ある日の出来事⑧ 高2(挿絵あり)
「ねぇねぇ!このはちゃん!!」
ドンッ!という様な音を立てる勢いで私の机に手をついた、みっちゃん。
呼吸も少しだけ乱れてて「はぁ···はぁ···」ってしてるんだよね。
一体何がどうしたって言うんだろう??
ちょっと前に「お手洗いに行ってくる〜」って先程出て行ったのは私も皆も知ってるんだけど、その戻って来たタイミングでこれだからね。
私もだけどクラスの皆もキョトンとしてるし、本当に訳がわからないよ······。
「ちょっとちょっと、みっちゃん? 一体何があったのさ?」
「そうだよ。トイレから戻るなりそんなカリカリしちゃって···生理にでもなった?」
「生理···?······って、生理はまだ先だよ!失礼だな〜って····そうじゃなくてさ、ちょっとこれ見てよ、このはちゃん。」
彩ちゃんの突っ込み?に一瞬?マークを浮かべたみっちゃんだったけれど、そこは冷静に返したよね。
まぁ私もそれはないかな?とは思ったけど、それはきっと彩ちゃんも同じなはず。
多分話のノリ的なのでそう言っただけだと思うんだよね。
ただまぁ···彩ちゃんの言うように生理前から精神的に苛ついたり体調不良を起こす生理前症候群とかもあるにはある。けれどこういうのは個人差があるし、その差も大きいの。
そういう点で今のみっちゃんはごく普通の状態だし、そもそも生理だったのはちょっと前の話だから·····。
で、そんなやりとりを華麗にスルーしつつ、私に何かを見せてきたみっちゃん。
えーと······スマホ??
「スマホがどうかしたの?」
「スマホのその画面を見て。これ、このはちゃんだよね?いや、このはちゃんなのは確定なんだけど、これは何なの?聞いてないよ!?」
「「「えっ?!」」」
「「このはちゃん??」」
「何々!? どういうこと???」
皆が寄って集ってみっちゃんのスマホを覗き込んだんだ。
そしてその画面には私が映し出されていたの。白衣を着た私がね。
「あ〜〜!? これ、このはちゃんだ!!」
「そうだよ、間違いないよ!!」
「何々?! 何で白衣なんて着てるのよ?!」
茜ちゃんを筆頭に皆が画面を見たその感想の第一声を上げた。
「え? 茜ちゃんも知らないの?」
「うん、これは私も知らないよ。······何なの?このはちゃん??」
皆が驚いてる中で、私とうんと親しいと思われてる茜ちゃんまでが驚いてるもんだから、それを見た志保ちゃんが茜ちゃんに尋ねてたよね。
そしてそれに対して「知らない」と答える茜ちゃんで。
まぁ···それもその筈で、これに関しては私は茜ちゃんにも教えてはいなかったからね。
だから知らなくて当然なんだけど、それにはきちんと理由もあるんだけどさ。
皆の視線を一気に受けて、私は答える。
「これもお仕事で撮った写真の1つだよ。確か···某看護学校の撮影でね、雑誌とかそういうのには載らないであくまで学校のホームページ内で使うかも?っていう話だったんだよ。そういう少し不確定な所もあったから、皆には伝えないでいたの。ごめんね······。でも·····採用してくれたんだ······。」
皆には申し訳ないなって思いつつも、こうして採用して掲載してくれた事には嬉しく感じるの。
お仕事として頑張って撮ったからには、是非使って貰いたいっていう思いはあるからね。
「そっか···それは仕方ないよね。りょーかいだよ、このはちゃん。」
「「「うんうん。」」」
「それよりもさ、白衣······看護師姿のこのはちゃんだよ! これ、かなりレアじゃない!?」
「そっ、そうだよ!これって教員を目指すこのはちゃんには、普通だったらあり得ないお姿だよね!!」
いつの間にか、みっちゃんの手の中から机の上に移動して置かれたスマホの画面を見つつ、皆が盛り上がってる。
「ねぇねぇ、みっちゃん? これどこの学校よ?私も検索してみる!」
「そうそう! 私も自分ので表示してみるよ。教えて?」
「えーとね、◯△◯看護学校だよ。その学校のトップページの学校の特色っていう所をクリックすれば、その先で出てくるよ。」
「「「「おっけーー!!」」」」
みっちゃんの説明に皆が一斉に自身のスマホで検索を始めたの。
その無言で手だけが動く光景は、ちょこっとだけホラーだよね。
そしてふと教室の中を見渡せば、男の子達も同様にスマホを弄ってるし·····。
「おー!あったあった!!」
「私も表示出来たよ〜♪うん、いいね!これは。」
「だね! これもこれで保存確定だよ♪」
次々と無事見つけられたと報告があがり、そして其々が画像の保存をしていってるみたいだった。
「でもみっちゃん。こういうのもあれだけど、なんでこれを見つけられたの?私も使われるかは分からなかったから、少し頭から離れてたのにさ······?」
そうなんだよね。
撮影された私自身が頭の片隅にあったくらなのに、それをみっちゃんがピンポイントで見つけたのが凄いと思うんだよね。
これって見つけようと思っても、そうそう見つからないと思うし·····。
「あぁ、それは·····ほら、アレだよ。面接。」
「「「面接ぅ??」」」
「······あ、高橋先生との進路のやつね?」
「そうそう、それ! それで今、面接を少しづつやってるでしょ。私の番は後少しなんだけど、それまでに少し気になってる学校とかを調べてたのよ、私なりにね。そしたら偶々このはちゃんが表示されたから、驚いて慌てて見せに来たって訳。」
「なるほど〜···。だからあんなに血相を変えて来たわけね。」
「うん。ごめんね、驚かせちゃって······。でも、何でもない看護学校を見てたら、まさか出てくるとは思わないじゃない?だから余計にさ······。」
「あ、いいよいいよ。気にしないで。それについては私も悪かったから、お相子にしよ?」
「うん♪」
恐縮するみっちゃんに、私はそう伝えたの。
だって私も悪いからお互い様って事で。
そしてそれで落ち着くかな?って思ったけど、やっぱりそうはならなかったよね。
「このはちゃんの白衣姿を見れたのはみっちゃんのお手柄として·····みっちゃんは看護師希望なの?」
「そうそう、そこんとこどうなん?」
「えっとー、あくまで気になってたから·····って言うのか大きいんだよ。それに看護師を目指そうってハッキリと決めた訳でもないし、他にも関心とか興味あるのもあるからね。」
「そっか〜······。でも、羨ましいな。興味とか持てるものがあるのって······。」
彩ちゃんが複雑そうな表情をしてる。
彩ちゃんの場合、まだこれといった先が見つかってる訳でもないらしいから悩んでるっぽいんだよね。
まぁこれは彩ちゃんに限らず、そういう子は他にも沢山いるんたけど·····。
「ところでこのはちゃん?」
「何?どうしたの??」
「他にもこういうのはないの?雑誌とかには載らないけど、撮影はしたよっていう様なのが?」
「そうそうそう! それ、気になってるだよねー。」
「あるの?あるよね?!」
「待って待って! 落ち着いてってば!」
皆が寄って集って私に詰め寄ってくるの。
その気迫というか勢いに思わずたじろいでしまった私。
全く···どれだけ見たいのよって思わなくもないけど、それで皆のモチベーションとかが上がったりするんだから悪くはないんだよね。
それに···喜んでくれるし。
「えーとね、いくつかはあるよ。これもさっきのと一緒で雑誌には載らないやつなんだよね。」
「「「おおっ!」」」
「やった〜♪」
喜ぶ皆を横目に私はスマホからその写真が載ってるホームページを検索して表示させたんだ。
「よかった。使われてて····。はい、これね。」
そう言って皆に見せたその画面には、麦わら帽子を被りツナギを着た私が写っていた。
「わぁ〜♪かわいい!!」
「うん、いいね!こういうのも。」
「そうだね。何か普段のこのはちゃんとギャップがあるけど、これはこれで凄く良いと思うよ。」
「麦わら帽子にツナギかぁ·····。私らじゃ、まずしない格好だけど····あ、これも学校絡みなんだね?」
「そうそう、当たり。これは農業高校の······」
と、私は皆に説明をして言ったんだ。
私の周りというか画像の中には文字が入ってるから、それが何目的の物なのかは直ぐに分かるからね。
それに実際の作業・体験に麦わら帽子やツナギを着るかは分からないけど、今の暑さを考えれば何からの帽子は被るだろうし、服装もジャージとかそういうのになるだろうから。
「一口に農業高校って言っても色んな分野を学んだりするらしいよ。どうしても農業=農家みたいなイメージがあるけど、実際の学校だと花や植物の知識や技術を学んだりとか、他にはガーデニング関係や食品の製造や健康に対する科学とか·····あ、あと生き物系もあるね。畜産に関係する事とか····。まぁ、とにかく多彩みたい。」
「へぇ〜···。農業高校ってかなり色々なんだね······。知らなかったよ。」
「私もだよ。イメージだと野菜とかの農業中心なんかな?って思ってたけどね。」
「「うんうん。」」
皆が言うように、私も農業高校についてのイメージはそんな感じだったんだよね。
私の隣町の方に農業高校が1校あって、側を通ると広い敷地だなーとは思ってたんだけど、この撮影をした時に調べてみたらかなり多彩なジャンルを扱ってるのを知ったんだよね。
勿論全てではなくて選んだ学科で習う分野は変わるのだけど、それでもコレだけの物がある。
そしてそれは、学校が変われば内容もまた違うのだろうしね。
「高校生の私達にはもう関係のない事だけどさ、今後受験がある弟や妹がいる子なら簡単なアドバイスとしての知識なら持っててもいいかもよ?」
「そうだね〜。そういうのもありかもね。」
「だね。私自身も偏ったイメージとか知識しかなかったから、こういう風に聞くと印象がガラッと変わるよね。」
野菜作りや畜産系のイメージしかなかった、農業高校。
でも実際にはもっも多彩なジャンルを扱っていて、もし私が雪ちゃんを妊娠しない世界があったのなら、通うという事もあったかもしれないなって考えちゃったよね。
私って植物とかって好きだったりするから、そういう知識を学べるというのは結構合うんじゃないかなーって思うんだ。
「このはちゃん、このはちゃん。他には??他には何かないの??」
「そーそー。この際だから何かあるのなら教えて!?」
「他にはねぇ·····。」
先ほどの画像も保存し終えた皆が、「他にはないの?」と詰め寄って来たんだよね。
「まぁ、あと1つあったけど······それは所謂コスプレってやつだね。」
「「「「えっ!!??」」」」
「こ·····コスプレぇ~〜〜??!!」
「えっ!? うッそ?! マジで??」
「このはちゃんって······コスプレするんだっけ??」
皆が驚いて慌てふためいてる。勿論茜ちゃんもビックリしてるよね。
目をパチパチしちゃってさ、こういう姿を見るのも久しぶりでちょっと楽しいのと嬉しいのがある。
「うん。お仕事ならやるよ。最初に少し条件を付けたんだけどさ、その中で衣装的には下着と水着はしないって伝えてあるし、コスプレはそれには当てはまらないからね。まぁ···コスプレもそれに近い露出ならしないつもりだけど、コスプレそのものにはこれと言ってイヤとかはないからね。」
「そっか·····。このはちゃんはそういうスタイルなんだね。」
「意外だけど、そう聞くと断る理由もないのかな····?」
「今はコスプレも結構人気あったりするからねー。」
「そうだね。渋谷のハロウィンとかディズニーでも時期によってはコスプレ入園オッケーだったりするもんね。」
「うんうん。」
お父さん曰く、その昔はコスプレって言うとマニアックな分野だったらしいけど、今では結構認知されてるからね。
皆が言うようにハロウィンとかディズニーとかでも話題になってメディアに取り上げられる事も増えたし、SNSでも話題になることも多々あるし。
「でもこのはちゃん····一体なんのコスプレやったのさ??」
「そうそう···。このはちゃんのその長い髪とか色とか、変えたり隠そうとすると結構大変じゃない??」
「だよねー···。」
「うん、私もそう思う。」
「まぁ···変えようと思うから大変なんだよ。逆にこの髪の毛を活かすコスプレをすれば逆に簡単だと思わない?」
皆が色々と考えてはいるみたいだけど、何も変えようとするから大変なんだよね。
私もコスプレ界とか、それに関係するゲームや漫画・アニメ等のキャラクターの事は殆ど知らないけど、少なくとも沢山のキャラがいるのは知ってるんだ。
そしてそのキャラクター事に色んな髪色や髪型とかがあるのもね。
皆もそれを知ってるから、考え込んでるんだろうけど······。
「このはちゃんの白い髪にロングヘアー······。」
「え?何かあったっけ??」
「私は1つしか思いつかないけど·····ほら、あの氷の女王様のアニメ映画やつ。あれ映画もだけど歌が思いっきりヒットしたじゃん!」
「!? ああ!あれかー!」
「あ。うん!あった! 確かにあれならこのはちゃんにピッタリかも!!」
「もしかして···それなの?このはちゃん?」
皆の言うそれが何なのかは私も分かった。
それは何年か前に世界的大ヒットしたアニメ映画なんだよね。
日本でも大ヒットして、特に劇中にある挿入歌がもの凄く流行ったんだ。
そしてそれは私も見たし、雪ちゃんもDVDで見た事があるの。「ママと髪の毛が一緒だ〜♪」って喜んでた事もあったし。
「いや、残念だけどそれじゃないんだよ。」
「ありゃ?それは残念······。」
「う〜〜ん······多分それかなーって思ったんだけどなぁ······。」
「それじゃないとなると、一体なんだろうね?」
私の言葉に残念がって、次は何だろう?と考え出す皆でその様子は切り替えも早いけど、このやり取りを楽しんでる風に見えるんだよね。
「いい線はいってたんだけどね·····正解はこれだよ。」
「「「おぉ!!」」」
「「これは!」」
「あー!私これ知ってる。ちょっと前にテレビでやってたアニメでしょ?」
「そうそう!ソレだよ。うっわぁ〜···このはちゃん、似合ってるー♪」
「そう?そんなにいいかな?」
「うん!いいよ、いいよ♪ 髪の色も長さもバッチリだし、染めたりカツラだったりしないから不自然さがないよ。」
「そうそう。それに肌色もあってるから普通の人がコスプレをするよりよっぽど本物っぽいよ!」
「そ、そうなんだ······。それはありがとうね。」
皆が歓声をあげて喜んでくれてるそれは、今よりちょっと前···去年の春辺りにテレビで放送した某アニメなんだよね。
長生きしたエルフさんが勇者と魔王を倒す旅に出て、そしてその勇者亡き世界でまたどの様に過ごすのかを描いた物語で。
放送開始当時、テレビ局がアニメにしてはかなり力を入れてたのを私は覚えてるんだよね。
そして私も気になっちゃって、録画して暇ができた時に見ちゃったんだけど。
「鈴宮さん、鈴宮さん! 良かったら俺達にも見せて!?」
「お願いしまっす! 俺、あのアニメ凄く気に入ってるんで是非見たいっす!」
「あっ!? ちょっと男子〜? 急に割り込まないでくれる!?
「そうよ! こっちも見たいのは山々なんだから!」
私達女子の会話に珍しく入って来た男の子数人組。
何かに取り組んでる時とかを除けばこういう事は基本ないから、私も他の女の子達も驚いてる。
そしてちょっと言い合いになってたりもして······。
「皆、一先ず落ち着いて。楽しんでくれるのは嬉しいけど、それで言い争うのはダメだよ。これが別に消えてなくなる訳でもないんだし、また次の休み時間にでも見ればいいんだから······。」
「「「このはちゃん······」」」
「お、おう。」
「何か急にごめん、鈴宮さん。」
「いいの、いいの。そこまでは気にしないで。それに言ってくれれば私も見せてあげられるのは見せてあげるからね? じゃあ···はい。どうぞ。」
一先ず皆を落ち着かせる事にした私。
自分が原因とは言え、男女間で言い争うのは私としても見たくはないんだよね。
仲の良いクラスで今までやって来れてただけにさ。
でも、こうしてきちんと話をしてあげれば皆も分かってくれるから、そこは嬉しく感じるんだ。
別に私もこれに関しては男の子達に見せたくない訳でもないし、お願いされれば見せてあげるつもりではいたからね。
「「「おおぉーー!!」」」
「これは結構なクオリティじゃね?!」
「ああ! これはいいぞ! 髪は鈴宮さんのがイメージ通りだし、肌色もそうだろ。それに耳は付け耳だけど悪くないし、なりよもその服だよな!」
「確かに服のクオリティはめっちゃ高いよな。細かい所まで原作そっくりだし、流石プロが作ってるだけの事はあるな!」
「凄い·····男子達がめっちゃ入れ込んでる······。」
「しかもベタ褒めだよ?」
「でも···クオリティが凄いのは私にも分かるけどさ······。」
盛り上がる男の子達に対して、ややドン引きな女の子達。
でもそうは言ってるけど、これってさっきまでの女の子達を逆にしたパターンなんだよね、とは心で思っても言わないでいたんだ。
だって普段は写真を見せてキャーキャー騒ぐ女の子達を、男の子達が『またか···』みたいな感じで見つめてるのを私は知っているから。
「でもさ······何で今頃にこういう撮影があったの?」
「そう言われるとそうだよね·····。アニメ放送だって去年の春頃だったてしょ?まぁ···グッズとかは変わらずに出てたりもしてるけど·····。」
「確かにねー····。アミューズメント施設とかでもフィギュアとか新作が出てるのは見たことあるけどね。」
皆が言うそれは、私も同感なんだよね。
確かに今更感はあるの。
イベントとかで個人的にコスプレをするのなら別にいいとは思うけど、わざわざプロの人が衣装を作成して撮影だからね〜。
でも、その理由を知ってしまえば納得でもあるんだよね。
「聞いた話なんだけどね、なんか第二期の放送が決定したらしいよ?それなんで特集を組むとかで、撮影したんだって。」
「「「おおお?!」」」
「それ、マジ話!?」
「うっそ!? それいつなの??鈴宮さん!?」
「ホントなの!?このはちゃん!!」
「ちょっと待ってて、皆。」
どうどうどう···と、私に迫って来た皆を落ち着かせる。
これは全員じゃなくて、恐らくこのアニメが好きな子が男女問わずテンションが上がってるんだろうと思うんだ。
「私も詳しい日時とかは知らないんだよ。ただそう言う話があるというのを聞いただけたからね······。」
「そっか···そうだよね。」
「うん···。確かに冷静になって考えれば、普通は公式から発表があるよなぁ·····。」
うんうんと頷きながらも納得してくれた皆。
「ま、そのうちに何かしら出るんじゃない?私も楽しみにしてるからさ、待ち遠しいんだよね。」
「おや···?」
「鈴宮さんがアニメ?なんか意外なんだけど??」
「このはちゃんって、このアニメ見てたんだ?」
「意外だよねー。どっちかというと、雪ちゃんが見るような番組を見てるイメージがあるから·····。」
口々に意外だねーって言う皆だけど、確かにそれはそうだねと私もそう思う。
「それも間違ってはないよ。基本は雪ちゃんが見てる番組を一緒に見てるからね。でも偶には私も見てはいるんだよ。某名探偵物は劇場版もレンタルとかで見たりもするし、ディ◯ニーアニメーションとかも作品によっては好きだしね。」
「あー···確かに名探偵さんは面白いよね。」
「分かるわかる!」
「俺はあの人間離れしたスケボー技術が、すげーっていつも思ってるけどな(笑)」
やんややんやとまた賑やかになった皆だけど、今度は男女関係なしにアニメ話を楽しんでる。
こういう共通の好きな物に関しては年齢や男女といった物は関係はないと思うからね。
ただこれがいい、あれはダメだとかで意見が割れなければいいんだけどね······。
「このはちゃんはさ、あの作品だと誰が推し?」
「えっ!?」
「あー···私はそれ気になるな〜。」
「確かに気になるよね。しかも登場人物がやたら多いだけに、好みは分かれるよね。」
きちゃった···。
聞かれると不味そうな質問が·····。
これを話したらまた一悶着ありそうな予感がしなくもないんだけど、答えない訳にもいかないからねぇ·······。
「私は基本的にはこれといってないよ。作品が面白いから気に入ってるからさ。でも···強いて言えば、FBIのライフル使いのあの人かな?変装してない方がクールで格好いいなって思ってるし、あの『了解した。』のセリフが好きだね。」
「「「おおぉ〜〜〜!」」」
「マジかー···」
「このはちゃんの好み、ああいう感じなのがいいんだね♪これは大きい情報だよ。」
またまた盛り上がりを見せる皆だけど、こういうのも悪くはないなって感じてしまう私だった。
だっていつもは男女で別れて話してるのが、こうして男女関係なく楽しく過ごせる時間になったからね。
そしてそれはチャイムが鳴るまで続くのだった。




