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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の成人式①-4 高2(挿絵有り)

「ねぇねぇ、このはちゃん。成人式どうだった??」


「成人式?」


「うん!楽しかったとか懐かしかったとか色々と感想はあるかもしれないけどさ、どういう感じだったのかなー?なんて、ずっと思っててね。」


「私も気になるんだ〜。特にこのはちゃんがどんな晴れ着を着たのかとか、そっちが気になっちゃってさ······。」


「私達の時の参考にしたいから、是非話を聞かせてくれないかな??」


「うん、いいよ。私ので参考になるかは分からないけど、それでもよければね。」



一昨日の成人式が無事に終わり連休の明けた火曜日の学校。

登校してみるとその日の皆の興味関心事は、私の成人式の事だったんだ。

連休に入る前に私が「成人式がある」って話したのが切っ掛けで皆が関心を持ったのだけど、こうして終わった後もまだ楽しみにしててくれてるとは思わなかったよ。


「そうだね〜······取り敢えず一言で表すのなら『行ってよかった』の一言に尽きるかな。」


「行ってよかった?」


「うん。前に皆にも話ししたけど、私は中1の三学期から学校には殆ど行かなかったでしょ。そんなんだったから同級生が私の事なんて覚えてないよねって思ってたんだ。うちの中学校は2つの小学校の生徒が来るから、馴染みのない方の生徒は本当に面識がなくて知らないからね。」


「「うんうん。」」


「そしたらさ、そんな子も含めて結構な数の皆が私の事を心配してくれてたって事を知って驚いたのと、同時に申し訳なさも凄くあったけど嬉しかったよ。それで今度はその後の同窓会でお世話になった先生方に会ってね······」


私は引き続き皆に話した。

先生が私の事をまだ心配しててくれた事。

そして学校を休んでいた本当の理由を話して、それを今まで言えず隠していた事を謝罪して。

そんな私に先生も同級生達も驚いたものの、最後は安堵して喜んでお祝いしてくれた事。


「そういう訳でさ、本当に行って良かったって思えたんだ。ずーっと言えずに心の中に残ってたのがあったからね······。」


「そっか〜······。それは良かったね、このはちゃん。」


「うん。」


正直な所、皆からは嫌われたり怒られたりするかな?とは思ってたんだよね。

ずっと心配を掛けて心配してくれたのに、病気じゃなくて妊娠だったんだから。

つまりは休みの大半は体調としては元気だったんだにも関わらず、子育てを優先して休んでた私を、皆は体調が悪いとずっーと思って心配してくれてた。

それなんだから嫌われて当然なのに、皆は私の事をお祝いしてくれた······。それは先生も同じ。


だから私は成人式に行って、本当の事が話せて良かったって思う。

それにあの当時はスマホがなかったから出来なかったけど、今回の再会で連絡手段も確保出来たからね。



「あぁ、あとね。同級生達にも雪ちゃんを紹介出来たんだよ。」


「あ、そうなんだ〜。」

「やっぱり驚いてたでしょ!?」

「いやいやいや···普通は驚くよ、あれは······。」

「そうだよー。このはちゃんのその若さで子供がいる事実に驚くのに、それがまさかの6歳児でしょ! その上そっくりな容姿なんだからさ! これで驚かない方がどうかしてるよ!」


「あははは·····。皆の言う通り、やっぱり驚いてたよ。まぁ、20歳だから結婚してる子とか赤ちゃんがいるって子も少しはいたみたいだけど、流石に雪ちゃんくらいの歳の子がいるって言うのはないからね·····。」


「「だよねーー!」」


口を揃えてケラケラと笑う皆。

そんな皆も私がカミングアウトしたり、雪ちゃんに実際に会ってかなり驚いたという経験があるから、私が成人式で話した事に対して同級生達の反応が手に取るように分かるみたい。

だって「驚かない方がどうかしてるよ」なんて、言い切ってる子もいるくらいだからね。



そんな私と雪ちゃんの真実を話した同窓会。

その時に証拠?として写真を見せたけど、意外にも早くにきちんとした形で改めて皆に紹介できる事が出来たんだよね。

まぁ、先生が参加出来なかったのは残念だったけど。






  ーーーーーーーー




「いらっしゃいませ~。······本日は何名様ですか?」


「えーと······こちらで橋本さんという方が予約を取ってあると思うのですが······。」


「あ、はい。橋本様ですね。確かにご予約を頂いております。ご案内致しますね。」




私の住む街のショッピングモールを始めとした様々なジャンルのお店が立ち並び、買い物が便利で人気の某地区のとあるお店に私と雪ちゃんは来ているの。


このお店、私は来るのが初めてなんだけどお店の存在は前々から知ってたんだよね。

それは何と言っても目立つから。

お店の建物そのものは今時珍しく和風の建物で、外観は蔵造り風っていうのかな?そんな作りをしてる。

建物の取り囲むようにこれまた和風の塀があって、入口には大きな暖簾がかけてある立派な門構えで。

くぐれば砂利の上に石が並べられてる石畳の道があり、その脇には笹や植木、シダなどで和を演出してて、また大小の石が置いてあるのだけどそれに苔類が生えてるから更に和の情緒が感じられるの。

テレビとかで見たことのある、昔から営む料亭やお屋敷にでも来た様な気分だよね。


そして店内は暖色系の優しく温かみのある灯りに和のスタイルで、昔の···江戸時代とかの長屋とかが並ぶ街路を歩いてる様な雰囲気のある店内だった。



「ここは···全部が個室なんですか?」


「はい。全てのお部屋が個室となってますので、ゆっくりと落ち着いてお食事が出来ると思います。」


若い女性の店員さんの後ろについて部屋まで案内されてる中、気になった事を尋ねてみたんだ。

とても広い店内を歩いてるんだけど、その途中で見た部屋は全てが個室みたいになってる様で通路からお客さんの姿が見えなかったからね。


「ママ。 何だか迷路みたいだね!」


「そうだね〜。ちゃんと覚えとかないと部屋を間違えちゃいそうだよね。」


「ママ!? ·····失礼ですが···お客様はご姉妹ではないのですか?」


雪ちゃんの何でもない素直な言葉にして感想の『迷路みたい』。

本当にその通りで広い店内にして通路から壁、各個室の入口の造りが同じなので間違えそうになるんだよね。

一応各個室に個室名が付いてるみたいなんだけど、それを覚えとかないとお手洗いとかに立った時に間違えそうで怖い·····。


そしてまた雪ちゃんの「ママ」発言に反応した店員さん。

この女性店員さんは、私達がお店に入って来た時に一瞬固まって言い淀んでたんだよね。

まぁ私と雪ちゃんがセットだから、そういう反応をするのも分かってはいるんだけど。


「よく間違われるんですけど、私達は親子ですよ。」


「失礼いたしました·····。お若いのでてっきり姉妹なのかとばかり思ってました······。」


「いえいえ、気にしないで下さい。よくそう思われますので·····。」


姉妹?と思ったらしい、この店員さん。

親子と聞いて驚いてるけど、誰しもが皆そう思うから気にしてないよ。

それにこの店員さん、見た感じ私と歳が同じくらいなのかもしれないんだよね。顔つきとかも10代の少女感がまだ少し残ってる感じだし、もしかすると学生のアルバイトさんなのかもしれないね。

今日は祝日の日だから学生なら休みだろうし、それなんで茜ちゃんも午前中からお昼跨ぎでアルバイトに行ってるみたいだからさ。

だからまぁ······、そんな若い子が勘違いするのも当然なんだよね。



「こちらがお客様のお連れ様のいらっしゃる部屋となります。ご注文は中にタブレットがありますので、そちらからご注文下さい。また、何かございましたらタブレットの方から店員をお呼び頂ければお伺い致しますので、宜しくお願いします。」


「はい、ありがとうございます。」


「では···ごゆっくりお過ごし下さい。失礼いたします。」


ペコリとお辞儀をして、雪ちゃんに軽く手を振って去っていく店員さん。

そんな店員さんにニコニコと手を振るう相変わらずの雪ちゃんなんたけど、そんな無邪気な所が子供らしくて可愛く見えるんだよね。


(さてさて······では行きますか。)


個室に続く引き戸の前には靴が何足か綺麗に並べられていて、それを見てもう皆が揃ってるのを確信したんだ。

楽しげな会話も聞こえるから尚更ね。



「こんにちはー、皆。それとお待たせ。」


「「「このはちゃん!」」」

「待ってたよ〜。このはちゃん!」


扉を開けて中にいる皆に声をかける。

すると元気な返事が返ってきて、そこには昨日数年ぶりに再会した懐かしい面々が揃っていたんだ。


「その子が例の雪ちゃん!?」

「「キャーー♪かっわいいーー♪♪」」

「ほんとほんと!! すっごい可愛いよー♡」

「このはちゃんそっくり!! 小さい頃のこのはちゃん、そのままだね!」


「あ···ごめん、このはちゃん。取り敢えず上がって。雪ちゃんも。」


「うん、ありがとね。おいで、雪ちゃん。」

「うん。」


私の後ろにちょこっと隠れる様にいた雪ちゃんを見つけて盛り上がる皆。

そしてそんな盛り上がりの中、申し訳なさそうに由依ちゃんが私達に座敷に上がる様に促してくれたんだ。


靴を揃えて並べて、雪ちゃんを連れて空いてる場所へと腰掛けて。

座った座敷は少し広めのお部屋だったんだ。

テーブルは少し大きめで掘りごたつ仕様みたいになっていて、座った時に足がそのまま下ろせるから楽と言えば楽かな。

それに奥には大きな窓ガラスがあるのだけど、その窓の外は和風の中庭みたいになっていたんだよね。

これならお食事中も外の景色を見ることなく、また他のお客様の視線も気にするなくゆっくりとお食事を楽しむ事が出来る、そんな心遣いが感じられる造りになっているんだ。



「このはちゃん、急に呼んじゃってごめんね。大丈夫だった?」


「ううん、大丈夫だよ。私も今日は特に予定もなかったから気にしないで。それよりも誘ってくれてありがとうね。」


そんな皆に急遽誘われたお食事会なんだけど、今日は昨日の成人式の翌日の祝日の日なんだ。

成人式で数年ぶりに再会してお互いの近況報告や思い出話しで盛り上がったんたけど、その中で同じ小学校同士の女の子達で『翌日に食事でもしよう』って話が元々あったらしいんだよね。

それで私にも話が来て元々予定なんてなかったから了承をしたんたけど、流石に全員は無理だったみたい···。


それぞれが予定を組んでたのもあるだろうけど、話を聞いた限りだと関東圏を離れて関西方面や九州、北海道など遠くの方の学校に通ってたり仕事で行ってるという様な子もいたんだよね。

そういう子は翌日早々に帰ったりもするし、中には久しぶりの家族と出掛けるっていう子もいるから···。


そういう事情の本日の皆とのお食事会。

私にはもう1つの役目があるの。



「昨日も紹介したけれど、改めてこの子が私の娘の雪ちゃんです。よろしくお願いします。」


「鈴宮雪です。こんにちは····。」


「きゃ〜〜♪可愛い〜♪」

「ほんと、可愛いわね〜♪それに挨拶も上手だよ。」

「写真の雪ちゃんも良かったけど、リアルだとまた違う可愛さがあるね、このはちゃん!」


「えへへへ····。」

「ありとうね、みんな。」


私の役目。それは雪ちゃんのお披露目というか紹介なんだよね。

写真という形で皆に紹介したんだけど実際に会ってみたいという、これまたごく普通のお願いをされてね、私が予定がなければ雪ちゃんもないから一緒に連れてきたの。


「雪ちゃんは今度1年生になるんだっけ?」


「うん、そうだよー。楽しみなんだー。」


「そっか〜。それは楽しみだね。」

「ランドセルは買ってもらったの?何色にしたのかな?」

「お友達も沢山出来るといいね。」


「まぁまぁまぁ···皆落ち着いて!取り敢えずこのはちゃんにオーダーだけしてもらわないとでしょ?」


「ああ、そうだった!ごめん、このはちゃん。」

「ついついテンション上がっちゃってさ、ごめんね。」

「私らはもう決めてあるから、このはちゃん達が決めてくれればオッケーだからね。」

 

「うん。じゃ、メニュー決めさせてもらうね。」


雪ちゃんを紹介したら、早速話の話題が雪ちゃん一色になったよね。

昨日もそうだったけど、こういうのは誰しもが気になるものみたいだからさ。

そんな皆の質問に答えていく雪ちゃん。

皆が簡単で分かりやすい事を聞いてくれるから雪ちゃんも答えられてるけど、でも、こういう姿を見ると成長したなーって感じさせられるよね。


そしてそんなテンション上げまくりな皆を際してくれた由依ちゃんで。

こういう所は私のクラスの皆と似た所があって、可笑しくなっちゃうよね。

うちのクラスだとそういう役割的な所は私を除くと志保ちゃんで、時に茜ちゃん。

そして彩ちゃんを中心に皆が盛り上がる、みたいな。


「結構メニューが豊富なんだね、このお店。和と中華と···洋食系もあるんだ·····。」


「そうなんだよー。ここ、かなりメニューが豊富でジャンルも和洋中と揃ってるから、結構いいんだよね。」

「それに全室個室って所もポイント高いよね!」


「うん。それは私も感じてたよ。いいよね、こういうの。さて·····雪ちゃん、何にしよっか?」


「う〜〜んとねぇ······ポテトは食べたいなぁ······。あとは······。」


雪ちゃんと一緒にタブレットではなく、冊子になってる方のメニュー表をパラパラとめくりながら何にしようかと選んでいくの。

タブレットでもメニューは見れるけど、こっちの方が1ページ辺りの情報量も多くて楽で分かりやすいんだよね。


「じゃあフライドポテトは注文して、後は···麺か炒飯かな?ハンバーグとかもあるけど、お子様ランチはいらないんだよね?」


「うん。いらなーい。」


そんな雪ちゃんの反応にある程度の目星をつけて、メニューを見ていく私。

雪ちゃんはお家だと私の出したものは食べてくれるけど、外食となると好みの物が出てくるんだよね。

ご飯物は炒飯を好むの。麺はうどんかラーメン。それも昔ながらのシンプルな醤油ラーメンか塩で、最近は味噌も少しいけるようになったかな。

あとはハンバーグとかエビフライ、唐揚げも好き。

そんな雪ちゃんだけど、好きな物がほぼほぼ乗っているお子様ランチは何故か好まないんだよね····。

理由を聞いてもその当時も今もよくは分からないんだけど······でも、食べてくれる物はあったから外食という点で困ったことはあまりなかったけどね。



「このはちゃん·····本当にお母さんやってるんだね〜。」


「そうだよ。もう6年···今年で7年になるからねー。やっぱり信じられない??」


雪ちゃんと相談しつつメニューを決めて、注文品をタブレットに入力してる所にそう言われたんだよね。


「まぁ·····写真を見せてくれて本当なんだって思いはしたけど、でも···どこか信じられない部分もあったかな······。」

「私もそうなんだけど······、あの場に居た皆が恐らくそうじゃないかなー?って思うよ。」


「だよねぇ〜·····。私自身もこうやってママになった訳だけども、時たまそう感じる時もあるもの。」


幼稚園とかで他の保護者の方と話をしたりする時はあまり感じないけど、歳の近いクラスメイトの皆や、今こうして話をしてる元同級生達と一緒にいるとその不思議さ的な物は感じやすいんだよね。


「私達も20歳(はたち)だからさ、赤ちゃんがいるとかならまぁ驚きはするけど納得はしやすいのよ。でもこのはちゃんはまさかの6歳児だからねぇ······。」


「そうなんだよ·····そこのギャップというか、それが未だに信じられなくてね······。中2で産んだんだもんね······。」



「そうそう。結局そこが写真だけだと中々信じられなくて······でも、今こうして見てると、本当にお母さんやってるんだなーって感じるよ。ちゃんと雪ちゃんの好みとかそういうのを把握してるし、大切にしてるのが伝わるからね。すごいなーって思うよ。」


「ほんとほんと。私達と一緒の歳なのに、そこまで出来るこのはちゃんに凄いなって思うよ! やっぱりママになると違うんだねー!」


「ふふ····ありがとね。私もさ、短い時間だったけど決断を迫られた時に「こうする!!」って決めたからね。だからその為に努力はずっとしてるんだ。ほら···こういうのって正解はないじゃない?色んな性格の親がいて、子がいて······。ずっと手探り状態だけど、その中でこの子の為に出来る事を頑張ってやってるだけだよ······。」


ポンポンと私の隣に座っている雪ちゃんの頭を撫でながら、皆にそう伝える私。


「それでもだよ、このはちゃん。親にすらなってない私が言える事じゃないけど、それが出来ない人もいるじゃん。だから10代の半分の時間をそうしてきたこのはちゃんは立派だよ。少なくとも私達はそう思うな。」


「由依ちゃん·······。」


小学校から···中には幼稚園から一緒の子もいる同級生からそう言ってもらえるのは私としても凄く嬉しくなるよね。

昨日真相を話したにも関わらず、翌日にはもうこうして受け入れてもらえてるんだからさ。


「ねーねー、雪ちゃん。ママの事好き?」

「ママってさ、普段はどんな感じなの?お姉ちゃんに教えてくれる?」


どさくさ?に紛れて、皆が雪ちゃんに変な質問をしてる······。


「ちょっと、皆? 雪ちゃんに何を聞いてるのかな?」


「えっ?! ダメだった??」

「いいじゃん、このはちゃん。このはちゃんが雪ちゃんを大切にしてるのは伝わったけど、雪ちゃんがどう思ってるのか聞きたいじゃん?」

「そうそう。それに私達が知らなかった今までのママとしてのこのはちゃんが、雪ちゃんからどうなのかな〜って聞きたいもん! ······このはちゃんだって知りたくない?」


「う·····。それを言われると私もダメとは言えない······。」


「でしょ、でしょ!」

「で、雪ちゃん。ママってどんな感じ??」


皆がノリノリで雪ちゃんに尋ねてる。

そして皆の視線も当然ながら雪ちゃんへ注がれて、私も釣られるようにして雪ちゃんへと視線が向かい······私と同じ赤い目が私に向けられていた。


ドキドキする。

雪ちゃんは一体何て皆に言うのだろうかと。

私も普段から「ママ、大好き!」と言う言葉を雪ちゃんから聞いてはいるけれど、ママのどいういう所が好きとかどう思ってる?なんて事を聞いた事はないんだよね。

それ故に心がドキドキしてるんだ。



挿絵(By みてみん)


「雪はね〜、ママの事大好きだよ!!」


「「「おお!!」」」

「でた!ママ大好き発言!! やったね、このはちゃん!」


「え? あ、うん。ありがとう。」


「あれ?何だかこのはちゃんの反応が薄いよ?どうしたん?」

「ホントだ···。なんかこう···もっと喜ぶかな?って思ってたけど??」


いや、だってねぇ······。

皆は知らないけど、これは普段から聞いてるから慣れてるのがあるんだよ。

だから皆から見れば反応が薄いかもしれないけど、だからって嬉しくない訳じゃないよ。

聞き慣れてたって『大好き』なんて言われれば、それは嬉しいに決まってるもの。だから内心は凄く喜んでるけど、今はそれよりも先の事を知りたいんだよね。


「ママはね、うんと優しいの!いつも雪をいい子いい子してくれるし、ぎゅっとしてくれるといい香りがして幸せになるの!あとねー、ご飯も美味しいから大好きだし、あ、あとママ綺麗でしょ♪ だから雪の自慢のママなんだよ!!」


「「「「おおぉ〜!!」」」」

「うわぁ〜·····凄いね、雪ちゃん···。かなり言い切ったよ。」

「だねぇ·····。もうこれだけでもママ大好き感が凄いよね。」

「優しいとかは定番だけどこのはちゃんなら納得だし、いい香りって何だろ?香水??」

「綺麗も納得だよねー! 雪ちゃんくらいだと普通は若くても30前後なんだろうけど、まさかの20歳だもんね。」


何となく定番的な大好き理由だけど、それでも盛り上がりを見せる皆。

そして嬉しそうな雪ちゃん。


「でもやっぱり料理は大切か·····。自信ないな······。」

「私だってそうだよ。簡単な物なら作るけど、それを褒められるレベルかと言われれば、そうでもないからねぇ······。」

「子供って親の味とか良く見てるんだね····。それが好きの評価に繋がるとはさ······。」


そして引き続きご飯絡みの事で、あれこれとショック?を受けてるっぽい皆。

この辺りはまだ若いし独り身とかを考えれば、取り敢えず自炊が出来ればいいって言う様な所もあるからね。

そこから忙しい中でレパートリーを増やしたり、より美味しさを追求するとかは中々大変だとは思う。


「あ、あとねー、雪のコレ!」


「「「うん?」」」

「髪の毛??」


雪ちゃんがさっきより少し大きめの張り切った声で、自身の髪の毛をツンツンと引っ張りながらそう言ったの。

そしてそれを不思議そうに眺める皆と私。


「雪のこの髪の毛と赤い目お目々ね、ママとお揃いなんだよ! 大好きなママとおんなじで嬉しいの! だからこれも雪の自慢なんだ!!」


「雪ちゃん······。」


「「「「おぉ〜〜〜!!」」」」

「凄いわ···これは····。」

「うん。これだけは他人には絶対に真似出来ない自慢だよね。」

「だよねー。多分だけど······普通にお父さんもいて産まれてくれば、恐らく黒髪だよね。そう考えると、これもまた奇跡の賜り物だよね。」


私の雪ちゃんに対して1番気にしてた、その容姿の事。

私自身が幼い時にこの事で揶揄われたりしたから雪ちゃんに対して危ぐしてたけど、まさか自慢とまで思っていてくれたなんてね·····。


ダメだ···嬉しすぎる······。


その後の私が雪ちゃんに対してスキンシップが多くなったのは、もう語るまででもないよね。






  ーーーーーーーー




「そういう事があったんだー。良かったじゃん、このはちゃん。」

「うんうん。」

「やっぱり日ごろの行いとか愛情表現とかって、子供はよく見てるんだね。参考になるわ〜。」


「私もそこまで見ていてくれてるとは思ってなかったから、嬉しかったよ。子供って成長が早いなって、改めて感じたよね。」


特に最後の容姿云々の事はそのもっともする所だよね。

雪ちゃんなりに想う所があって、そのうえで私の自慢って素敵な言葉を言ってくれたんだから。


「そんな言葉を言われちゃったら、このはちゃん大変だったんじゃない?」


「あ、分かる??」


「うん。」


ほぼ確信的な意味合いを含めて言ってくる茜ちゃん。

短い期間だけど友達として誰よりも深く私と関わってるだけに、よく分かってらっしゃるよね。


「えぇ〜〜?! 何々?」

「私は何となく想像がつくけど、どうなったのか知りたいなー??」

「「教えて〜♡」」


「だぁ〜め!内緒だよ。」


「「そんなぁ~······。」」


あはははは···と、皆で笑いながら楽しい時を過ごす。

歳は違えど私のクラスメイトにしてお友達。

やっぱりいいよねこの感じと思った、一時だった。

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