり目線を反らしたりする皆だったけど、先程の変な反応に対して、どうやら予想したのが当たりだったっぽいよね。


体育の時に着替える為に一度下着姿になったりもするし、林間学校の時には裸を晒したりもした。

そういう時に皆の視線を何となく感じてはいたし、あとは私に対する好意とかそういうのかな。

そういう諸々の判断で何となく皆が何を想像したのか予想がついたんだよね······。

茜ちゃんが平気だったのは恐らく耐性が付いたからだっと思うんだけど。


「あ〜あ·····。皆揃って顔を赤くしちゃって······何を考えてたのかなぁ?? ねぇ?美紅ぅ??」


茜ちゃんがそう言いつつ、美紅ちゃんを突っついてる。

面白い光景だなって眺めてるけど、偶にはこういう意趣返しもいいかな?なんて、思ったりしてね。


でも、よーく考えると先程の私の言葉も変なんだよね。


『もう子供は作らないよ』


確かに私は雪ちゃんを産んだけど、欲しいと思って行為をしたわけじゃないない。というか、そもそもしてないからね。

だから『もう作らない』と言うと、一人目を作ったうえで次の子は···っていう意味になると思うんだよね。

前提が違うから言葉としてあれ?って感じるけど······皆には関係ないみたい(笑)


だってまだ赤くなってる。ほんと、全く···何を想像したんだか······。

ここに居る皆は彼氏持ちではないけれど、好意を持ってる男の子くらいいるかもしれない。

それに年頃の女の子だし、その手の知識が無いわけじゃないから、私への好意とか今までの諸々を含めてきっと言いにくい何かを想像したんだろうね、きっと····。



そしてその変な空気は、お手洗い諸々から帰ってきた子達が来るまで続いたのでした。





  ーーーーーーーー





キーンコーンカーンコーン······


「よーし、今日はここまでとする。教科書の◯◯ページから今日の所までをきちんと復習しとくようにな。」


授業の終わりを知らせるチャイムの音がなり、それに合わせて先生が授業を終了させる。

おまけで宿題的な物も出されたけれど、意外と抗議系の声は上がらなかったよね。

これも1年前なら「ええーー!?」って上がってた筈なんだけど、今は皆がそれを聞いても声を上げないから、それ程苦に感じてないのかもしれい。

それを表してくれるのが、何を隠そう他のクラスも教えてる当の先生だった。

私のクラスからそう言った声が出ないものだから、驚きとまたか···みたいな複雑そうな顔をしてるもんね。

そしてチラチラと私を見て······。


(ほら、先生。そんなに私を見ないの!)


なーんて、思いつつ笑顔でニコッとお返しをしてあげる私。

ま、皆のそういう雰囲気というかやる気的な物を作ったのは私という自負はあるからね。

それが皆にとっては良くても先生としては複雑なのかもしれないけど·····。


日直の号令で挨拶を済ませれば、途端に賑やかになる教室。

この2時間目休みは他の休み時間より少しだけ長くとってあるから、結構好きな事が出来るんだよね。

おまけに次の授業も引き続き教室だから、着替えや移動の手間もない。

だからお手洗いに立つ人、スマホを触りだす人、寝る人、まぁ色々です。


(さてと·····)

内心でそう思いつつ、腰掛けていた椅子から立ち上がるの。


「お手洗い?」


「うん、そう。···茜ちゃんも行く?」


「そうだね······行っとこうかな。」

「あ、待って!私も行くー。」

「私も。」「うちも!」


先程の休み時間でお手洗いに行かなかったら今回は行こうと立ち上がった所で、隣の席の茜ちゃんに尋ねられてそのままの流れで一緒に向かう事になったよね。

そしたら私と同じく先程行かなかった美紅ちゃんを始めとした面々も行くとこで、そこそこの大所帯になっちゃった。


「じゃ、今回は私がこのはちゃんの腕お借りします。」

「隣は私が·····。」


「はい、どうぞ♪」


一緒に移動となれば、もう恒例の私の腕取り&腕組み。

片方を茜ちゃんでもう片方を代わり番こで組むという、このやり取りも最近は変化してきているんだよね。


まず、必ず私の腕を組んでいた茜ちゃんが誰かに譲る事が増えてきた事。

これは茜ちゃんの心の余裕とかそういうのが出来てきた表れなのかな?いい兆しかな?なんて思ったりもしてる。

そして皆もまた···ね。


以前は個人差はあれど手を繋いだりしてたくらいだったのに、ここ最近は腕を組むんだよね。それも皆が。

両手をそうされるから歩き難さはあるけれど、それはそれで皆が嬉しそうにしてるのを見ちゃうと駄目とも言え難いんだよね。

ただそれが最近になっての変化だから、どうしたんだろう?とは思ってはいるんだ。

私が考えられる理由の1つは、茜ちゃんが普段そうしてるのを見てるからマネしてると言う事。


2つ目はあと1ヶ月で3学期が終わるという事。

つまりその後の進級に伴いクラス替えがある訳で、それに対して不安を抱いてるんじゃないのかな?って思うんだよね。


私達女子は入学時から今年の2年間、誰一人空変わらずにこれた。だから皆して凄く仲良くなれて、今日に至るまで楽しく過ごしてこれたけど、それが来年もそうなるという保証はないからね。

だからもしもクラスが別々になったら寂しい=今のうちに少しでも······なんて心理が働いてるとかさ。


勿論、私にもそういう気持ちはあるの。

2年時は先生が配慮してくれたのか茜ちゃんと同じになれたけど、来年は別のクラスになる可能性もあるからね。

家が近いから登下校やお昼くらいは一緒に出来るけど、それ以外だと合同というのは体育を除くとあまりなくて、それだってクラス位置次第では別々になるからね······。



「このはちゃん···歩き難くない?」


「いや、大丈夫だよ。」


「いやいやいや····両方くっついてて何を言ってるかな?」

「そうそう。本音を言うと恐らく歩き難い筈だよって····私達が言えた事じゃないけどねー。」

「あははは······。確かにそうだよねぇ···。私達もなんだかんだで、このはちゃんに甘えてるし······。」


そんなやり取りをしつつもあっという間に到着して、空くまで並んで順番を待つ。

これもタイミング次第ではサクッと済む時もあれば、今回みたいに少し待つ時もあるから時間的には読めないところだよねって、毎回思うよね。

特にこの時間は長めの休憩だから、混むのも仕方ないのだけど·····。


「このはちゃんってさ、時たま意地悪というかいたずらっ子みたいな時が出るよね?」

「あ〜···それ、分かるぅ。普段がしっかりしてるお姉さん風なのに、その時は少し子供っぽくなるからそのギップがいいよね♪」


順番待ちしてる間にボソッとそんな事を言われたんだ。


「たま〜にだけど、そう言う時が出る自覚はあるよ、私。でも、今回に限っては皆がそうさせるような事を考えてたっぽいから、つい···ね。」


「それはほんと、ごめんなさい。」

「うん、私も。」

「一瞬でも考えちゃったのは失礼だったよね···。」


先程の休み時間での事。

トイレ組だった彩ちゃんや志保ちゃん達に随分と不思議がれた皆だったけど、私と茜ちゃんのフォローとチャイム音に助けられたんだよね。


「それはホント、気にしなくていいよ。元々私も気にしてなかったからね。でさ、その時の質問で1つ答えてなかっけど、答えようか?」


「あれ?なんかあったっけ?」

「んー···なんだろ?確か···このはちゃんがシールに名前を書いてたんだよね?」


元々それが始まりだったのだけど、すっかり忘れちゃてる皆だった。うや


「あ···、あれじゃない?」

「何々?!茜ちゃん分かったの!?」

「うん。シールの時に名入れサービスがあるとかないとかと、数の事を尋ねてたよ。多くない?って。」

「あー······、そう言われると話してたかも···?」


「茜ちゃん正解〜♪そう言う話してたんだよね。何だかんだで有耶無耶になっちゃったけど······ちなみに今回のこれで足りるかは分からないんだ。」


「えっ?そうなの??」

「そんなにシールがあって書いてる途中なのに??」


皆が驚いてるけど私自身も結構あるなーって思ったりもしたから、実際には結構あるんだよね。


「名前を書くのは幼稚園の時からあったけどさ、今も基本的には全ての持ち物に名前を書かないといけないんだよ。身に着ける衣類は下着類から全てだし、筆記用具系も一つ一つ書かないといけない。他にも図工で使う物とかどんなに細かくて小さい物でも、その全てに記入する必要があるんだよね·····。」


「うわぁぁ·····そんなに書くんだー···。」


「そうなんだよ。それに今はそんなに使ってないけど、使い捨てのマスクとかもやっぱり書かないといけないんだよね。だからさ、双子ちゃんだったりする人は本当に大変だと思うよ······。」


つい先日に小学校入学予定の保護者に対しての説明会があって、その最後に教科書類を含めた荷物を受け取ってきたんだよね。

それプラス、書類に記載された必要な物を一般のお店で買い揃えないといけないんだ。

そういうのを含めると結構な数になるんだよ。


そして衣類とか教科書、ノート類とか直接書ける物もあるけれど書けない物、書けても文字が目立ちにくい物はシールに名前を書いて貼らないといけないからね。

だから準備は結構大変。


「中々大変なんだねぇ······。」


「そうだね。まぁ、小1だと全部親がやってあげないとだからそうなるよね。」


しみじみと感想を述べてくれる皆。

確かに大変······大変だけどそれは各ご家庭において喜ばしい出来事の1つであるから、不思議と頑張れて進めて行けるんだよね。

私達の親達も、その親の親である祖父母達、そして更にその親と、皆が通って来た道だから。

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